お直しカフェ
この2週間ぐらい、明け方背中の激痛と息のし辛さで目覚めて、1-2時間湯たんぽで温めたりストレッチで緩めたりして回復させたあと朝寝、というのをやってたら、案の定今日午前中の妊婦検診寝過ごしたんだけど、謝りの電話したら「それは辛いなーほな、このあとお昼食べた後においで」と慰めとゆるゆるのリスケしてくれたし、到着したら、診察前に話を聞きながら30分以上かけて背中マッサージしてくれたの、地元の小さな助産院…
鍵を開けて 詩人が「しょぼい喫茶店」に立った日々のこと
まずは以下のテキストを見てもらいたい。 冷蔵庫の下の方に。デミグラスソースしかない。足元に。イナゴしかない。一文字違いですね、イチゴ。イチゴの方がいいな。大丈夫ですか、頼まなきゃよかったとか。ちょうどいいです。でもなんか、戦場から戻った感じですね。地雷一回踏んだんです。酒飲まない。車で来たんで。芝生をはぎ取るんです、そのあときれいに土を掘ってすぽっと埋めて、またきれいに戻す。その仕事は大企業でやっ…
長期滞在者
3年ほど前から、タイヤが小さいながらも、なかなかにスピードが出る自転車に乗っている。 同居人の親友から譲り受けたものだが、サイズ感も手入れのしやすさも、凝り過ぎることなく自転車ライフを手頃に楽しみたい私にはぴったりであった。 また、偶然にも、チェーンロックの4桁の番号が私の誕生日と同じ番号であった。元々の持ち主が、とあるテクノユニットの片方のメンバーの誕生日をチェーンの解除番号にしていたようだが、…
スケッチブック
7月4日 「ばいばーい」小さな手が振られて、タクシーのドアがすうと閉まる。朝6時。しおと順が実家に帰った。「おじいちゃん、おばあちゃん、来ていいって」先週そう伝えた時は、「やったああああ」と叫びながら、保育園からの帰り道を駆け出し、昨日荷造りの前にもう一度伝えると、四つん這いになって両足を宙に何度も蹴り上げた。おかしくてカメラを向けると、たまらず顔を自分の腕に埋めて、ひとこと「よろこびです」と、呟…
鍵を開けて 詩人が「しょぼい喫茶店」に立った日々のこと
「来ぬ人を待つ」カフェをひらいたのは、ちょうど一年前のお盆が過ぎたころだった。この国ではお盆と終戦記念日、それから一年でいちばんの暑さとが重なることになっていて、どうしても死のけはいが濃くなる。いる人といない人とが、いつもより曖昧に交差するような気がする。 「来ぬ人を待つ」は、ほかの場の詩企画にくらべるとやや地味だ。わたしを含む、その場にいる人全員で、「まだ来ていない誰かを待っている」というテイで…
長期滞在者
仕事帰りに夜の武庫川サイクルロードを走行中、僕の漕ぐ自転車の前を、何やら半透明の、灰色をした、大きさは20cm前後の、平たい何かが横切った。目の前数メートル、地上30~40cmくらいだろうか。武庫川の自転車道は夜は街灯も少ないのだが、少し上を並行して走る自動車用道路からライトが漏れてくる。向こうから車が通過するたびに明滅する路上で、暗いとはいっても、それが半透明で灰色、平たい、ということはわりとは…
長期滞在者
半年、待っていた。 あまりにも家に篭りすぎていて、すっかり季節感をなくしていた8月。結婚披露宴やイベントの司会で、20年以上お世話になっている事務所からの仕事が半年ぶりに決まった。 3月に入ってから、この事務所からの仕事は全て延期か中止になった。8月の仕事も依頼があったものの、新型コロナウイルスの感染者の増加で、どうなることやらと気が気ではなかったが、無事に行われることになった。 久しぶりにスーツ…
長期滞在者
何年かぶりに夏休みを取りました。毎年のように今年こそは休もうかな、と思っていながらいつもは結局のこところギャラリーを開けてしまいます。 かつて、ギャラリーは、夏の間は長めのお休みを取るのが当たり前でした。 6月の終わりから、9月の中頃という、一昔前の大学生もびっくりという休業はそんなに珍しいことではありませんでした。作品の蒐集をする富裕層がバケーションの時期に開けていても作品は売れないから休む。嘘…
Mais ou Menos
ぴちゃん おはよう。今日で入院してから8日目。大分この生活にも慣れてきました。 病院の窓の新宿を見てて、すごくなつかしい気持ちになりました。山崎まさよしさんの『江古田』という曲があるんだけれど、その曲が頭の中で流れてきて、今見てる風景にぴったりだと思った。 6月末に、舌ガンになっていることがわかって、7月には復職して、そのまま、また入院して、この数ヶ月結構盛りだくさんだったね…。勢いでバーってきて…
長期滞在者
今月は今井くんが自室の部屋を大掃除。膨大な量の本や資料を電子化するという。裁断機やスキャナーが居間に並んで、ちょっとした工房のような雰囲気に。れいちゃんも裁断を手伝っている様子。私も服を大量に寄付したし、家にいる時間が長くなると環境を整えたくなるのは自然な流れなのだろうな。 家にいる時間が長くなってきたせいか、家に求めるものも増えてきている気がする。 もともと野菜やハーブを育てたいと思っていたけれ…
お直しカフェ
前回に引き続き、オンラインでのワークショップ開催に際して、ちくちくとお繕いをしながらぽつりぽつりとおしゃべりしたことをお披露目します。今回は、片付けコンサルタントの大浪優紀さんとの対談。この時、それぞれ手元で、大浪さんは布巾の穴を、私は靴下の穴をお直ししています。 === 大浪優紀(以下、うき):お片づけの依頼は女性からが多くて、9割方ファミリーのひとたち。元々ご夫婦とも自分のモノが多くて、子ども…
鍵を開けて 詩人が「しょぼい喫茶店」に立った日々のこと
だれかの話を聞くのが好きだ。より正確にいうと、だれかに話される話を聞くのが好きだ。 同じじゃないかと言われそうだがすこし違う。「話を聞くのが好きだ」というとなんだか聞き上手的な、コミュニケーションがうまそうな、そんでもって友達なんかもいっぱいいそうな感じがするが、わたしはその点はてんでダメなので誤解しないでもらいたい。基本的に会話全般のことはそこまで得意でもない、むしろ苦手なほうだ。雑談の話題に困…