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Native Language part5

Native Language

 映像のための、というか映像を想起させるような音を作っていたら、いつの間にやらCDに出来るほど溜まったので作りました。
https://satorukita.bandcamp.com/releases
最初のひと月は€5(日本から購入される場合、自動的に円換算されます。)で販売しています。

NATIVE LANGUAGE
 物心ついたころから石やら木やら水やらそういう自然物が興味の中心で、割とぼんやりしていました。思春期になっても変わらず、本を好まず、ボーっと自分なりに何かを観察している方が好きでした。そしてその物に触れて何か実際に作るのが好きでしたね。典型的な案ずるより産むが易しタイプ。それが年を経るごとにその傾向が顕著になって、原因→結果みたいな直線的な物事の帰結がごくごく単純な事でも魚の小骨のようにのどに引っかかるようになり、自然界のように緩い規則で束ねられた離合集散みたいなものの方がずっと居心地よくなりました。今でもだいたいの屁理屈現代アートより洗濯機を眺めている方が楽しいです。多少思慮深いフリでカモフラージュする技術は身に着けましたけれどね、ふっふっふ。実際は生産性の無い面倒くさい人間が一丁上がり。
 今考えると複層的な物や共感覚的な物への興味はずっとあったようで、そういうものが心象風景としてたくさん溜まっていったように思います。なので、自分のルーツについて思いめぐらせた時に、そこには自分なりの風景はあっても血筋や国みたいな帰属意識は極めて希薄で、国籍性に関してはほぼ皆無に等しいです。あれ?思いっきり原因→結果の話しているね…まあいいや。人は往々にして、自分の理想のために矛盾を抱えながら生きていくいい加減で適当な生き物なのです、そして「都合」という階段を一段一段上りながら大人になってetc。閑話休題、少なくとも日本人らしい多少の所作やスポーツで日本を応援すること以外は、主観的にはどれぐらい属性としてあるのか正直分からないです。持論ですが、これは何も僕が特別なのではなくて、観念(どこからどこまでが観念とするかは人それぞれですが)的な物を全て取っ払ったら誰でもそういうアニミズム的な物にルーツを求めると思うのですが。自分を見失ったら、錆びた鉄や煙や木のきれっぱしみたいなものが一番の鏡になってくれます。そんな自分のことを嘘偽りのない自分なりの言語で投げかければ、それに呼応して各々が心の奥底にある独自の風景や言語に気づくと信じています(新手の新興宗教じゃないです。)。そういう思いを込めてのNative Language。

 ゴタクはさておき、一聴していただければ幸いです。そして出来れば買ってね♡
https://satorukita.bandcamp.com/releases

北 学

北 学

サキソフォニスト、作曲家

大阪生まれ。幼少期をシンガポールで過ごし、帰国後15歳までチェロを学ぶ。96年彫刻を学ぶため渡仏。97年、サックスと出会い独学で習得。以後、ジャズを初め、即興やダンス・映像等様々なプロジェクトに参加。主なものに、ダンス作品「夜弓」やスズキケンタロー氏との「Otoms」、永井朋生氏との「Kynas」、Toninho do carmo氏とのブラジル音楽等々。また、Pierre&Mattieu Carniaux兄弟監督の「Last room」等、映像作品にも精力的に参加。物作りで培った視覚的・触覚的質感を元に、音で絵を描くことに重きを置いている。

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