長期滞在者
最近、フィルムを使って撮ることが増えている。 仕事 (営業写真館のカメラマン兼レタッチャー) ではもう10年以上デジタルカメラを使っているけれど、仕事ではない「自分の」写真にデジタルを使い始めたのはここ5年くらい。フィルムを併用しつつも、最近はデジタル比率がぐんと増していた。 デジタルというのは簡便だと考えられがちだけれど、機種ごとの使いこなしや絵柄の癖に慣れるまで時間がかかるし、プリントにも銀塩…
長期滞在者
馬喰横山駅で降りて、仕事場へ向かう階段を上っていくと、東京の地下鉄の駅では珍しく立ち喰いそば屋のダシの良い香りが上から降りてきます。 早い、安い、うまいは、商売人の街は基本中の基本。新宿とは随分とちがう土地にやってきたな、と思った瞬間でした。 ルーニィは、年末年始のうちに無事に荷物の引越しを済ませ、小伝馬町へやってきました。 オープン当日、もうこの先の人生でこれ以上ないというくらい、たくさんのお花…
長期滞在者
2015年7月 夕方、いわき平のデニーズ。 黒づくめのスーツにサイドを刈り込んだ髪型、茶色の先がとがった革靴の男性4名が喫煙テーブルの奥に陣取り、ひとりが携帯で電話の向こうのだれかに大声で話す。男性の声はいやでも私の耳に入り、「金貸してるのはこっちです」「30万て金額じゃない」「もう4年経って厳しいも何もないでしょう」と途切れに聞こえて、混んでいる時間帯なのに彼らのテーブルの周りにはだれも座らず、…
長期滞在者
悲しみの分量を多く抱えてしまった2016年だったが、 その終わりは、温かい気持ちになれる仕事の現場が続いた。 図書館で10代の子達と本について語る新春ラジオ特番の収録を行ったり、 ディズニーの世界に包まれた場所で、クリスマスのゴスペルコンサートの司会を務めたり。 こういうことをしている自分が好きだと思える時間を毎日過ごしているうちに、新年を迎えた。 「自分がどういう考えの人間に共感するのかというこ…
長期滞在者
おめでとう、酉年。 年末には一年のもろもろを振り返り、年始にはちょっとした夢というか希望を持ってみて、新たな一歩を踏み出したくなる。これまで、そして、これからの一年を見つめれば、つい自分の「仕事」や「はたらき方」を考え、いつかはやってくる瞬間に備えて、どのように身支度を整えようか、とあれこれ思考を巡らせてみたりもする。 そんな仕事やはたらき方について話をするとき、ここ最近では「渡り鳥のように」とい…
長期滞在者
Bonne et heurese année 2017! 明けましておめでとうございます.今年もどうぞ、日仏藝術草子をよろしくお願いいたします. (小林古径「不尽」山種美術館所蔵.山頂に3つの隆起が見られる「三峰型」の富士山.社寺縁起や参詣曼荼羅などの中世の絵画作例に見られる特徴的な形状だそう) 富士は昔から、多くの画家の心を惹きつけてやまない. 厳しさ、柔らかさ、のびやかさ、どの性…
長期滞在者
名刺交換が苦手だ。 恥ずかしいことに、社会人になってから数年が経つけど、いまだに名刺交換のとき、そわそわと落ち着かない。卑屈な自分が顔を出しちゃって、「どうせ捨てられる名刺だ」「印刷工場に申し訳ない」などと考えてしまうメンタリティを持っているからだ。 もっと言えば、「初対面だから、とりあえず渡しておく」みたいな儀式としての名刺交換って意味あるのかな? と思っている自分がいて、それってエコじゃないも…
長期滞在者
あけましておめでとうございます。 2017年がハッピーな年になりますように。 と始めてはみたものの、これを書いているのはまだ12月末。 まあ、無理せず、いつも通り現実に沿って書き流すことにします。 とぼとぼと 師走の足に 追い越され 今日という日は、異常に面倒な失業保険関係の書類をやっとこさ提出し終え (ちなみに失業保険を停止してもらうための手続きをしてきた)、 そのあとで行きつけのカフェに向かい…
長期滞在者
個人的には、今年は何事に対してもmais ou menosな年だった。転職やら引越しやらでバタバタしたけれど、荷物も少なかったし、なんやかんや平和に過ぎて、振り返ってみたら大したことではなかったような気がする。大きなピークもなければ、谷もないような。 でも、社会の動きはそうでもない。大波小波の差はあれど、社会は大きく乱れた。それに、たくさんの偉人たちが亡くなった。一年の終わり、反省モードになる中で…
長期滞在者
親しい人にかける言葉が見つからなかったり、信じていたことがぽっきりと折れたり、違和感を感じながら留まり続けたり、2016年は今まででいちばんつらいことが多い1年だった。楽しいことも数え切れないほどあって、それらがなかったらここまで来れなかったかもしれないと考えるけれど、反射的に思い浮かぶのは息苦しい朝だ。 正直、まさか24歳でこんな日々がやってくるとは思っていなかった。高いところで足がすくむ感覚に…
長期滞在者
松本大洋の漫画『花男』(傑作ですよねぇ!)の中に、茂雄が鏡を目の下に構えて360度青空状態で歩いて感動するシーンがある。 クールな茂雄が感動しているのである。真似してみたくなるではないか。 やってみたのである。 お・お・お 凄い。確かに感動する。 眼下に青空、天にも青空。360度真っ青である。 太陽が足の下にあるんだぜ! 花男「空、飛んでる気分なの」。 しかし感動した直後、恐怖が来る。 ふわっと重…
長期滞在者
写真から声が聞こえる。 彼女はもうこの世界にいないと。 今、自分だと認識している私は、 本当はもう死んでしまっているのではないだろうか。 ワタシハモウイナイ 私が死んでも、明日も普通に時間は流れる。 それが当たり前だ。 明日には死んでしまっているかもしれない、この世界の点である私へ。 12月の今、今年を振り返った時。 苦しさの記憶量が多くて、愕然とした。 特に、6月以降の私というのは、ほとんどの日…