長期滞在者
しばらくお休みを頂いて、みつきぶりに私は「わたし」のままで『アパートメント』に戻ってくることができました。おひさしぶりですとはじめまして、古林希望です。 ✦ 脳腫瘍の手術を終えてはや(私には十二分に長かったけど)ふたつきが過ぎました。 私は今手術を行ったT病院脳神経外科から転院してN病院リハビリテーション回復科というところにいます。 現実はなかなかドラマのようには行きませんね、権威の手によって手術…
長期滞在者
先月の長い「話の枕」にうんざりした人も多いでしょうから、今月は簡潔にいきたいと思います。 先月あれだけの時間をかけて書いたことをおさらいするならば、要するに、「目の前のことがらを認識(=言語化)するために、人間の脳は膨大な量の視覚情報をスキャンするように取り込んではその大部分を捨てているらしい」ということです。(67字ですんじゃった!) 僕は人物の写真を撮る仕事をしているので、同じ被写体に何度もシ…
長期滞在者
何かを得るために努力しなければならないと、生まれた頃から世間は押し付けてきた。学校に入るための努力、大学に入るための努力、社会人になるための努力、写真家になるための努力、何か名前やステータスを得るために、この世界ではどうも努力しなければならないらしい。「努力」という漢字の中にさえ、僕を産んでくれた女の力が見える。 母ちゃん、ごめんね。30年間生きていて、僕が本当に幸せだと思ったことは僕の努力なしに…
長期滞在者
“white lies”-are not a problem 課題に渡された英字新聞には、そう書いてありました。 「白い嘘」は問題にはならない、と。 重大な出来事を前に、どの嘘が白くてどの嘘が黒いのか。 ぼくはわからなくて、混乱する。 「白い嘘」を日本語では 「嘘も方便」と言うらしいけれど。 あの人はどうして、「嘘」をついたのだろう。 それが白でも、もしかして黒でも。 「人…
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子どものころ、夏になると千葉県の養老渓谷に川遊びに連れて行ってもらっていました。川で遊んだという細かな記憶は殆ど残っていないのですが、内房線の五井という駅で乗り換える小湊鉄道のディーゼルカーに乗った記憶は良く覚えています。昭和50年頃だと思いますが、甲高いエンジンの音と、冷房のない暑い車内が妙に記憶に残っていて、子どもながらにも古臭い電車だなぁと思ったものでした。 その小湊線が今も廃線にならずに、…
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白くってふわふわしていて地面に落ちているもの、なーんだ。 この時期になると家の外にも部屋の中にも、このふわふわしたものが現れる。外にあるのはポプラの種子で、綿毛を身にまとっているため風に舞いふわふわと漂い、地面を白く覆う。初めて見たのは19の頃、大学のキャンパス。私の目の前、気まぐれに飛んできたこの大きな綿毛はいったい何なのか、と辿ったらそこには大きなポプラの木があって、季節外れの雪景色に…
長期滞在者
小学生のためののロックコンサートでのパフォーマンスと、 なんだか本格的に仕事になりつつある陶芸のあれこれで、 5月もまたあっという間だった。 だからといって猛烈に忙しいという事もないので、 相変わらず、日本のアニメとかテレビ番組を動画サイトでチェックしたりはしている。 今期のベストアニメはダントツで『ピンポン』だろう。 それに続くのは『ジョジョ』、『河合荘』、『監督不行届き』あたりか。(あくまでも…
長期滞在者
気づけば、五月ももう終わり。新生活を初めて二ヶ月が過ぎようとしている。なにもわからないところからスタートしたから、とにかく必死でやってきた、一生懸命に。それなのに、最近少し気が沈みがちだ。遅れてきた五月病だろうか。常に、なにもうまくいっていないような気がしているし、これでいいんだろうかって、不安な気持ちがゆらゆら、ぐらぐら。電車に揺られているとき、家の中でぽつんとひとりのとき、夜眠りにつくとき、ま…
長期滞在者
一昨年から五十肩に苦しみ、少し遅れて老眼が始まった。46歳、若いつもりでも体は年を食う。最近、自転車での通勤途中でよく目に虫が突入して来て困るが、これもマバタキの反射神経が鈍ってきているせいだろう。 今日も帰途の夜道で左目に虫が入った。けっこう大きいようで尋常ではない痛さである。自販機でミネラルウォーターを買い、じゃぶじゃぶ目を洗ったが痛みがとれない。まだ虫の破片が眼球とマブタの間に残っているのか…
長期滞在者
人が夢を見るのは その身体の中に海があるからで 人の命は海から生まれて その身体には海に似た成分でいっぱいで だから涙はしょっぱくて 海には地球の太古からの想い出がいっぱい溶けていて 月の光がその記憶を照らし出すのだと 月が太陽の光を受けて海を照らすと 波間のスクリーンに海の想い出を映し出す 潮が満ちたり引いたりしている時 地球は昔の夢を見てるんだ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…
長期滞在者
ウエストコーストスクールの代表的写真家のひとりイモジン・カニンハム。ぼくはモダンプリントしか手に取ったことがないけれど、ドライマンウトされたミュージアムボードの隅に「意・無・尽・印」の四文字が組合わさったエンボスが打たれています。「イモジン」の当て字であると同時に、どうやら、彼女の写真集のタイトルでもあった「IDEAS WHTHOUT END」とも意味を重ねているらしい。 70余年の写真家人生が常…
長期滞在者
今年のベルギーはわりかしあったかくて4月はしっかり春めいていた(ちなみに5月になってから少しまた寒くなった)。去年の今頃はまだ雪が降ってたんじゃなかったろうか。腰痛持ちとしては非常に有り難い気候である。腰痛というと、腰自体に問題がありそうに思えるのだけど、実はやっぱり背骨と股関節の使い方が悪いと腰にくるという事を最近実感している。例えば、電気ろくろを長時間使っているとテキメンに腰痛がますのだけど、…