長期滞在者
泣いている時に、「今から行く」と言ってくれる人がいることにどれだけ救われているか。 私が泣いている理由は、世の中の差別に対してだった。 明らかにそれは大切な仲間の人権を侵している。 その疑問を表した時に、 「差別ではないでしょう」、「問題があるとは思えない」と、投げかけられた言葉の前に立ち尽くした。 「この表現は人を傷つけているのではないでしょうか?」と問いかけた言葉が、 あっという間に消えていく…
当番ノート 第38期
「人はみんな、それぞれ自分にしかできない強みを持っています。例えば『桃太郎』に出てくる鬼退治のシーン。キジは空を飛んで敵を攻撃、サルは素早い行動で相手に近づき、得意の爪でひっかく。イヌは凶暴な歯で噛みついて鬼を退治。みんなが強みを発揮すれば、チームで大きな事を達成できます」 ダイバーシティ研修の動画の中で、そんなことが言われていた。言っていることはすごくよくわかる。よくわかるからこそ、“貢献できる…
長期滞在者
自分だけが感じている感覚なのか、ほかの人も一般的に感じるものなのか、いまだによくわからないことが、いくつかある。そのときを過ぎるとすぐに忘れてしまうし、ささいなことだから、あらためてほかの人と話したりする機会がない。 —— たとえば、コーヒーの効力が切れた匂い。ドリップコーヒーに入れるお湯の量をちょうどよく調整するのは難しい。多すぎると水っぽくなって台無しになってしまうし、…
当番ノート 第38期
その人を、神様だと思っていた なんでも知っているようにみえた 歩むべき道を陽の光で照らしてくれた 僕を生み出してくれた いまになって気が付くとは。全部間違いだったんだ。 なんにも知らない。 照らされた道は、いやに丁寧に舗装されていて、どうやら俺向きじゃあない。 あいつは、俺の精神まで造り上げようとしているのか。 そのことに気が付くのに、二十一年もかかってしまった。不幸というべきか、いや最悪だな。人…
長期滞在者
最近決まりきった道で通勤するのがつまらないと思って、帰り道はできるだけ毎回違う道を自転車で走ろうと節操なくルートを変えている。それで遠回りになったとしても、いつも通る見知った場所と見知った場所が思わぬ繋がり方をしているのを発見したり、頭の中の尼崎地図が日々書き替わっていくのが面白い。 先日、阪神尼崎駅前から北上する幹線道路の、その一本西の裏道を走って帰っていたのだが、その幹線道路じたいが北西に傾い…
当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 . (スイピーノでは滞在中、各自の希望に合ったプログラムを組んでくれる。そのメニューをプリントしたもの) セレモニーは、一日置きに行われる。 アヤワスカの強さが増して行くにつれ、だんだんと幻覚のようなものを見るようになった。しかしそれは30秒ほどの短い映像だったり、わかりやすいメッセージではなくてなにかのモチー…
当番ノート 第38期
今回は冬の星座ふたご座から。いったいどんな双子なのだろう。 ** カストルとポルックスは神の王ゼウスとスパルタの王妃レダとの間に生まれた双子でした。カストルは荒馬を手なずけるのがとてもうまく、戦略に長けており、ポルックスは拳闘のチャンピオンでした。2人そろってオリンピア競技では数々の優勝をさらい、さまざまな冒険に参加して、勇者としてギリシャ中に名前がとどろいていました。 彼らにはイーダスとリュンケ…
長期滞在者
ゴールデンウィーク中1日だけ時間が取れそうだったので、京都グラフィーへ行ってきました。 メイン会場だけでも15箇所ありますが、朝から夕方までで一気に9箇所の展示をしっかり見ることができました。 見る前は、先端的で難解な手法が次々と繰り出されてくるのかと思っていたら、全然そんなことはなく、意外とオーソドックスに写真を運用していました。 扱っているテーマも、社会的な題材、メッセージが明確なものなどが中…
当番ノート 第38期
全てに美しさを求める。 絵描きとして感性を磨いていかなくてはいけない。 それには絵以外の事で、常に気をはっておく必要がある。例えば、食べ残した食材でも美しく残す。例えば椅子の置き方でも美しく置く。例えば食器の重ね方でもセンス良く重ねる。それらは普通に生活している人からすると意味のない事だが芸術に触れている者なら必要なことだ。しかしそれらを必要としない世界が多くある中で、美しさを追求することは私は難…
Mais ou Menos
————— ぴちゃん お疲れ様です。ようやく週末だね。この一週間は割と元気に過ごすことができたので嬉しいです。暖かくなってきたからなのかな。 先月、これまでで一番体調が悪いひと月をすごして、改めてこうやって“元気”でいられることに喜びを感じます。 正直にい言うと、先月は、自分はこんな”miserable”な状態で死ぬのかなって、死ぬことば…
当番ノート 第38期
今回は不思議な感じの旅だ。 ここにいるようで いろんな場所に気持ちが飛んでいく。 さっきブカレストの空港で 久しぶりに言葉の単語帳を開いた。 この単語帳は数年前から私が出会った人に その人の好きな言葉 今思いついた言葉を自由に書いてもらっている。 そしてその裏に名前を書いてもらう。 単語帳は1冊100ページで、2冊目になった。 言葉を読み その時のことが思い出される。 それを書いてくれた人とそ…
当番ノート 第38期
「大学3年になったら就活も始まるし、自分の長所を見つけないと」と、大学2年の冬、アイルランド留学中にぼんやり考えた。今まで何かに秀でてこれなかった私は、いずれ大量に書かなくてはいけないエントリーシートの「長所」欄に不安を感じていた。 海外は好きだけれど英語が堪能なわけじゃない。留学も、1年間行ってる人に比べたら1~2か月はあっという間。企業にアピールできる「長所」なんて自分のどこを探しても見つから…