当番ノート 第38期
嫉妬してしまうくらい尊敬しているあの子は、気配りの権化のような女の子だ。飲み会のとき、飲み物が少なくなっている人にはすかさずメニューを渡すか、「ビールで良いですか?」と、その人の頼みそうな飲み物を先回って聞く。あまり食べていない子には、食べ物を取り分けて近くに行き、「気使わずにたくさん食べよ!」と一緒に食べてくれる。常に周りの人が楽しくいられるように考えて動いていて、飲み会の幹事やみんなのとりまと…
当番ノート 第38期
マレの表通りを歩いていると、向こうからブロンドの女が歩いてくる。もはや黄金の時代は過ぎたといった風で、紺のスーツで身を包み、軸の短いハイヒールの音を高鳴らせ、急ぎ足でこちらに向かってくる。ふと、一枚のポスターの前で足を止める。仁王立ちで選挙用のポスターの前に立ち、じろりと一瞥をくれると、右手でもってポスターを破り取り、丸めてぐしゃぐしゃにして地面に叩きつけた。さすがのパリジャンたちもこの異様な光景…
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当番ノート 第38期
2016年の6月に、ペルーへ行って先住民の儀式に参加しました。その経緯を書いてみます。 ・算数の問題 子供のころ、たしか小学校の低学年のころだと思うけれど、知り合いの大人からこんな問題を出された。(もしよかったら、あなたも考えてみてください。) Q. 等間隔に並んだ9つの点を、一筆書きの4本の線で、全て通るにはどうすれば良いか。 私はいろいろと試してみた。どうしても、4本の一筆書きで全ての点を通る…
当番ノート 第38期
はじめまして、金曜日の当番ノートを担当します、さいとうです。 今回の連載では星座とそれにまつわるギリシャ神話のお話をベースに、さまざまな人間模様について少し立ち止まって考えてみようと思っています。 なぜいまさらギリシャ神話か。それは自身の幼少時代の記憶にさかのぼります。 関東とは思えないほど田園風景の広がる地域の生まれなのですが、少ない地元自慢のひとつは満点の星空が見えることでした。天体観測が趣味…
当番ノート 第38期
私の小さい時の夢からの話。 私はいつも絵に囲まれていた。 小学1年生の時、当時大阪の小学校に通っており、その学校も50年という古い歴史をもった学校で生徒が近寄ってはいけないようなところには、お化けが出そうな薄暗い場所に配電盤が置いてあったりした。(幽霊教室)(幽霊階段)などと生徒の間では広まっていた。 私ももう昔の記憶のため、確かな事は伝えられないが本当にあえてお化けが出る雰囲気を作っているかのよ…
当番ノート 第38期
はじめまして。 これからこのアパートメントの滞在でどのような出会いがあり、 自分自身が何を見つけるのか、とても楽しみです。 私は今ルーマニアの黒海沿岸の小さな町にあるバレエ団で踊っています。 今年の3月の初めに1年に1度のガラ公演があり、自分の作品を上演することができました。 どこにいてどこに行くのか それをテーマにコロンビア人の同僚と作品を創作しました。 2人で創る 2人の関係性 自分がそこにど…
長期滞在者
うーむ。 この3月は何やらいろいろ収穫の多い月だった。 ような気がする。 以前、やっと成形が終わってホッとしている、と書いた、 やきもの仕事の本焼成が二月半ばすぎにやっと終わったのだけれど、 その直後にプチ・バーンアウト状態になったのもあり、 3月前半は2週間の休暇を取ることにした。 1月に訪れたフランスのメッスに再び向かい、 今回は坂本龍一x高谷史郎によるライブコンサートを鑑賞し、 その後で、も…
当番ノート 第38期
時々私は、自分のまわりにある世界がすべてのような気がして、どこにも居場所がないと思ってしまうことがある。失敗をしたり、コミュニティにうまくなじめなかったり、人に迷惑をかけてしまったり。そんな時「もう誰ともいい関係は築けない」と、自分の箱の中に逃げ込みたくなってしまう。 以前、とある年上の女性から、「自分のやりたいことを貫きすぎると、周りとひずみが起きるわよ。やりたいことがあっても、周囲の人が望んで…
日本のヤバい女の子
【4月のヤバい女の子/ オタクとヤバい女の子】 ● 鬼を拝んだおばあさん ――――― 《 鬼を拝んだおばあさん》 昔々、今でいう富山県の辺りに一人のおばあさんが暮らしていた。 おばあさんは変わり者で、鬼を熱心に信仰していた。普通の人が「仏様…仏様…」と唱える場面で、一人だけ「鬼様…鬼様…」と祈るのである。 周囲の人々は皆「やばいって、やめなよ」ととめるが、聞く耳を持たない。結局、年を取って亡くなる…
当番ノート 第38期
少し、話を聞いてほしい。 これは若者の戯言だ。興味がなければ、左向きの矢印を押して出て行ってもらっても構わない。だがもし、君が答えを求めているのなら、どうか僕の言葉を聞いていってくれ。 問題は、なぜ物を書くのか、というところにある。確信しているのは、これこそが僕のやるべき使命である、ということだ。書くことによってのみ、僕は生き永らえ、幸せを嚙みしめ、そして世界の役に立つことができる。それ…
長期滞在者
桜が咲いて、マグノリアの花も、もう散り始めた。精密検査にための通院ラッシュがひと段落して、普通に働く生活戻らないといけない。季節の変わり目だからなのか、気分が優れない日々が続いているものの、天気は日々好転しているので、うざうざした気持ちのままでいるのは正直勿体無い。だけど、濡れた顔のアンパンマンのように、力が出ないのも本当で、毎日今日も一日頑張らないといけないのかと、朝お布団の中でしばらく泣きそう…