当番ノート 第28期
慰霊碑の前にはあらゆるものが置かれていた。 缶ビールや缶ジュースが置かれているのはテレビでも見たことのある光景だったけれど、ぬいぐるみにアクセサリー、トランプやギターまで並んでいるのを見て驚いた。花束を包むセロファンがホールに吹く僅かな風を受けてさざなみのように揺れた。僕はそれを数メートル離れたところにあるテラスから、ぼんやりと眺めていた。 僕の左にはアズマが、右には金田が座っていた。ふたりとも静…
当番ノート 第28期
韓国で美容師をする、という仕事の話になるが、 自分の中では、お客さんに向き合うとき、韓国人と日本人で接客を切り替えてやっている。 カット入るまでの最初のカウンセリングからぜんぜん違う。 理由は、やはり双方にいろいろな違いがあり、同じやり方では対応できないからだ。 例えば、次のような感じである。 韓国人の希望するスタイルの特徴は、 「なんもしなくても良いように」 「ボリュームほしい」 「この写真とま…
当番ノート 第28期
suicide cats in seaside① suicide cats in seaside② suicide cats in seaside③ 背中にぺたりと張り付いたムジャンの濡れた毛並みは潮風で少しずつ乾いていき、 灰色のそれはアマリの背中をそわそわと撫でる。 くすぐられているような感触に時々笑ってしまいそうになるのをアマリはこらえた。 背中に感じる毛むくじゃらの重みは不思議と頼もしかっ…
当番ノート 第28期
お疲れ様です。 僧侶の鈴木秀彰(すずきひであき)です 今回で第8回目。 今回も含めてあと2回になりました。 前回は、現在感じている僕の葛藤について、お話させていただきました。 周りの方からの僧侶に対する、ある意味願いとも言える「信念が強く、何事においてもぶれない」というイメージ。改めて、他人から自分はこう見られている、こういう存在であってほしいと期待されていることを感じました。 今、僕は有髪の僧侶…
当番ノート 第28期
一つめの嵐が去った朝、そして二つめの嵐が来る前に、私とモリヤさんは外へ向かうトラックの荷台に乗せてもらった。トラックは日に一度、食料だとか外でしか手に入れられないものを届けてくれる役目のものだった。口数は少ないが気の良いおばさんが運転手で、見返りも求めず乗せてくれるのだ。 もう少しいる予定だったんですけど、とモリヤさんは言う。 「次の仕事があるし、この島には休みがてら来たのでそう長引かせるわけ…
当番ノート 第28期
雨の日が続いた。 僕は自分の記憶を探ることを一旦辞めて、部屋の片付けをしたり、簡単な食事を作るようになった。医者から貰った薬が合ったのか、この前同期と会って話したせいか、以前よりも前向きな気持ちで過ごしている実感があった。相変わらず眠りは浅かったけれど、数日に一度はぐっすりと眠り、腹を空かせて起きることができた。 僕はキッチンに立つと、食パンを切り、丁寧にマヨネーズを塗り、胡瓜とハムをはさんで食べ…
長期滞在者
もう二十何年も前の話だが、劇団に所属して舞台活動をしていた頃、指の先端から各関節、体の重心の移動・受け渡しというものを全部意識の上に引っ張りあげながら、全身にテンションをかけてとにかくゆっくり動いてみる、というエチュードを、劇団のトレーナーに指示されて身体訓練の一環として行っていた。 いつもは無意識の領域に委ねている身体各部の動きを、全部意識の表層に引きあげてから動くことで、まずは自分の体との対話…
長期滞在者
随分と笑った。 2016年8月28日。 エイズ孤児支援NGO PLAS10周年記念Thanks Partyで司会を担当した。 この時に初めてお会いした、土屋アンナさんとのトークセッションがたまらなく楽しかった。 言葉を交わし合うことで、こんなに気持ちがわくわくする方には滅多に会えない。 何時間でも話していたいと思える素敵な方だった。 言葉が途切れずにいられる人に出会えることは、そんなに多くはない。…
当番ノート 第28期
韓国で美容師として働き始めて、やがて3年半が経つ。 この3年半でご飯屋さんもどんどん変化している。 自分は辛いものが苦手で韓国料理はあまり食べられないので、 この国の食にはだいぶ苦労をしていると言える。 最初はほぼすべての韓国料理がダメなぐらい何も食べれなかった。だが人間の適用能力とは凄いもので 少しずつ辛くない食べ物を見つけたり、頑張って辛いのに挑戦しながら自分自身も辛いのに多少慣…
長期滞在者
このビルを少し離れたところから見ると、とても味わい深いかたちをしていることに気がつきます。 ぼくが、ここに来たばかりの頃は、レンガのタイルが貼られていましたが、現在では白のモルタルが吹き付けられています。どちらの時代もよく似合っていました。 特徴的なエントランスの屋根を支える黒御影石で化粧した柱があり、上に向かって細く削られるようなかたちをして、左右非対称に広がる屋根に結ばれています。屋根の庇は両…
当番ノート 第28期
お疲れ様です。 僧侶の鈴木秀彰(すずきひであき)です 今回で第7回目。 前回は、今一度自分を見つけなおした僕が次にとった行動について、お話させていただきました。 それは「自己受容」。 できない自分も自分なのだと受け入れるという行動でした。 受容すると、自分をもっと知りたいという気持ちが出てきました。 多くのイベントを開催していたご縁で、さまざまな人に出会い、他者から教えてくれる自分という存在に気づ…
Mais ou Menos
まちゃんへ 金曜日は2人で初めて夜通し遊ぶということをしましたね。 自分もああいうイベントは初めてて、最初は緊張もしたけど、なじみのお店のパーティー的なイベントだったので、すごく楽しめた。 今、これファミコンの音楽聞きながら書いてる。 ほんまにファミコン好きでよかった!! あと、音楽聞きながら踊るの気持ちいい。知ってる曲がかかったらテンション上がる。まちゃんが朝までずっと踊っててすごいなと尊敬した…