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Mais ou Menos #7 —裏でも表でもないわたしたちの往復書簡ー

Mais ou Menos

20150510M

20150510P

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Pちゃん

今日は久々の休みでした。ここ数ヶ月すごく忙しくて、最近は身も心も疲れていると感じます。仕事に対するモチベーションが下がっていることが、とてもしんどいです。でも、それでも日はまたのぼるし、時間は過ぎる。日々、家と職場の往復。世界中の大人たちの毎日は、こんな日々なのでしょうか。

悲しいと思うことが多い反面、家に戻ってきたときの安心感はひとしお。庭のジャスミンが日増しに花を咲かせているのも嬉しい。先日、二人で琵琶湖のほとりでぼんやり過ごしたことあったよね。私はあんな風にぼんやり景色を見るのが何より好きです。こういう小さな幸せが、今日も、明日も私を生かすのだと思います。

私が子どものころ好んで読んだ銀色夏生さんの小説に『夕方らせん』という本があります。「若草のつむじ」という短編に、“困ったときは、遠くを見よう。近くばかりを見ていると、迷うことがあるから。”という言葉があるのですが、私はこの言葉をことあるごとに思い出します。そして、ブラジルのなにもない自然、森、風、太陽の光、琵琶湖の波音、電車のとどろき、月の明るさ、様々なことを思い浮かべます。

前にも話しましたが、私はだまっているのが何より好きです。言葉を発する必要がないところに居るのが好きです。私にとって、遠くを見るということは、日々話すことを仕事にしている私にとって、話さなくてもいい場所をさすのだと思います。だから、本当のことを言うと、私は、はやく話す仕事から離れたいのだと思います。

6月には、少し休みをとりたいです。外出するのに美しい時期です。私も、今後の生き方をもっと考えないと、と思います。私じゃない私として日々人々の前に立つのは本当につらい。家では心がほんの一時、だまることができるのでたすかっています。理解してもらえていることも、本当にありがたい。

2015.05.10
Maysa

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まちゃん

まちゃんの休みの日に熱を出してしまってすみませんでした。自分は熱を出したり、しんどいという言葉を発すると怒られていたので、どうしても、体調を崩すと罪悪感を感じてしまいます。

まちゃんが、本当は人と話すのがそんなに好きじゃない、ということを、私は知っています。話すのが好きじゃないのに、気を遣って話をしているということも知っています。まちゃんは自然の中にいるとき、本当に穏やかな顔をしています。まちゃんは自然に生かされたんだな、とそういうときに思います。だから、時間があるときは、自然の中に身をまぎれさしに行きましょう。

私は、まちゃんほど、自然に触れ合ってはいません。でも、まちゃんと過ごすようになってから、自然を前に、人間てなんてちっぽけなものなんだろうと感じるようになりました。どれだけ、人間が世界を発展させても、自然にはとうてい敵わないと、自然を前にするといつも思います。ただ、自然が目の前にあって、自然は、ただそこにいることを許してくれる大きな存在です。

まちゃんと、もっといろいろなところへ行って、いろいろな自然をいっしょに見たいです。きっと気分がすごくよくなると思います。そのために、今できることをがんばっていかないとなあと思います。
二人が生き生きとできる景色を、これからもたくさん見ていきたいです。そう思うと楽しくなってきます。たくさん迷惑かけますが、これからもよろしくお願いします。

2015.5.10
P

PQ

PQ

ゲームと映画が好きです。
国籍も性別もない。

Maysa Tomikawa

Maysa Tomikawa

1986年ブラジル サンパウロ出身、東京在住。ブラジルと日本を行き来しながら生きる根無し草です。定住をこころから望む反面、実際には点々と拠点をかえています。一カ所に留まっていられないのかもしれません。

水を大量に飲んでしまう病気を患ってから、日々のwell-beingについて、考え続けています。

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