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Mais ou Menos #67 —裏でも表でもないわたしたちの往復書簡—

Mais ou Menos


Pちゃん

Hi! 気付けば、もう5月も半ば。2020年も、ものすごいスピードで過ぎている気がします。暖かい日が多くなって、きっとすぐに夏も本番。

コロナの影響はまだまだ長引きそうだね。この先、自分たちはどんな社会を生きることになるんだろう…。これからの生き方、消費のしかた、人との関わり方、働き方、すべてが変わっていくのかな。怖いような不安なような。その一方で、フレキシブルに生き方を変えていけばいいかとのんきな気持ちもあって。

極端かもしれないんだけど、人間ははるか昔から、食べて祈って、歌って、狩りをして、様々なものを育てて、服や住まい、コミュニティをつくってきた。そういう、人間の根本的な営みを維持することができたらいいのかなと思ったりもする。(まあ、狩りは今の時代にはそぐわないけど…)

“The more, the better”な時代ではなくなっていくのかな。そうであってほしいなと私は思っています。(知識はThe more, the betterだけどね…。)

↑をふまえると、今私たちがなにを食べて、健康を維持するかを考えられているのは良い方向なのかも。

家でエクササイズして、より体が健やかであれるような習慣をつくろうとしてる。Pの家族とも、私の家族とも自分たちが苦しくならない距離感を維持できてる。

2人が弱っているなかでも、生活を維持できていることには心から感謝しないとね。

自分のブログでも書いたんだけど、正直に言うと、私、今、すこし気が楽なの。私たちがこれまで良しとしていたあり方がとても脆弱なものだとわかったから。あちこちで、誰かの、何かの無理の上でなりたっていたものなんだもの。

自分だけでなく、社会や他者のもつ隠された弱さが見えるようになって、肩の荷がおりるような感じがする。

そりゃ、言いたいこと、思うこと、もやもやすることはたくさんあるけど、こういうときだからこそ、知ること、学ぶこと、つくること、考えることをやめたくないね。そして、日々の小さなことの大切さを忘れずにいたい。

来月も、無事にお便りできますように。Pちゃんだけじゃなく、この手紙を覗き見てくれる人々にも。

Maysa


まちゃんへ

まだ少し肌寒い日もあるけど、ずいぶんあったかくなってきたね。

これからも生き方、人との関わり方、変わっていきそう…

今、家で映画を見たり、クラフトしたりしている時間が自分にとっては必要な時間だったのかと思いつつ日々を過ごしています。

最低限の人間の根本的な営みができたらそれでいいなと最近思っています。

家で健康のためにエクササイズしたり、体によいものを食べたり、そんなささやかなことが、今、すごく幸せです。

家族との距離感も今くらいが過ごしやすいです。

今、弱っている自分がこれ以上無理はしたくないし(できないし)やれることだけやっていこうと思っています。

最近嬉しかったことはHKマスクを自分の力だけで作ったこと。

手芸に関してはまちゃんがうまいということもあって頼りがちなんやけど、自分でやってみよう!と思って作って、何個も作って腕が上達していったのがすごく嬉しかった。あと作ったマスクが普段使えるのと、まちゃんに使って喜んでもらえてるのもすごく嬉しかった。

熱中しすぎないように区切りながら、今後も色々なものを作っていきたいです。

まちゃんと一緒に過ごす日常が毎日すごく大切です。

来月もこの調子でゆるくやっていきたい。

2020.5.8

P

Maysa Tomikawa

Maysa Tomikawa

1986年ブラジル サンパウロ出身、東京在住。ブラジルと日本を行き来しながら生きる根無し草です。定住をこころから望む反面、実際には点々と拠点をかえています。一カ所に留まっていられないのかもしれません。

水を大量に飲んでしまう病気を患ってから、日々のwell-beingについて、考え続けています。

PQ

PQ

ゲームと映画が好きです。
国籍も性別もない。

Reviewed by
小沼 理

コロナの感染が拡大する一方で経済活動が縮小していて、温室効果ガスの排出量が急減しているという。今ある社会のかたちは行き詰まりを見せて、それにともなうつらいことも色々あるのだけど、ただ悪いことばかりではないのかもしれません。

社会のかたちが変わって、どんな生き方を目指すべきなのかわからない今、大切なのは自分の声に耳を傾けること。そしてそれは、社会の常識につい違和感を感じてしまう人のほうが得意だったりします。実感にまっすぐ向き合えるマイザさんとPQさんを頼もしく感じ、僕自身の気持ちも軽くなったように感じました。

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