長期滞在者
4ヶ月ぶりにマイクを握って司会をした場所は、ライブハウスだった。 2020年7月4日。埼玉県にあるライブハウス、浦和ナルシスからYouTubeを使って、13時から17時までの生放送を行った。タイトルは「バンギャがライブハウスを借りてみた」。バンギャルの哉美さんが特別給付金10万円全て使って、音楽、バンド、ライブハウスでできることとして、ライブハウス、浦和ナルシスで曲をかけて、ステージには照明をあて…
長期滞在者
職場(西宮)から自転車で寄り道して帰る定番ルートの一つに、武庫川沿いを北に伊丹方面まで遡上して尼宝線から尼崎へ帰ってくるコースがあって、その途中に時友という地名がある。 一部建て替えがはじまった古い市営団地があり、人口減で寂れてきた商店街があり、町全体が贔屓目にも華やいでいるとはいいがたい場所だが、いつもそこを通過するたびにバス停や商店街の看板の「時友」の文字、この地名がなぜか気になってしかたがな…
当番ノート 第51期
姉と二人暮らしをしている家に、妹が遊びに来ました。「彼氏とは2週間前に別れたよ。今日は新しく出会ったサークルの先輩とデートをしてきた」と言うのです。 小学生の頃から部活一筋だった妹は、この1年半、一途な恋愛を楽しんでいました。多感な思春期、部活に打ち込んだ反動か、とにかく勢いが凄まじくすべての行動の意味が彼につながっていました。「意外とあっさり別れたな」と横目に見ながら、自分の18歳の頃を思い出し…
当番ノート 第51期
「ちょっと上がってお茶でもしていかない。」 お寺を散策した帰り、ふらっと立ち寄った陶器屋さんの店主のおばあさんに声をかけられた。 このご時世で観光客は少なく、お客さんは私しかいなかった。 立ち話をしながら、最近私が近くに引っ越してきたばかりだと言うと、それじゃあとおばあさんが誘ってくれたのだった。 店の上がり口のすぐ先が平家の住まいになっていて、やや大きなダイニングテーブルが部屋の真ん中にあり、 …
長期滞在者
コロナとの共存生活が長くなると、時々人にあっても、なんとなく暗い話題が増えてくる。 特に僕たちの周辺はフリーランスが多いから、出口の見えない状態が長引くとなんとなく暗い気持ちになる。ただの風邪だ!と豪語してコロナに感染したどこかの国の大統領は論外としても、何十億年の地球の営みという大局的な見地からすれば、この星はちょっと風邪を引いたくらいのものかもしれぬ。そのうち必ず治ると信じて、意識的に目先を変…
当番ノート 第51期
初めて客人を部屋に招く時、嬉しい反面、少し緊張もする。 最寄り駅から家までを横並びで歩きながら、「この人は、私の部屋を見てどう思うだろう?」そんな他者評価が気になってそわそわしてしまう。 プライベート空間に招き入れるわけだし、正直、心を許した人しか入れたくない。大人になって、本当に付き合いたい友人が選べるようになった今だから、友人のほとんどが心許せる人物だと思っている。だから、来て欲しくない人はそ…
Mais ou Menos
まちゃんへ 7月になって、まちゃんが復職したこと、すごいことだと思ってます。 久しぶりに会社の人とやりとりしたり、案件の対応をしたり… リモートワークの様子を見ていて、すごいなぁと思いました。 6月の下旬頃は、自分も早く仕事復帰しなきゃ…!と焦ってしんどくなってたところもあるんやけど、今はまちゃんのことを家でサポートしつつ、自分の体調やメンタルが良い状態をキープできるように、毎日過ごしていこうと思…
当番ノート 第51期
このコラムの最初に書いた、山田さんの働くコンビニ。あまりにも頻繁に通っているせいで、山田さん以外にも、いつも出会うあの人のことを覚えてしまっている。 コンビニに行くと、必ずガードレールにもたれかかりスマホをいじっている青年の存在。時間を置いてコンビニの前を通っても、まだそこにいるので、たぶん3時間くらい滞在しているのではないだろうか。 私は、彼をミスターチェンマイと呼んでいる。 小太りではっきりと…
スケッチブック
6月1日 家の空間が違う。たとえば、バンドのメンバーがひとりおやすみ、ってこういう感じなんだろうな。ひとり分の音、気配がない昼間。夕方並んで歩いていると「お昼ご飯がすっごく美味しかったの!」 としおは言った。私たちが頑張って作っていたお昼は…? と、思わず拗ねそうになったけれど、楽しくてよかった。保育園、再開の日。 6月2日 昨日とても遅ればせながら、アメリカで起きていることの記事を読んだ。そして…
当番ノート 第51期
今日は小さくて特別な話をしてもよいですか?大きな仕事がひとつ終わって、少し違う景色に目を向けたくなったのです。私のお気に入りの生活のシーン、音について。 小田急線最寄駅の踏切の音。私はこの音が好きです。例えば、この先、うんと先。月日が経って、もし別の誰かと別の地で暮らし、今の生活が過去になったら、きっと恋しくなるのはこの音だと思います。からんからんからんからん。きりっとした音とはまるで違う、ぬるい…
長期滞在者
フランス語で「水面」は “la surface d’eau” という. “surface” は表面、”eau” は水を指す.どちらも女性名詞. 日増しに暑くなってくるので、涼しい水辺が恋しくなる. 19世紀終わり、モネは二人目の妻となるアリスとその娘たちを伴いジヴェルニーに移り住んだ.そこはセーヌ川の支流が多く流…
当番ノート 第51期
自分は、どこで、どう生きていきたいのか。 その言葉は、その頃よく聴いていたラジオのパーソナリティーの女性が発した言葉だった。 自分はどう生きていきたいのか、は なんとなく考えるようにはなっていたけれど、 どこで というのは、そこまではっきりと考えられていなかった。 ただ、京都の里山に行って以来、近い将来自分は自然に近い場所や、自然と共にあるような生き方をしていくのではないかと感じていた。 そんな気…