長期滞在者
最近決まりきった道で通勤するのがつまらないと思って、帰り道はできるだけ毎回違う道を自転車で走ろうと節操なくルートを変えている。それで遠回りになったとしても、いつも通る見知った場所と見知った場所が思わぬ繋がり方をしているのを発見したり、頭の中の尼崎地図が日々書き替わっていくのが面白い。 先日、阪神尼崎駅前から北上する幹線道路の、その一本西の裏道を走って帰っていたのだが、その幹線道路じたいが北西に傾い…
長期滞在者
ゴールデンウィーク中1日だけ時間が取れそうだったので、京都グラフィーへ行ってきました。 メイン会場だけでも15箇所ありますが、朝から夕方までで一気に9箇所の展示をしっかり見ることができました。 見る前は、先端的で難解な手法が次々と繰り出されてくるのかと思っていたら、全然そんなことはなく、意外とオーソドックスに写真を運用していました。 扱っているテーマも、社会的な題材、メッセージが明確なものなどが中…
Mais ou Menos
————— ぴちゃん お疲れ様です。ようやく週末だね。この一週間は割と元気に過ごすことができたので嬉しいです。暖かくなってきたからなのかな。 先月、これまでで一番体調が悪いひと月をすごして、改めてこうやって“元気”でいられることに喜びを感じます。 正直にい言うと、先月は、自分はこんな”miserable”な状態で死ぬのかなって、死ぬことば…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
彼女は山中湖行きの高速バスで隣の席に座っていた。 大きなバックパックを携えたアジア系の可愛らしい女の子は目的地に着く約2時間ほどのあいだイヤホンで音楽を聴いていたから、私たちは黙って隣あっていた。だけど最後のほうで彼女から降りるべきバス停について尋ねられたことをきっかけにお互いの名前を知った。彼女はマカオから初めて日本を訪れていると言う。 GWで賑わうなか、私たちはどちらもひとり旅だった。バスを降…
日本のヤバい女の子
【5月のヤバい女の子/嫉妬とヤバい女の子】 ● 山の女神 ――――― 《オコゼと山の神》 昔々、山にひとりの神が住んでいた。女性の神だ。普段はほとんど姿を現さなかったが、秋から冬は山を、春から夏は田んぼを司っていた。辺り一帯の村は彼女の加護を受け、いつも実りに恵まれていた。 ある時、山の神は珍しく里に降り、農作物の出来を視察して回ることにした。どの家でも田植えを終え、さわやかな風にまだ背の低い苗が…
長期滞在者
春は天候が荒れる。体調も崩れやすくなる。職場の面子が変わったり、環境が変わったり、出会いと別れの季節だ。波のようにいろんなことが揺れて、揺さぶられて、安定するのがなかなか難しい。わたしにとってもそれは同じことで、様々な変化に適応するために日々必死です。 3月末から4月末にかけて、これまでにはなかったような体調不良が続いていたのも大変だった。身動きが取れないような頭痛が連日続き、急遽CTスキャンを受…
長期滞在者
稲葉俊郎『いのちを呼びさますもの』(アノニマ・スタジオ) 本棚の前を立ち去ろうとした時、視界の隅で一冊の本が光った気がして振り返った。 血液のように真っ赤な表紙に、金色の箔押しでタイトルが刻まれた本が、棚の左上にあった。その本は、並べられている他の本と比べてどこか雰囲気が違っていて、どうして気づかなかったんだろうと思いながら手に取る。ぱらぱらとめくって、その時は稲葉俊郎さんというお医者さんが命や体…
長期滞在者
今日は夕方から天気が荒れるという予報。こんなにすっからかんに晴れているのにな。 夜大荒れだからといって、今使いもしない傘を持って電車で通勤するのは、どうにも楽しくない。 ああ、自転車に乗りたい。 こんなことをつぶやく自分にびっくりする。 お前そんなに自転車好きだったか(笑)。 実際、例年になく寒かったこの冬、ほとんど通勤に自転車を使わなかった。使えなかった。加齢は確実に根性を蝕む。なんだか寒さに年…
長期滞在者
うちで開催する写真展に合わせて、立派な本を出版される方は少なくありません。作品集が、全国の書店に並べられて、多くの人の目に触れ、人の手に渡っていくというのは、いまや幻想もいいところで、だからこそアートブックフェアへ参加したり、展覧会の会場で販売することで、ある程度の数の目処を立てたいのだろうと思います。 出版と展示を連動させて進めていくのは大変なことです。 どういう事情かわからないけれど、出版記念…
長期滞在者
桜が咲いた。 3月の週末。大阪に向かう新幹線の中で、東京の桜もこの土日が見頃というニュースを目にした。 今年は例年よりも随分と早く開花した桜。 大阪に着くと、京都の桜も咲いているみたいだよという話を耳にした。 父親が大阪出身ということで、小さい頃から大阪や京都にはよく足を運んでいたが、 私は、日本でも特に美しいと言われている京都での桜を見たことがなかった。 「ねえ、お父さん。京都で桜が咲いているみ…
Mais ou Menos
————— DEAR ぴちゃん 今日も仕事でバタバタしているのに、英語の勉強お疲れ。さっき、いつものスタバの近くを救急車が走っていくのを見た。たぶん、私が通ってる病院に向かってたんだろうな。サイレンの音を聞いて、胸がバクバクしたよ。 ここしばらく体調がとても悪くて、日々心配かけてばかりだね。ポジティブでいられないことも多くて、Pには本当に…
長期滞在者
新しい街に引っ越してきた最初の夜というのは、けっこう心細いものである。 駅に降り立ち、ここがこれから住む街か……とまわりを見渡す。これまでに何度か訪れたことがあっても、いざ住むとなると、街を眺める視線もいつもとは違ってくる。いざ住みはじめてしまえば、空気はだんだん身になじみ、なんとなく心安い気持ちになるのだけれど、引っ越しの初日、まだここは「知らない街」である。 バスに乗ったり歩いたりしながら家に…