長期滞在者
子どものころ、夏になると千葉県の養老渓谷に川遊びに連れて行ってもらっていました。川で遊んだという細かな記憶は殆ど残っていないのですが、内房線の五井という駅で乗り換える小湊鉄道のディーゼルカーに乗った記憶は良く覚えています。昭和50年頃だと思いますが、甲高いエンジンの音と、冷房のない暑い車内が妙に記憶に残っていて、子どもながらにも古臭い電車だなぁと思ったものでした。 その小湊線が今も廃線にならずに、…
長期滞在者
白くってふわふわしていて地面に落ちているもの、なーんだ。 この時期になると家の外にも部屋の中にも、このふわふわしたものが現れる。外にあるのはポプラの種子で、綿毛を身にまとっているため風に舞いふわふわと漂い、地面を白く覆う。初めて見たのは19の頃、大学のキャンパス。私の目の前、気まぐれに飛んできたこの大きな綿毛はいったい何なのか、と辿ったらそこには大きなポプラの木があって、季節外れの雪景色に…
長期滞在者
小学生のためののロックコンサートでのパフォーマンスと、 なんだか本格的に仕事になりつつある陶芸のあれこれで、 5月もまたあっという間だった。 だからといって猛烈に忙しいという事もないので、 相変わらず、日本のアニメとかテレビ番組を動画サイトでチェックしたりはしている。 今期のベストアニメはダントツで『ピンポン』だろう。 それに続くのは『ジョジョ』、『河合荘』、『監督不行届き』あたりか。(あくまでも…
長期滞在者
気づけば、五月ももう終わり。新生活を初めて二ヶ月が過ぎようとしている。なにもわからないところからスタートしたから、とにかく必死でやってきた、一生懸命に。それなのに、最近少し気が沈みがちだ。遅れてきた五月病だろうか。常に、なにもうまくいっていないような気がしているし、これでいいんだろうかって、不安な気持ちがゆらゆら、ぐらぐら。電車に揺られているとき、家の中でぽつんとひとりのとき、夜眠りにつくとき、ま…
長期滞在者
一昨年から五十肩に苦しみ、少し遅れて老眼が始まった。46歳、若いつもりでも体は年を食う。最近、自転車での通勤途中でよく目に虫が突入して来て困るが、これもマバタキの反射神経が鈍ってきているせいだろう。 今日も帰途の夜道で左目に虫が入った。けっこう大きいようで尋常ではない痛さである。自販機でミネラルウォーターを買い、じゃぶじゃぶ目を洗ったが痛みがとれない。まだ虫の破片が眼球とマブタの間に残っているのか…
長期滞在者
人が夢を見るのは その身体の中に海があるからで 人の命は海から生まれて その身体には海に似た成分でいっぱいで だから涙はしょっぱくて 海には地球の太古からの想い出がいっぱい溶けていて 月の光がその記憶を照らし出すのだと 月が太陽の光を受けて海を照らすと 波間のスクリーンに海の想い出を映し出す 潮が満ちたり引いたりしている時 地球は昔の夢を見てるんだ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…
長期滞在者
ウエストコーストスクールの代表的写真家のひとりイモジン・カニンハム。ぼくはモダンプリントしか手に取ったことがないけれど、ドライマンウトされたミュージアムボードの隅に「意・無・尽・印」の四文字が組合わさったエンボスが打たれています。「イモジン」の当て字であると同時に、どうやら、彼女の写真集のタイトルでもあった「IDEAS WHTHOUT END」とも意味を重ねているらしい。 70余年の写真家人生が常…
長期滞在者
今年のベルギーはわりかしあったかくて4月はしっかり春めいていた(ちなみに5月になってから少しまた寒くなった)。去年の今頃はまだ雪が降ってたんじゃなかったろうか。腰痛持ちとしては非常に有り難い気候である。腰痛というと、腰自体に問題がありそうに思えるのだけど、実はやっぱり背骨と股関節の使い方が悪いと腰にくるという事を最近実感している。例えば、電気ろくろを長時間使っているとテキメンに腰痛がますのだけど、…
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まだお日様が上ったばかりの朝早く、いつものように煙猫が私を起こしにやってくる。枕元でひとしきり鳴き、床を唸りながら反復し、また枕元で鳴く。時計を見るとあと2時間は床の中にいられるではないか。もう少し寝かせてください、お願いします、と布団をかぶる。ちょうどいい頃合いにまた起こしに来てくれるはず。そういつものように。それからどれくらいたっただろう、時計を見て一瞬で目が覚めた。針が指しているのは家を出…
長期滞在者
夢はただ一つ、暗闇の腐肉を食い開き、お互いの魂の光を見つけ続けることだけだ。 あなたがはじめて孤独を感じた瞬間はいつ?自分が本当は誰とも繋がっていないと、はじめて意識したのはいつ? 僕は7歳の頃でした。汚ない校舎裏の庭が、咲き出したリンゴの花で埋め尽くされていた。エデンのよう。木の下に座った僕が日が暮れるまで永遠と小さな白い花を見つめ、ぼーっとしていた。雪のような白い曼荼羅、真ん中に赤い花粉、乳房…
長期滞在者
少し前に、不思議な夢をみた。夢であるから、夢の中の事象が事実というわけではないのだけれど、それを信じたいという気持ちでいる。創世記、と聞くと真っ先に聖書を連想すると思うのだけれど、わたしが夢でみたのは、わたし自身の創世記であり、とある人物とのはじまりだった。 すべてのはじまりは、神々の園でのこと。はるか昔、わたしは木々が生い茂り、花々が眩しく咲き乱れる神々の園に住んでいた。ひとは神々と共存して…
長期滞在者
[撮影 : 2005-2007] ・・・・・・ 7〜9年前の写真のベタ焼き(ネガをそのまま全コマ印画紙に密着プリントしたインデックス)の束が出てきたので、久しぶりにしげしげ見ていた。 僕の写真で「面白さ」という尺度でいうならば、おそらくこの時期に撮ったものがピークなのだと思う。昔の自分の写真を見て「面白い」と思うのはなかなか複雑なものなのだけれど(写真にとって「面白い」とは何か、という肝心な定義は…