画家と7人の肖像
宇宙の湖畔に根を張って咲いている。 深い、底知れぬ闇の湖だ。 蓮は、泥水の中で根を張りながら水面に透明感を放つ。 「泥中の蓮」とは、どんなに汚れた環境に根を張ろうとも染まらず、清く生きる様のことをいう。 美しい人はどんな苦境に立とうとも、腐らず咲き誇っている。 Photo by Kazuki Hiro どんなイメージでSUGIZOさんの肖像画を描くかということについて、私はこの企画を始める以前に彼…
長期滞在者
若い人たちの間でフィルムカメラが流行り始めているというニュースは聞いたことがあるが、この間やらせてもらった写真学生のコンペの審査会場にならんだ作品に、フィルムで制作したと思われるものが、思った以上に目立っていました。 改めて若い人たちが時代の雰囲気から即座に反応するスピードを強く感じました。 デジタル特有のシャープな画像と、明瞭な色彩ではなく、彼らからすると、フィルム特有のどこか不完全な仕上がりが…
Mais ou Menos
まちゃんへ 最近の体調はどうですか。 自分は、年始の宣言(?)通り、英語とjsの勉強をがんばってます。 休日に近所のお気に入りのカフェに来て、この手紙を書いています。 心が落ち着くひとときです。 ちょっとしんどいけど、新しいことを始めたり、積極的に何かに関わることに喜びを感じています。自分が得意なことを再発見したり、どうしたら、生活をよりよくしていけるか(仕事も含む)を常に考えています。 R…
the power sink
表題:友人の家の2階から大量に水が出ていたけど、理解出来ないので通り過ぎた 今月も絵を載せます。ではよろしくお願いします! トゲの付いた植物(たんぱく質だ)の中にちょうちょ(たんぱく質だ)と夕方の様な空(たぶんたんぱく質ではない)と冷凍の刺身(たんぱく質だ)と道路(たぶんたんぱく質ではない)がある様に見える。 無題 胸からお腹から股にかけて重…
風景のある図鑑
フーコーの振り子 : Pendule de Foucault フーコーの振り子は、地球の自転を可視化する振り子です。 私たちは常に回転している地球の上で暮らしています。しかし日常生活でそれを感じることはできません。 地球が自転していることを初めて証明したのが、フランスの物理学者レオン・フーコーの振り子実験でした。 1851年に、フーコーはパリのパンテオンで公開実験を行いました。 フーコーは長さ67…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
「本当の」とつく言葉の意味について、立ち止まってしまうことがある。 本当の優しさ、本当の幸せ、本当の悲しみ。いつもそれに辿り着いてみたいと思うのに、いつまでも自分が手にしているもの、目にしているもの、耳にしているものが「本当の」ものなのか判断がつかないでいる。例えば、「すごく好きになった人がいたことある?」と聞かれれば「ある」と答えられても、「本当の恋をしたことがある?」と聞かれれば自信がなくなっ…
長期滞在者
アリスとひろしくんに会ったあとは、しばらくフィッシュマンズばかり聴くことになる。 二人がよく歌うから、つい口ずさんでしまうのだ。 かなしいとぉーきにぃー うーかーぶーのわぁーあー 珍しく酔っ払ったアリスの歌声を思い出して、また「いかれたBaby」を再生する。 アリスと知り合ってから、行くよ、と何度も言っていた台湾に、ようやく行くことができた。 台湾で暮らすアリスと、珈琲屋のひろしくん、ドーナツ屋の…
Native Language
長期滞在者
去年の10月半ばくらいに多くの数のテーブルウェアの注文を受けたのだけど、 やっと先週末に最後のアイテムの成形が終わってホッとしているところです。 西洋ではテーブルウェアのメインはもちろん丸い皿なので今回もたくさん作った。 中型と大型のを合わせると皿だけで80枚の注文があったのだけど、 やきものの皿というのは製作過程で歪んだり割れたりすることが多く、 だいたい注文の倍くらい作らないと、焼成後に数が足…
長期滞在者
「サラリーマンなんて割りに合わないよなあ」 電車のドアが開いてすぐ、そんな声が聞こえてきた。目の前にいる若い男の子が、連れに愚痴をこぼしながら電車を降りた。男の子は新卒くらいの年頃で、スーツとピカピカした靴を身につけていた。仕事でなにか嫌なことがあったのかもしれない。 仕事は嫌なことが多いし、割りに合わないよね…って、頭の中からそんな声が聞こえてくると思った。だって、これまでのわたしだったら、絶対…
長期滞在者
ブラック企業や自殺未遂、生活保護。こうした話は、多くの人の関心を引く。でも、それをきちんと伝えることも、きちんと受け取ることも、とても難しいと感じる。その要因の一つは、語る方も聞く方も、少なからず興奮してしまうことだ。 語り手が興奮すれば感情は鮮烈に伝わるかもしれないけれど、できごとが歪んでしまうことがある。一方、聞き手はどうしても強烈なエピソードにゴシップ的な興味を抱きがちだ。無意識のうちに私た…
長期滞在者
見慣れた光景が普段と違う表情になるのを見るのが好きだ。たとえば年末年始の東京の都心部はきわめて無表情になり、わたしはその数日間だけ、無条件に東京のことが大好きだと言えるようになる。 12月も29日くらいになると、街や電車には目立って人が少なくなり、いつもはたくさんの人の波にもまれて辟易する通勤なんかも、すいすいと楽にこなせるようになる。日々の東京を染める殺伐とした空気がふっとゆるみ、妙に手持ちぶさ…