長期滞在者
歩いているときには、細い小道を見るとそちらのほうに曲がりたくなるし、分かれ道ではまだ通ったことのないほうを選びたくなる。そうしたささやかな願望を満たしてやるためには、時間や体力に余裕がなければならない。急いでいたり気にかかることがあったりすれば、最短距離で早めに目的地まで着きたくなるものだし、だいいちそんなときには交通機関を使うから、ゆったり歩くこともまずない。 そんなわけで、ゆったり歩く時間を強…
長期滞在者
かなり寒くなってきたので服装とか厄介なのだけれど、あいかわらず夜行自転車を続けている。 防寒しすぎると汗の逃げ場がないし、風を通しすぎると風邪をひく。難しい。 しかし冬は空気がしんと澄んでいるし、夜の光がよく見える。 暖かい時期には靄ってしまっていた仄暗い遠景が、目を凝らせばすーっと暗部が持ち上がって景色に結像していく。 明暗は逆だけれど、現像液に沈んだ印画紙からじんわり景色が立ち上がってくるよう…
長期滞在者
展覧会の余興のような位置付けではあるけれど、年に何度か演奏家の方が投げ銭ライブをやってくれることがあります。小さなスペースで15人とか30人のお客様を前にしての演奏は、お客様にとってみれば、大きなホールでの演奏よりも体全体でその魅力を受け止めることになり、喜びも大きいわけですが、それゆえに演奏家も一切手を抜くことができない、心地よい緊張感がここにはあります。ささやかな空間でありながら、演奏家の方々…
Mais ou Menos
まちゃんへ 新年になりました。 ここ数日本当に寒くて、朝はなかなかベッドから出られなくなってしまっている。 でも、今日はいつもより、少し早く起きて、ゴミを出して、それからも二度寝せずに起きていられたこと、すごく嬉しかった。 毎年まちゃんも、自分も寒さが苦手で、だから冬は苦手で冬季うつ気味で苦労してる。この時期は、早く春にならないかとばかり思っている。しんどかったり、つらかったりするのは、冬のせいだ…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
お正月はいつも居心地が悪い。何事にしても、いっせいに動いたり停滞する空気に弱いのだ。違う空気を吸いたくて、早朝に出かけた。絶望的なほど朝に弱い私は、朝日を見たいだなんてあまり考えたことがなかったけれど今年はそんな気分だった。それに、日の出の遅い冬の間は朝に弱い人でも比較的日の出をみるハードルが下がるシーズンなのではないか。夏はとうてい間に合わない。 都心から1時間弱、大好きな港町に向かってまだ暗い…
メニハ ミエヌトモ
遅ればせながら、明けましておめでとうございます。 2000年になって早くも19年目に突入したのだなあと思うと、時の流れの速さを感じます。 2019年、どんな年にしようかな。そしてどんな年になるのかな。 さて、冬になると毎年楽しみな事がいくつかあって、その中に「味噌を作る」というものがあり、12月に入って新しい大豆が出回り始め、私の元にも新しい大豆がやってくるともう、そわそわ~そわそわ~としてしまう…
長期滞在者
この家は2011年の12月に生まれた。 震災があった年。 誰もがそう記憶している。 振り返ってみれば、この家は絶望しないために生まれてきたのじゃないかと思う。 便利な場所にあるから、誰かと住む方が経済的だから・・・ この家が必要とされてきた理由はたくさんある。 けれど実は、希望をつなぐ場所として生まれてきたのではないかな。 近頃、そんなふうに思う。 今、この家はどう変わっていけるだろうかと考えてい…
Do farmers in the dark
表題:落書き こんばんは! すみませんほとんどいつも謝ってばかりですが、今月も、今月は特に年越しと正月で、ものすごくだらだらしてしまい、以前の漫画の続きも書けず、前回よりさらに馬鹿みたいな中二の文章を載せています。 僕はタバコを吸っていい時は何事にも優先してタバコを吸い、お酒を飲んでいい時は何よりも優先してお酒を飲むような人間です。なおかつ僅かな体調不良も嫌なので、タバコもお酒もとて…
長期滞在者
毎年12月は、その年のまとめのような記事を書いてきた。今年、わたしの人生は、「自己肯定感」と「病気」を軸にして、目が回るほど様々なことが起きた。「自己肯定感」については、山ほど書きたいことがあって、到底一つの記事には書ききれない。だから、今日はつい最近考えたことについて書きたいと思う。 つい先日まで、アパートメントのリニューアルのためのクラウドファンディングが行われていた。多くの方のご支援のおかけ…
長期滞在者
今年11月、東京からオランダはアムステルダムに移住をした。 計画を立てたのは今からちょうど1年前のこと。妻と2人で、リビングのテーブルで将来設計を話し合った。彼女はイギリスで幼少期を過ごし、オーストラリアの大学を出て、東京の大学院に入るために帰国してから早15年以上が経っていた。彼女の周りは多国籍であることはさることながら、誰も彼も1か所に定住することなく、一定の時間が経てば次の場所へと移り、新し…
長期滞在者
花田菜々子『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』(河出書房新社) 店に行けば真っ先に小説・エッセイのコーナーをチェックする。そんな人で、この表紙に見覚えがない人はきっといないだろう。 花田菜々子さんの『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』、通称『であすす』。発売されたのは2018年4月のことだけど、…
ギャラリー・カラバコ
どこからかの帰り道なんかにふと視線を感じて見上げると、そこには月があがっている。 もうすぐ満月が近いのだなと思うとどきりとする。 また、あの場所に行けるんだろうか。 その心配も他所に、ポケットにはきちきちに冷えた鍵が沈んでいる。 考えたらわたしは、いちどもこのギャラリーに友達を誘ったことがない。 ひとりで訪れることしか、考えたことがなかった。 鍵を差し込む前に、ノックをしてみる。 ととと。 ととと…