当番ノート 第36期
あれは忘れもしない4年前のよく晴れた秋の朝の事だった。 いつも通りに出勤しようと、家の真ん前に停めてある愛車の軽トラに乗り込んだのだった。 ただ、いつもと違ったのは、何故かその時「最近ウンコ踏まないなぁ」と思っていた事だ。 妻と今朝のお互いの大便の具合について話していたというのでもなく、 全く脈絡もなく、ふとそんな思いが胸に去来した。 (↑現場写真) エンジンを始動しようしたところで、車内に漂う異…
the power sink
表題:家の中で半裸の人 今回も絵を載せます。ではよろしくお願いします! 瞑想 男女 パンみたいなカサカサした2人は、ものすごくぶどうが食べたい。でもぶどうは3年くらい前にどこか違う次元に行ってしまった。机にぶどうの焼け跡みたいな影があった。 空間に誤って配置された人。それか誤った空間に配置された人 花と手 &nbs…
当番ノート 第36期
かつて「小劇場ブーム」と呼ばれた時代がありました。 といっても、演劇に興味のない人にはなんのことやらという感じでしょうが。 ものすごく簡単に(そしていい加減に)日本の演劇史を説明すると、 明治時代までの日本でポピュラーだった演劇様式というと歌舞伎なんですが、 明治の末ぐらいにもっとリアルに行こうぜ!と新派が生まれ、 昭和になってもっと芸術的に行こうぜ!と新劇が起こり、 1960年代くらいからもっと…
風景のある図鑑
「 燐 : phosphoros 」 燐は、原子番号15、化学式Pで表される元素です。 燐は錬金術の実験の副産物として発見されたと言われています。 錬金術は、金を作り出すための学問です。卑金属を金に変えるために黄色い色をつけるということを考え、人体から出る黄色いもの、尿について研究した錬金術師がいました。彼は大量の尿を蒸発させ、残留物から暗闇で青く光るものを見つけました、それが燐でした。 燐はギリ…
当番ノート 第36期
古文|月の異名【居待月】 昨夜(3日)は、スーパームーンが師走の空に浮かんでいたらしい。 らしい、というのは、私は見ていないし、それを知らなかったし 今日になって、ネットニュースで知ったから。 日没後の18時台と、20時台に、車で移動していたので、 ビルの隙間とか、陸橋の上とか…自宅に近づいてからは山の上とか どこかで視界に入っていたかもしれないけれど…。 スーパームーンねえ・・・。 大きく見える…
画家と7人の肖像
地球と月ですら年に3cmずつ離れているのだから、きっとこの世には変わらない距離なんて無いのだろう。 Photo by Kazuki Hiro 今回の制作の「終着点」にはギリギリまで葛藤があった。 あれこれ考えるより始めてしまわなければわからないことの方が多い。ラフ画を元に完成の話をするのが苦手だ。ほぼ完成に近い状態、もしくは完成形を用意して初めて議論されたい。過程でああだこうだ言われ、時に「それっ…
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
2年間、小学校へ通わなかった頃のことを話すのは、これで最後にしようと思っている。 最後、というのはこの話が人を悲しませるからじゃない。これからお話しすることはきっと、思いがけず枠からはみ出てしまった人や好きなもの以上に「嫌いなもの」がはっきりしている人をすこしだけ安心させられると思う。誰かを励ますこともきっとできるし、役に立てるかもしれない。だけど何しろ過去のお話だから、旅先で出会ったひとからの打…
当番ノート 第36期
6月にカナダのトロントへ来て、今に至る。 まだそれほど寒くなる前、真冬用の防寒具を求めて友人と出かけたアウトレットモールで、盛大に体調を崩した。 東京にいた時も、並んでいる膨大な数の新品の服をずっと見ていて気分が悪くなることはしょっちゅうあったのに、完全に油断していたなと今になって思う。 出かけたアウトレットモールは巨大だった。 新潟の実家から時折車で出かけていたショッピングセンターの、5倍くらい…
当番ノート 第36期
旅をして作品を作るという生活を送っています。 今年の8月にオレゴンの森の中で皆既日食を観て来ました。(写真は友人ダイちゃんが撮影したもの) 他人の共感ではなく自分の信じるものは何たるかを確かめる場所だと思っていたので、電波も何も繋がらない一週間はとても貴重で、その時にもっと人生を遊ぼう、必要なものだけでもっともっとシンプルに生きていこうとより強く思いました。 帰国してすぐに借りていた部屋を解約し、…
長期滞在者
初音ミクではなく、本人バージョンの「砂の惑星」(by米津玄師)が ずっと頭の中でヘビロテ再生中の今日この頃、すっかり寒くなりました。 ヒートテックのパッチが手放せません。寝るときの毛糸のソックスも必需です。 米津玄師といえば、DAOKOとの「打上花火」も菅田将暉との「灰色と青」も なかなか良いです。好きです。 そういう意味では「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」が 気になっているところで…
当番ノート 第36期
皆さん、はじめまして、杣Booksこと細井と申します。 長野県の上田市で林業をしていて、たまに山の上で本屋さんをやっています。 今日から2ヶ月、水曜日にこちらで連載させて頂くことになりました。 どうぞ宜しくお願い致します。 (↑極めてわかりやすい林業の風景) …と3行書くやいなや、英語で言うとas soon as possible. とにかく、3行書くやいなや、空々しさに襲われている私。 自分で書…
当番ノート 第36期
「願い」 「世の中の役に立たずに生きていきたい」 高校生の頃、そう願っていました。 どうしてそう思うようになったのか、今となってはまるで分かりません。 けれどひたすらにそう思っていたことだけは、はっきりと覚えています。 神戸という海沿いの街で暮らしていました。 通っていた高校は小高い丘の上に建っていました。 教室の窓からは大阪湾が一望できました。 授業中、ぼくはずっと海を眺めていました。 晴れた日…