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2F/当番ノート

3000円の飲み方を考える

当番ノート 第16期

2014-04-21 00.38.09-2

3000円。

東京都内のチェーン居酒屋に行き、飲み放題コースを選んで飲むときの平均金額。飲み放題でなくても、そこそこつまんで飲んだら、そのくらいはかかる金額じゃないだろうか。たくさんつまんでお腹を膨らせ、たくさん飲んでいい感じに酔える、酔いが進むぶん会話も盛り上がりやすい。ぼくは88年生まれなんだけど、同世代をみると、そういう飲みをしている人が多いように見える。

そういう飲み方は “嫌い” とか “いけない” とかそういう話をしたいわけじゃない。居酒屋でワイワイと飲むのもぼくは好きだし、そういう飲み方をしないと楽しめない何かってあるし。だけど、ぼくは同じ3000円で飲むとしたら、バーで使おうかなと思うことが多い。
 
街場バーならチャージ料込で2杯くらい、ホテルバーなら1杯くらいしか飲めない。正直、高い。だけど、居酒屋にはないような空間と時間を味わうことができる。そう、「味わう」ことができる。インテリアや音楽を含んだ空間も味わえるし、飲むという行為にしても“なんとなく飲む”のでなく、自分の味覚を頼ることで“酒を味わう”ことができる。そこに「どんな酒なのか?」という物語がついてきたり、誰と空間を過ごすのか、どんな会話が生まれるかで、味わえる時間に深みが出てくる。

そういう時間のなかでの「酔い方」は、居酒屋で飲むそれとは確実に違う。1,2杯でも十分に酔えちゃうもんだ。と、ぼくは思っていて、冒険するかのように潜ることができる地下にあるお店で、こじんまりとしたカウンターに座り、しっぽりと飲むのが個人的には好きだ。

そういえばさっき「正直、高い」と言ったけど、実はそれはバーに通いはじめたときの感覚で、足繁く通うなかで「あぁ、だからか」と高い理由が後からわかってきた。グラス、氷、カクテルに使われるお酒の銘柄、バーテンダーの会話術にカクテルをつくる技術、やっぱり居酒屋とは違う。バーでのサービスに対して、自分でお金を払って、お金の価値を学んできた気がする。知れば知る程、バーとカクテルはおもしろい。

たかが3000円、されど3000円。3000円の飲み方を少し見直してみませんか?というのが、ぼくの小さな提案。いろんなお店があっていろんな飲み方があるよ、いろんな酔い方と時間の過ごし方があるよ、と言いたい。今の自分はどういう気分なのか、誰と飲むのか、どんな話をしたいのか、みたいな飲み分けを3000円でしようよ。選択肢はたくさん。

飲み方が変われば、酔い方が変わる。酔い方が変われば、くらし方もちょっと変わる。と、けっこう本気で思うから。

*自己紹介が遅れましたが、ぼくは3000円の飲み方をわりと考えている者です。くらしの一部としてカクテルがあればいいな、と、Webと文章とバースプーンを武器にがんばっています。第16期として2ヶ月程、よろしくお願いいたします。

大見謝 将伍

大見謝 将伍

バーテンダーだけど、執筆したり、企画したり。

「coqktail」屋号で、東京・沖縄を拠点に、日本各地を動きまわりながら、地域資源を活かした、カクテル・場・メディアづくりをやってます。基本的な大テーマは「くらし方・はたらき方」。

好きなカクテルは「Negroni」「Suze Tonic」「Gin Tonic」。

超真面目ななまけもの。俗っぽいのが好きで、妖怪も好きです。

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