当番ノート 第37期
小学5年生の時、私は学校に行っていなかった。 いわゆる不登校である。 時間の感覚って不思議なもので(大人になって小学校の時の机や椅子を見て、すごく小さく感じるように)、今となっては一体どれくらい学校に行っていなかったのかも思い出せない。 担任の先生が家に来てくれたこと。 母とハンバーガーを買って公園に行ったこと。 塾の先生達が本当に面白い人たちで、いつも応援してくれていたこと。 踊るのが楽しくて仕…
長期滞在者
もう10年ほども前のことになるのだけど、 当時、仏教の瑜伽行唯識派に興味があって、 それに関する本を読みまくってみたり、 その片鱗みたいなものに触れられはしないかと思って とうの昔に仏教が衰退し切っているインドにわざわざ行ってみたり、 知り合いのツテをたどって日本の法相(唯識)宗の興福寺のお坊さんに会いに行ったのだけど、 その人に比べてあまりに何にも知らないのでものすごくバカにされて追い返されてみ…
当番ノート 第37期
私の名前は、睦海、という。 海の字がついているけれど、生まれは、那須連峰がきれいに見える、田んぼと果樹園の広がるところ。海には何の縁もなく、親近感も持たずに育った。自分の半分は海のはずなのに、私は海を全然知らない。海ってどんなものだろう。そんなことが、なんだか忍びないような気持ちがして、子どもの頃から、もやっと、引っかかっていた。 二十歳の時、きれいな海を見るために、旅をした。 きれいな海は南だろ…
当番ノート 第37期
2月12日(月) 朝起きて「お腹空いた」と呟くと、恋人さんが起き出してカルボナーラを作ってくれた。恋人さんはイタリアンレストランで少しだけバイトをしたことがあったことや、カルボナーラづくりにハマって、365日中347日くらいカルボナーラをつくった時期があったので、恋人さんがつくるカルボナーラは天才的においしい。昨日の夜から泊まっていたお母さんと一緒にカルボナーラをすする。瓶のケースの半分くらい使っ…
当番ノート 第37期
(お気に入りの画像です) 大学浪人生だったとき、私は小説を書き始めた。 完全なる自己満足だったけれど、書かずには居られなかった。 以来10年間、私は何かあるごとに文章を自分勝手に書いてる。 僭越ながら分類分けをするならば、エッセイであったり、ファンタジーであったり、私小説であったり。 特に、心が落ち着いていなかった時期は毎日のように書いていた。 現在のファイル数でいえば、ざっと数えて300ほど。 …
当番ノート 第37期
いま、ここで、どうなるのか。どうするのか。 毎日、そんなことを考えている。 6歳からクラシックバレエを習っていた。 初めて発表会で踊ったのは「おもちゃの兵隊さん」と「おもちゃのチャチャチャ」。 踊るのは好きだったけど、恥ずかしさと緊張で、いつも仏頂面で踊っていた。 小さい頃のひとり遊びはバレエの先生ごっこ。 母がピアノの先生だったこともあり、家には音楽CDがたくさんあった。 その中から好きな音楽や…
長期滞在者
1960年代後半、オノ・ヨーコはジョン・レノンとの蜜月の日々の中で、印象的な前衛パフォーマンスを発表した。レコードのジャケットに全裸になって登場したり、「ベッド・イン」と称したパフォーマンスを告知してマスコミ陣に公開セックスをすると勘違いさせつつ、ホテルのベッドに二人で入って平和について語ったり。 こうした活動は、今も「常軌を逸した」「凡人には理解できない」というようによく紹介されている。たしかに…
長期滞在者
こころが環境の変化についていけないことってある。例えば、何かの前提が覆ってしまうときとか。2月はわたしにとって、何もかもがひっくり返って、なにがどうなってしまうのか、大嵐にのみこまれながら航海を続けているような一ヶ月になった。 かなり遅いペースではあるけれど、三十代に入ってから自分が「働く」ことにどのような価値を見出しているのか、どんなことを信じて働いているのかがわかってきた。社会人として第一歩を…
当番ノート 第37期
時計の秒針の音。 冷蔵庫のモーター音。 1人で眠る部屋は、いやに静かで、そんな音が、時折大きく聞こえる。 電気を点けたまま、目を閉じる。 いつの頃からか、1人の時には明かりを点けたまま眠るのが、当たり前になってしまった。 一生こうするとすると、電気代、どれだけかかるんだろう、か。いつかはこの癖、やめなければ。 寝る時には近くに誰かがいるといい、と思う。 思い返せば、子どもの頃から、1人で寝るのが苦…
当番ノート 第37期
2月5日(月) 朝10時から久しぶりのクライアントワークの取材で浜松町へ。そのクライアントさんとは何回かお仕事をさせてもらっていたのだけど、久しぶりにお目にかかるなぁと思って、考えてみたら1年ぶりだった。春みたいに温かい気候で薄着をしてきたのに、また数日後には大寒波が来るみたいですよと編集者さんが言う。この季節は本当に思わせぶりだ。 小さな店舗にお邪魔する取材だったのだけど、思ったよりもスペースが…
当番ノート 第37期
(家近くのにて。もうすぐ桜が一面に広がるのです。) 前回の続きとして、本稿では再会について書いていこうと思う。 再会を通して、私は出会いよりも多くのことを学んだ。 もちろん、意識して再会していることが大きな因果として存在しているはずだが、なんというか、 様々なことがよりリアリティを持って自分に届いている感覚だ。 それは年齢が関係しているのか、自分が変わったからなのか、それとも・・・ —…
当番ノート 第37期
「息を合わせる」という言葉がある。 例えば、誰かと踊る時に、お互いを意識し合いながら、タイミングを合わせたりずらしたりして踊るということ。 音楽を演奏したり、言葉を話す時、そして普段の生活の中にも通じている、からだと言葉。 同じ流れやリズムをからだの中に持つことで、同調させていく。 人だけでなく、音楽や空間そのものとも交わっていく。その逆も然り。 「息」に関する考察って、面白い。 + 先日の稽古で…