長期滞在者
時間というものについて、いろいろ考えるようになった。 現在という一点があり、それは常に先につらなる未来の時間を食いつぶしながら進行していく。 過去は進んだ航路から置き去られて後ろへ消えていく。 ・・・と、つい歴史年表のような直線的な時間進行をイメージしてしまうが、もしかしたら過去は一直線に過去になるのではなく、過ぎた途端に散らばって拡散してしまうのかもしれず、現時点からどれくらい過去か、というスケ…
長期滞在者
デジタル一眼レフを数台持っているけれど、最近写真を撮るのはもっぱらスマートフォンです。日々の仕事の記録写真も、授業などの講義に使うための写真も、時々依頼される雑誌の記事に添える小さな写真原稿のための写真に至るまで、これ1台ですませるようになってしまいました。このコラムのために掲載している図版も同じです。スマートフォンの軽いデータでほとんど十分なのです。 理由はいろいろあって、その方が簡単だからだろ…
Mais ou Menos
———————— Pちゃん 東京での生活も、もう10日を過ぎましたね。毎日一緒にいるけれど、実際のところどう?わたしは新生活に大分慣れてきたし、二人での生活がまた始まって、日々楽しんでいます。仕事に向かうPちゃんを見送りながら、はやく帰ってきてねといつも祈っているよ。まだ仕事が決まっていないのが今は不安…
the power sink
こんばんは!今回も絵を載せます。 今回はあんまりいい絵が出来なかったです。すいません。次回はもう少し頑張ります。 ではよろしくお願いします! 誰かを待つ2人と回転しながら放水する機械 何かがめり込んでいるような顔をした穏やかな人。帽子を被っている もやしみたいな植物とトウモロコシみたいな植物 ケーブルがちぎれた 上体を起こしてい…
長期滞在者
くんちゃんは あいている とを みていました。 とのまえまで きたとき、 とつぜん くんちゃんのあしが はやくなりました。そして あいている とぐちから さっと そとへ とびだしてしまいました。 (『くんちゃんのはじめてのがっこう』より) 4月になった。桜並木を通るたび、私は空を仰ぐ。入学式まで花は持つだろうか。明日は雨の予報だが、散ってしまわないだろうか。そして入学式。残っていた雨も上がった。私…
風景のある図鑑
「 クエーサー : quasar 」 クエーサーとは、地球から最も遠くにあって、最も明るい物体です。 クエーサー(Quasar)という名称は、準恒星状天体(quasi-stellar object)を縮めたものです。 クエーサーが他の天体と明らかに違う点は、私達が知りうる限界、8億光年以上もの距離に存在しているのに、吐き出される大量の放射線によってその存在を知ることができる点です。星の内部で起こる…
長期滞在者
ぼくはビビりだ。“超”がつくほどのビビり。そんでもって、妙に探りを入れるというか、考え過ぎてしまうというか、被害妄想が激しいようで、なにをしていても、なにもしていなくても、相手に笑われているような感覚に陥ってしまうことがある。例えば、街を歩けば、田舎出身のぼくは「田舎者だ」「なんかへんなやつがいる」と嘲笑されているんじゃないか、なんて無駄なことに気を遣ってしまうことが日常茶飯事だ。 おそらくこれっ…
長期滞在者
4月です。まずは前回の記事の訂正から。 ダミアン・ジャレの経歴をさらっと紹介したときに、 彼がP.A.R.T.S.と言うコンテンポラリーダンスの学校出身、 と書きましたが、違いました。 ぼくがローザスというカンパニーで仕事していたちょうどその頃、 ダミアンはP.A.R.T.S.の学生と交流があったり、 その周辺での企画に関わったりしていた頃に顔を合わせていたので、 ぼくが勘違いしていたようです。 …
はてなを浮かべる
あこがればかり自覚しすぎてる? いつまで揺さぶられ続けるのか? ぴったりのかたちでなくとも 収まることを覚えていくの? 通す芯は一本じゃなきゃいけない? ともかく今は鉛筆を握るべきだろうか? こんなに大きい面積でも映らないときってあるの? 足の裏を確認してみる…
日本のヤバい女の子
■新生活とヤバい女の子 ――――― ■絵姿女房 一枚の絵があった。女の絵だ。少しはにかんで、目とくちびるの端に微笑をたたえた女。この絵は彼女の夫のために描かれた。うつくしい妻の姿に目を奪われたきり仕事が手につかない男のために、妻が描かせたのである。 結婚してからというもの24時間妻に見とれていた男は、絵を懐にしまい込みようやく畑仕事に出た。少し耕しては絵を眺め、少し耕しては眺めするものだからいっこ…
長期滞在者
数年ぶりの引越しがもう数日後に控えているのに、わたしは心の準備がろくにできないままでいる。引越しはたくさんしてきた方だと思うし、わりと慣れっこのはずなんだけれど、今回はあまりにも実感が湧かなすぎて、変な感じがしている。数日後には、数年ぶりの東京。目が覚めたら、もう比叡山が視界に見えないのかとか、電車の車窓から琵琶湖が見えないのかとか、感傷的にはなりたくないのに少し気持ちがしゅんとしてしまう。後ろ…
長期滞在者
「帰る」というのは不思議な言葉だな、と思います。例えば宇宙空間から地球上を観察していれば、私たちはただ時に移動し、時に同じところに留まっているだけのように見えるでしょう。そうした無数のストップ&ゴーを、しかし私たちは「どこかに行き、どこかに帰ってくる」と認識します。言葉は多分あまり関係ないですね(「帰る」はおそらく人間に限定されない、動物としての「私たち」が共有する概念と思われます)。長年住み慣れ…