当番ノート 第3期
アイナメはいわゆる「女性的な」魚だ。しなやかで、柔らかくて、全てが美しい曲線で形づくられている。 アイナメはきっと、比較的岩や海藻の多い海底に棲んでいる。本に書いてあるし、釣りをしていてもそうとわかる。そういうところに棲んでいる魚は得てして、自分自身も岩や海藻のようにゴツゴツしていたり棘があったりびらびらした飾りがついていたりするのだけれど、アイナメにはそれがない。 多くの魚は少なくとも身体のどこ…
当番ノート 第3期
「神と和解せよ 聖書」 この看板を見つけたのは福島県双葉郡富岡町を訪れた時だった。 ここは東京電力・福島第一原子力発電所から7kmの距離にある警戒区域。昨年4月22日からは完全に人が住んでいないことになっている。 今年4月19日。私は報道陣に「夜の森の桜」が公開された際にここを訪れた。L字型に2.5kmもの桜並木が続く「夜の森」は、双葉郡出身者には馴染みのある桜の名所だ。 満開の桜から少し…
スタッフの部屋
男の子を育てたことがないし、 兄がいるけれど、 歳も離れていたので あまり一緒には遊ばなかったし。 おまけに私は、近所の女の子とばかり遊んでいて、 こういった生き物と接する場といえば、 理科の時間くらいで。 どちらかというと、 虫が苦手で触れないような子供だった。 帰宅すると、 セイヤくんがバケツを持って 走り回っていた。 セイヤくんは近所の一年生で、 時々、長女が一緒に遊んでいる子。 もちろん、…
当番ノート 第3期
これは、「きもちわるい鳥」と「ねこ」のおはなしです。 きもちわるい鳥、なんて、かわいそうな名前をつけられていますが、見てください。 けっして美しい見た目の鳥ではありません。 それに、すこし変わった性質の鳥なんです。 「ネコランド社の世界の鳥辞典」の「きもちわるい鳥」の項目にはこんなことが書いてあります。 きもちわるい鳥 現在絶滅の危機にひんしている。 体長は、おとなの鳥で、100センチぐらい。 た…
当番ノート 第3期
本日からこのアパートメントに2ヶ月ほどお世話になります。 珍しいキノコ舞踊団 ダンサーの茶木(ちゃき)といいます。 今日は名前をおかずにご飯おかわりできちゃうくらいお話できるので初回らしく、名前について。 茶木って名前(苗字)珍しいですよね。 お名前は?と聞かれたときに 『ちゃきです。』というと、 100パーセント聞き返されます。 しかも、私自身フルネームを言わなかったりするので、 いつも名前です…
当番ノート 第3期
「笑い」には、 世代を超える深さと普遍性がある。 「笑い」には、 一瞬で場を湧かせる瞬発力がある。 「笑い」には、 人を幸せにするパワーがある。 「笑い」それは、 手っ取り早いコミュニケーションの方法。 家族間のコミュニケーションでも同様。 「笑わせてしまえば、全てがオッケー!」 これは僕が思う父親としての家族のひとつの定理。 実は家族(友達や、恋人、同僚など家族以外もきっとそう)の 気持ちのつな…
当番ノート 第3期
本日入居日。 この話をいただいて真っ先に頭にが浮かんだのが、 数年前に滞在したパリ5区にあるアパートメント。 大阪のとあるカフェ・ギャラリーで 「もうすぐフランスにいくんだ。」という話をしていたらまさかのタイミングで彼女は入ってきた。 「あなたも?実は私パリに住んでいて今は一時帰国中なんだけど、よかったら向こうでまた!」 そのコトバはまるで漫画のモクモクした吹き出しのようにひとつの雲となって、僕を…
当番ノート 第3期
スズキの魅力は、細身の身体に対してやや口と頭が大きすぎるというバランスの崩れにある。 特に大きな個体になるほどその傾向は顕著(全ての個体がじゃないけど)で、子どものころは均整のとれたまさに魚類のスタンダードたるにふさわしい体型をしているのが、だんだんとバランスが崩れてくる。 このバランスの崩れはおそらくとても理に適ったもので、魚食性の強いスズキにとっては、口が大きければそれだけ大きな獲物を飲み込め…
当番ノート 第2期
とうとう最後の投稿だー! 私が担当した4月5月、今までの人生の中で一番めまぐるしい日々だったかもしれない。 そしてそれはまだまだ続きそうです。 アパートメントには本当に感謝しています。 アパートメントのおかげで、忙しくてもピアノから離れないでいれました。あーやっぱ私曲作るの好きなんだーって再確認できました。ありがとう。 これから、夏になったら大好きなチーナの仲間と日本中旅します。あとカナダも。 ど…
長期滞在者
サンパウロとカンピナスのちょうど中間くらいに、Jundiaíという街がある。ブラジルの中でも、人々の暮らしが豊かだと言われる街で、ユークリッドは、その街の中心街に住んでいた。 ユークリッドというのは、わたしの叔父のことだ。叔父、と言っても血がつながっているわけでもなく、親戚でもない。彼は、わたしの実の叔母の親友で、わたしにとっては実のおじたちよりも、ずっと身近で大切な人物だ。そのせいか、わたし…
当番ノート 第2期
いま5月30日の17:00です。 あと1時間で締め切りの時間だけど、 何も書いていません。 仕事を1時間休むことにしたので、 この1時間でなにかを書こうと思います。 いま僕は東京都渋谷区代々木にいます。 空室になっている会社の会議室で書き始めました。 テーブルのうえに僕のノートパソコンがあります。 会議室の壁にはスチール製の本棚が7つ並んでいて、 美術関係の書籍が息苦しいほどに詰め込まれています。…
当番ノート 第2期
最初のコラムを書いている時もひどい嵐だったけど今日もまた嵐だ。 久々に事務所の床で仮眠を取った。 5月も終わりに近づいたけど、朝方は少し冷え込んでパッと目が覚める。 9時からの電話での打合せに備え、資料と見積りをメールで送る。 娘の写真がプリントされたマグカップにたっぷりの砂糖とインスタントコーヒーを入れて業務を開始。 月末の慌ただしい雰囲気、電話も鳴りやまない。 早く帰ってアルコールを口にしたい…