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Mais ou Menos #65 —裏でも表でもないわたしたちの往復書簡ー

Mais ou Menos



ぴちゃん

今日もお疲れ様です。ここ数日、家のことがあまりできなくてごめんね。体調がここまで悪いと感じたのは、成長ホルモンをはじめてから、初めてだと思う。久々に、あ、死ぬかもって思ってしまったよ。こういうときに、頼れる相手がいること、心からありがたい。

2月後半ごろから、フェミニズム関連の本をたくさん読んでいます。勉強不足だと感じることがすごく多かったから。読み始めたら、他にもたくさん読みたいと思う本が増えた。twitterをみてると、何でこんなことを言う人がいるんだろう、なんでこうも言葉が通じないんだろう って思うことが多くてさ。で、これは自分がおかしいのだろうか、って思ってしまうこともあって。

でも、イ・ミンギョンさんの『私たちにはことばが必要だ』とか、小川たまかさんの『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』とかを読んで、自分はおかしくないって思えたの。世の中には、今のまま理不尽な状況を維持したい人がたくさんいて、人の話を聞くことすらしようとしない人がたくさんいるんだって。

わたしは、わからないことや理解したいことについて学ぼうとしたり、自分の認識の誤りを正したり、反省したりすることが大事だと思っていて、日々そうしているつもり。本来なら、こういうことを、「あちら側の人」が理解しようとしないといけないのに、自分がおかしいのかなって思ってしまったことは、いかに自分が今の社会に染まりきってるかを表してて、すごく反省した。

友人や身近な人、弟に話したり、本を薦めたり、本の感想を書いてみたり、自分たちも声を上げていかなくちゃと力づけられた。

そうそう、駅前のマグノリア、咲き始めてたね。木蓮の花、本当に好きなの。この季節、体調は悪いけれど、木蓮を見るとなんとも言えない幸せな気持ちになります。

Maysa


まちゃんへ

ここ数日、まちゃんの体調がよくなくて心配していました。でも、今までの経験からどう体や薬をコントロールしたらいいかというのを考えられるのはすごくいいことだと思っています。ただ、この状態が来週も続くようなら病院行こう。

最近まちゃんがフェミニズム関連の本をたくさん読んでいるのを見て、まちゃんの中で何か知りたいこと、理解したいことがすごくあるんやろうなぁと思っていました。

自分と違う価値観や感覚の人たちの中に1人自分がいる状態のとき、私は「自分はおかしいのだろうか」と思いました。(過去に)

でも、実際はそんなことなくて、別の人に話を聞いてもらったら、自分の考えに共感してもらったり、もっと別の意見をもらえたり…

本当はたくさんの、それぞれの人や道、方法があるのに、世の中の理不尽なことは、それが1つしかないように思わせてきたりする。

そんなことない、と柔軟に考えられる知識と余裕を身につけたいです。

そのためにも、人の話を聞いたり、話しかけたり、対話を持つことがすごく重要だなと最近感じています。

マグノリアの花とつぼみ、きれいやったね。

あまり外に出ても花を見てなかったけど、また見に行きたいです。

2020.3.8

P

Maysa Tomikawa

Maysa Tomikawa

1986年ブラジル サンパウロ出身、東京在住。ブラジルと日本を行き来しながら生きる根無し草です。定住をこころから望む反面、実際には点々と拠点をかえています。一カ所に留まっていられないのかもしれません。

水を大量に飲んでしまう病気を患ってから、日々のwell-beingについて、考え続けています。

PQ

PQ

ゲームと映画が好きです。
国籍も性別もない。

Reviewed by
小沼 理

すべてがひっくり返るような革命的なできごとはそう起こらないから、社会は変わらないもののように見える。だけど例えば数十年単位で歴史を振り返ってみると、確実に変化しているのだと気づくことができます。
それはフェミニズムをはじめ、差別をされてきた人たちが声を上げてきた積み重ねとしてあるものです。違和感を感じたときに抑圧されないで、小さな声でも誰かに伝えてみることが、次につながる一歩になる。「個人的なことは政治的なこと」だから。

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