長期滞在者
先日新宿のエプサイトで写真を売るということをテーマにしたレクチャーをさせて頂きました。35度越えの猛暑の真っ昼間だというのに、後ろの方で立ち見もでているくらいお越し頂き大変ありがたいと思いましたが、このようなテーマのトークショーに興味を持たれる方がこんなにもいるのか、ということも驚きでした。 最近写真を売る買うを始めとしたファインアートフォトグラフィーの仕事の様子についてお話をして欲しいという依頼…
当番ノート 第16期
世界の片隅の扉の向こうに、その町があり、その星がある。 ”六等星をもらえるプラネタリウム” 住所:ツバメ町 J地区 灰の小路 店主はこう語る——— 「”外”のかたは、滅多にこの町には来ないものですから。私も、こうして”外”からのお客さまにお会いしたのは、何十年ぶりかしらねぇ。そんなわけで、この町には、”外”のかたに泊まっていただくような場所が用意されていないのですよ」 ガイド…
当番ノート 第16期
3000円。 東京都内のチェーン居酒屋に行き、飲み放題コースを選んで飲むときの平均金額。飲み放題でなくても、そこそこつまんで飲んだら、そのくらいはかかる金額じゃないだろうか。たくさんつまんでお腹を膨らせ、たくさん飲んでいい感じに酔える、酔いが進むぶん会話も盛り上がりやすい。ぼくは88年生まれなんだけど、同世代をみると、そういう飲みをしている人が多いように見える。 そういう飲み方は “嫌い” とか …
イルボンと小鳩ケンタの空席商会
◇出てくるひと(順不同・敬称略) イルボン(gallery yolcha車掌/詩演家):以下、車掌 小鳩ケンタ(詩人):以下、鳩 Adama C.Turay(画家):以下、アダマ ◇◆◇◆◇ 【2014年7月の相席】 2014年7月13日、gallery yolchaにて収録。 Adama C.Turay Exhibition(2014年7月5~13日)展示最終日。 生後5カ月の娘を連れたAdam…
風景のある図鑑
「 白熱電球 : incandescent lamp 」 白熱電球は、ガラス球内にある螺旋状の細い線、フィラメントの電気抵抗を利用した電球です。 フィラメントに電気を流すと2000~3000度の高温になり、白熱化して強く光ります。 エジソンが発明した当時のフィラメントは炭化した竹でしたが、今はタングステンという金属が使われています。 フィラメントは大変高温になるため、少しずつ金属が昇華(固体から…
長期滞在者
2週間ほど前に、映画製作に携わっている友人から連絡があり、と ある短編映画に出演する若い役者たちの動きをコーチしてもらえな いかと相談があった。映画の現場には興味があるので面白そうなの でやってみる事にして、2日前にその撮影が終わった。 ストーリーは至ってシンプルで、暇を持て余している二人の若者が 田舎道沿いの塹壕跡で原チャリを乗り回しているときに、たまたま 通りかかった女の子に声をかけるのだけど…
当番ノート 第16期
50人くらい入れる静かで真っ白なスペースにいくつものボトルが整然と並んでいます。それらは、アタックなど市販のプラスチックの洗剤容器だったはずです。しかし表面がやすりで削られ、何の商品かは分かりません。 今年の5月、東京都現代美術館で「フラグメントー未完のはじまり展」を見ました。この展示は、断片的な情報が氾濫する現代において、その「断片」との向き合い方、あるいは「断片」の受け入れ方をわたしたちに提案…
長期滞在者
「この子たちの背中に翼がはえているのは、この子たちの生まれる前に私が見た夢のせいかもしれないわ。あれは空を飛んでこの町から出ていく夢だったもの」(『空飛び猫』より) 暑くて暑くて溶けてしまいそうなくらい暑くなるとあらゆる場所で猫が落ちているのが目につく。ところかまわず行き倒れるように予告なくぼてっと寝転がりそのままじっと動かないその姿は、いる、というより落ちている、というのがしっくりくる。多分に漏…
当番ノート 第16期
世界の片隅の扉の向こうに、その町があり、その店がある。 ”階段オルゴール屋” 住所:ツバメ町 Y地区 樫の小路 店主はこう語る——— 「いらっしゃいませ。……あれ、見ない顔だね。もしかして”外”からのお客さんですか。では、”ツバメ扉”に気に入られたんだね。この町に入るとき、”ツバメ扉”を通ってきたでしょう。たいていは、あの扉はかたく閉じていて、”外”の人が通れることは滅多にないんだけど。”…
当番ノート 第15期
ぼくは二十代の後半まで、まるで英語が話せなかった。これから英語で話す内容を頭で組み立てているうちに初歩的な文法や発音の間違えを人前でするのが恥ずかしくなったり、話すタイミングを失って話題は既に次のトピックに移っていたりして、英語を話す事、ということはまるで濁った川の底から無くした鍵を見つけ出す様に手探りをするかの様な心許ない事だった。 日本語以外の言葉を話す、という事はぼくに違う生き方が出来る事を…
長期滞在者
先日、仕事の帰り道にどこからともなく人の話し声を聞いた。どの家から声が降ってきているのかわからなかったが、開け放たれた窓から、女性が笑いながら話している声が聞こえるのだった。そのとき、ふとナポリを訪ねたときのことを思い出した。 ナポリ旧市街、スパッカナポリの下町を歩いていたときのこと。狭い路地裏をきょろきょろ見回しながら、わたしはどこからか聞こえる無数の笑い声に気づいた。ふと見上げると、背の高いア…
当番ノート 第15期
気づいたら東京地方も梅雨が明け、すっかり暑くなりました。 連載期間中に痛めた腰も少しずつ回復に向かっています。出張続きで干せなかった梅を、今週こそ見計らって干したい(これを土用干しといいます)ところです。 実は先日まで連載回数を全8回だと思っており、前回の「遊びをせんとや」で終わりにするつもりでした。では最終回はビデオダンス作って〆ようかなどという目論みはもろくも崩れ、あとがき的な雑文で後を濁して…