日本のヤバい女の子
【7月のヤバい女の子/「あげまん」とヤバい女の子】 ● 炭焼長者の妻 ――――― 《炭焼長者(再婚型)》 東の長者と西の長者は仲が良かった。 長者の妻が揃って妊娠していたある日、二人は待ち合わせして馴染みの釣り場へ出かけていった。 流木を枕にして休憩しているうちに東の長者は眠り込んでしまう。西の長者が一人で起きて潮の様子を見ていると、どこからかボソボソと話し合う声が聞こえてきた。 見ると、自分たち…
長期滞在者
4月、わたしは小さな選択をした。ずっとやりたいと思ったことに、挑戦しないという選択だ。 挑戦をしないというのは、諦めのようでもあるし、成長を拒むような行為に思えるだろう。だけど、自分ときちんと向き合ったときに、今が挑戦のタイミングではないことは、自分自身がなによりも理解していた。今のわたしに必要なのは、新しい挑戦でなくて、今の自分の置かれている状況で、いかに健やかに生きていくかということだ。 わた…
ギャラリー・カラバコ
ある時ポストにこの部屋の地図と鍵が入っていた。 メッセージはなし。 ただ、「ギャラリー・カラバコ」 と。 宛名間違いだろうか? と封筒をじっと見てみたけれど、そこには確かにわたしの名前がある。 差出人の名前はなし。 ただのいたずらかもしれないけれど面白そう。 絵を見るのは嫌いじゃないし。 そう思って地図を辿ってみた。 とあるアパートの一角にそのギャラリーはあった。 鍵を開けると、ギャラリーらしい真…
長期滞在者
街に声を響かせるということは初めての経験だった。 2018年6月16日。 UNHCR駐日事務所、国連UNHCR協会主催「世界難民の日」 ソーシャル・アクション in 渋谷 #難民とともに。 6月20日の世界難民の日を前に、渋谷駅ハチ公前広場に、難民支援の現場でこれから使われる予定の最新型テントを設置。 テントの中に入って、避難生活を疑似体験することで難民について知る機会を設け、 オンライン署名や寄…
長期滞在者
ガードレールに挟まれた狭い歩道を通ってゆるい坂を登る。 左側に立つ電燈を過ぎると、自分の乗る自転車の影が右側のガードレール上に突然出現し、俊敏な黒い犬のように前方に駆け出して溶ける。 坂を登りきるまでに3つある電燈が、3匹の黒犬を走らせる。 毎夜通る坂道、毎夜見るガードレールだが、わかってはいても黒い犬の出現にはぞくぞくする。 昔読んだ漫画に出てきた、攻撃用に訓練された犬は世界最強だ、なんていうセ…
長期滞在者
このところ、ギャラリーに立ち寄る外国人の旅行者と思われる方々が目立ってきました。そしてリピーターになってくれる方が、家族やお友達を連れて再び来てくれたりすることが、徐々に増えてきています。 ギャラリーとしてのインバウンド対策、ということについて、今まで同業の誰ともそういう話題になったことがないのですが、日頃から備えておくことの一つとして、もっとも大事なのが、その場で持ち帰ることができる支度をしてお…
長期滞在者
「読むこと」というのは孤独な営みであると思う。たぶん、そうであるから、わたしは読むことが大好きだ。 本を広げて、目のなかにとびこんでくる活字を追っていくうちに、頭のなかにはだんだん別な世界ができあがっていく。電車に揺られていようと、ロビーで飛行機を待っていようと、心地よい自宅でくつろいでいようと、本を読んでいるあいだ、想像力は現実の世界を離れて、もうひとつの別な物語を生きている。わたしの実体はひと…
Mais ou Menos
————————- まちゃんへ 2人で何とか生きている、というのがここ数ヶ月の自分たちを表す表現かなと思う。 生活に困っているわけではないけど、日々やりくりしている。どうにか生きている。特にまちゃんは、持病と頭痛、倦怠感などとも闘いながら、毎日よくやっていると思う。 まちゃんの頭痛がない日は、すごく嬉し…
長期滞在者
台湾へ旅行したとき、友人がインスタントカメラをくれた。古道具屋で見つけたという古いカメラを手にしたわたしたちは、こどもの遊び相手のお人形みたいにいつでもカメラを持ち歩き、いつでも誰かが誰かを撮った。旅先から自分の日常に戻り、わくわくしながら現像に出したら、あまりに古いそのカメラにはほとんど何にも写っていなくって、茶色いテキスタイルみたいな、だるんと長いネガだけが戻ってきてガッカリしたのだった。しか…
Do farmers in the dark
以前までここアパートメントでボールペンの絵を載せていたのですが、今月から絵を少なめにしました。ひどく退屈な文章などを載せていく予定です。今回の第一回目は主には食べ物と女性の事について書いています。 Do farmers in the darkの意味は「暗いところで農家をやる」という意味です。なんとなく最近そういう気分です。 ではよろしくお願いします! 第一回 海辺の町で猿になりそうな…
長期滞在者
特別な経験よりも何気ない日常に光をあてることに、私は面白さを感じます。 私の住む家は20代後半から30代半ばの男女が5人住んでいます。 それぞれが個室を持ち、何か困ったことがあれば話し合って暮らしています。 この連載では家で起きたことを日記形式で綴っていきます。 こんな世の中にこんな生活があるのだと、愉快に思っていただけたら幸いです。 ※住人のプライバシーを守るため、名前は仮名を使用しています。 …
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
彼女のフェアなところが好きだ。 時々「きっつーい」と思うけれど大概その場で納得してしまう。だからあれだけ欠点や誤ちをビシビシご指摘いただいているにもかかわらず、嫌な気持ちを抱いたことがない。むしろ、ちゃんと言ってもらいたくて、ひとに言えないことほど彼女にだけ話してきた。 そういえば長い間、彼女はあまり自分のことを話さなかった。代わりに家族や学校生活や趣味についておもしろ可笑しく親しみを感じさせなが…