当番ノート 第31期
さしたる愛猫家でもないわたしが、猫のことについて書くのを、どうか許してくださいますでしょうか…。猫を飼っているわけでもありませんし、猫を引き寄せる特殊な能力を持っているわけでもありません。猫に関してはただの一般人なのです。 いや、もちろん、当事者でなければそのことについて書いてはならんという法はありません。猫経験のごく浅いわたしも、大手を振って、猫のことを書きたいと思います。もし、このノートを読ん…
日本のヤバい女の子
【3月のヤバい女の子/献身とヤバい女の子】 ●おかめ ――――― 《おかめ伝説》 長井飛騨守高次は窮地に立たされていた。 高次はベテランの大工である。京都・大報恩寺の本堂の工事を任され、がぜん張り切っていた。 しかしなぜかーーー自分でもなぜそんなことをしてしまったのか分からないのだがーーー木材の寸法を間違って切断してしまったのだ。 それもただの木材ではない。この日のために信者から寄進された特別な木…
当番ノート 第31期
今回は昔の話を、少し。 私は小さい頃から映画が好きだった。映画館にもよく通っていた。テレビで映画がやっていれば、なるべく見るようにしていた、そんな子供だった。 一番最初に見た映画は、おそらくテレビでやっていたチャップリンのドタバタ喜劇だった、と思う。当時はレンタルビデオもなく、映画を見るといったら、映画館かテレビだったので、特に子供時代は、テレビで放映する映画はとても貴重なものだった。今でこそ、『…
長期滞在者
2月は、ほぼ毎週何かしらのドキュメンタリー映画を観にいった。昨年、記録映像作家の岡村淳さんに出会ってから、彼の訪日上映会がある度に出かけて行っては日本人移民のドキュメンタリーを観ている。わたしが知りえなかった、ご先祖さまたちの生き様を知るために。 昨年、祖父が亡くなって、いつか聞きたいと思っていたことを、永遠に聞けなくなった。岡村さんの映画観ておかないと、と気持ちが焦るのは、祖父から聞けなかったこ…
当番ノート 第31期
Toypianorgan(2013) 音楽というもの以前に、音に触れたり、音が生えて来る事物に惹かれる。 普段の音楽制作の範疇では、フィールドレコーディングの類いは制作上で必要になった場合以外は行っていないけれど、録音等を伴わないスタンスで、世の中の音達に耳を拡げて聴き入る「音景探し」の様な事は、散歩や外出先で時間が出来た時、旅先など馴染みの無い土地に居る時等、気軽な状況の時に…
当番ノート 第31期
食べこぼしで服を汚してしまったことがきっかけで染色をはじめました。材料はほぼ台所で調達しています。 初めはまったくの我流でやってみたのですが、インターネットで「草木染め」で検索すると、詳しいサイトがたくさん見つかったので参考にしました。麻や綿のような植物性の布は、大豆の汁で下準備をする。布を染めっぱなしではなく、染めた後に色止め液に浸けることで色を布にしっかり定着させ、色落ちさせにくくする、など。…
当番ノート 第31期
オザケンが19年ぶりにCDシングルをリリースした。もちろん購入した。 「c/w」の表記が何とも言えず懐かしかった。 (カップリングウィズの略で、90年代はシングルCDのB面のことをこう呼んでいた) 最近は、amazonやiTunesで購入することが多くなり、CDショップというものに足を運ぶのもめっきり減った。 昔は気になったCDを視聴して時間を潰すことも多く、何時間でもいれる気がしていたのが、 今…
当番ノート 第31期
前回書いた、考えるへんな人、たいらいくし。彼にインスパイアーされ、トライアルもしてみて、家なしの生活実験を本格的にはじめることを決意した。元々は、東京でやろうと思っていたが、ご縁もあって、京都へ。 たとえ言葉は通じたとしても、関東と関西は何やら文化やコミュニケーションがちょっと違うんでないかい、と感じていたし、おそらく京都に住むなんて一生ないだろうからこの機会に、と国内留学のために京都にしたのだっ…
当番ノート 第31期
速く走れるようになれば、楽に走れる。 2年半前に走り始めたころは、そんな風に思っていた。 個人競技は自分のがんばった分だけ結果がついてくる。ランニングはその正しい見本だ。個人差はあれども、トレーニングを積んで走れば走っただけ、速くなる。 他人と比べるとどうかは分からないが、僕も以前よりは速く走れるようになった。だからといって、何も楽になってはいない。 極地を1週間走るステージレースに出れば、毎日寝…
当番ノート 第31期
20年といえば、まあ、それなりの時間です。20年前のこと…思い出せるでしょうか? わたしは小学生でした。そして、そのそれなりの20年のあいだ、ずっと、わたしは長靴のことを誤解しながら生きてきたのでした。 こだわりの強い小学生だったわたしにとって、長靴というものは、野暮ったくて我慢のならないものでした。ぱかぱかして足にフィットしないような気がするし、原色の黄や赤がバカに陽気だし、通気性が悪くていつも…
長期滞在者
こだまさんの『夫のちんぽが入らない』を読んだ。 発売が決まってから、ずっと楽しみにしていた本だった。発売した日の夜、近所の書店に立ち寄ったら置いていなくて、次の日に会社をこっそり抜けて新宿のブックファーストで購入した。ずらりと並べられているうちの一冊を手に取ると、普通の単行本より一回りほど小さい。昨日行った書店の新刊棚にあった不自然な隙間と同じくらいの大きさで、もしかするとこの本が並んでいたのかも…
当番ノート 第31期
クラリスブックスでは、月に一度読書会を開催している。これは、参加者の方に決められた課題図書を読んできてもらって、いろいろと感想などを語り合うというもので、私もスタッフも参加する。 そもそもこの会は、私が古本屋を営んでいるにもかかわらず、あまり本を読んでいないので、このような会を自ら開催すれば否応なしに本を読むのでは、という、とても利己的な考えから始まったものだ。 店がオープンしたのは2013年12…