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Mais ou Menos #53 —裏でも表でもないわたしたちの往復書簡ー

Mais ou Menos

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Pちゃん

今日もお疲れ様です。もう3月も半ばやね。春は苦手なシーズンです。病気になる前は、少しずつ温度が高くなるこの季節が大好きだったけど、今はすごく辛い時期です。

春は鬱の傾向が強くなるの。毎日のように、寄せては返す波のような身分の乱れと戦っては、まけて波にのまれてしまっています。Pは辛抱強く私を見守ってくれていると思います。

2月後半から3月頭にかけて、1人で外に出かけることがあった。去年入院してから、1人ででかけることってほとんどなくて、すごく不安だったけれど、なんとかなった。それは不思議な感覚だった。外に出て、人がたくさんいる電車に乗って、人に会って話をする。しばらく、きちんと人と話してなかったから、すごく緊張したけれど、ほんの少し自分1人ででかける勇気が戻ってきた気がする。”普通”のことが、普通にできなくなってたから(というか、できないと思い込んでたのか?)新鮮だった。

8日には、JMSNのライブにも行ってきた。いくら体調が悪くても行くつもりだったけれど、案の定、会場についたときにはすでに腰がすごく痛くて、すごく怖かった。痛さはあったけれど、音楽を楽しむ余裕はあったからよかった。JMSNのパフォーマンスが本当によかったからだと思う。”Drinkin’”という曲(今回のツアーでは歌わないと思ってた)を生で聴けたのがすごく嬉しかった。

9日には2人で糸車を使って糸をつむぐ体験ができて夢がかなった。行動することがすごく怖くなってるから、ずっとやってみたかったことができる喜びって、すごくパワフルだなと思います。嬉しかったのは、4時間Pがすごく楽しそうに糸車を使っているのを見れたこと。私が予想していたより、糸車を楽しんでくれてたのが後ろ姿からでもわかったの。本当によかった。次の講習では紡毛糸のつむぎかたを教えてもらって、なんとか基礎を身につけられたらと思います。また2人で行こう。そして、糸車も買おう。共通の趣味になるといいね。

今後もつらくなることたくさんあると思う。心底落ち込んで、ひたすらワーワー泣くこともあると思う。だけど、悪いことばかりじゃないって思うことにしたい。私は1人じゃないし、私と会うためにわざわざ時間を作ってくれる人もいるし、好きな音楽もあるし、なにより日々Pが私の横で支えてくれている。ただ静かに糸を紡ぐということも、私にとっては大事なことです。こういうことにフォーカスして、頭の中にいる”マイナス”なエネルギーを出している私自身を説得し続けようと思います。今年も春を乗り越えよう。

Maysa
2019. 3.10

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まちゃんへ

だいぶ気温が暖かくなってきたね。朝少しだけ起きやすくなりました。春は気持ちや体調が崩れる(乱れる)ことが多いから、今から注意が必要やな。

まちゃんが1人でどこかに出かけるの、最初は道中で倒れないかなど心配やったけど、(もちろん今も心配やけど)まちゃんが自分のしたいことをやって楽しんでいる姿を見ることができて嬉しかった。

糸車の講習、本当に楽しかった。4時間あっというまだった。
woolがよりがかかって、どんどん糸になっていって、その糸同士をよりあわせて丈夫な1本の糸ができる。
これを見ると何だか今のうちらみたいやなと思った。糸は手で紡いでいるので、太いところ細いところがいろいろあって、2本の糸をそれぞれより合わせることで、独特のかわいい、愛おしい糸になる。うちらの人生も太いところ細いところ固いところ柔らかいところ、それぞれたくさんあるけれど、2人の人生がより合わさると、丈夫で美しくて愛おしい1本の糸となる。お互いがお互いを支え合うことで、強さを保っていける。そんなことを、この前の糸車で初めて紡いだ糸を見て思いました。初めてやけど、すごく良い糸ができたと思う。糸車をもっとやりたいね。

マイナスなことも生きてたらたくさんあるけど、こんな楽しい出来事の時間を増やしていこう。
糸が増えたら、編み物もできるようになりたい。
何か作りたいです。また教えてください。

2019.3.11

P

Maysa Tomikawa

Maysa Tomikawa

1986年ブラジル サンパウロ出身、東京在住。ブラジルと日本を行き来しながら生きる根無し草です。定住をこころから望む反面、実際には点々と拠点をかえています。一カ所に留まっていられないのかもしれません。

水を大量に飲んでしまう病気を患ってから、日々のwell-beingについて、考え続けています。

PQ

PQ

ゲームと映画が好きです。
国籍も性別もない。

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