長期滞在者
この数ヶ月間で確実に生活のルーティーンが変わってしまった。 当たり前のように仕事場に向かい、休みもせいぜい2ヶ月に一度くらい、という生活が20年あまり続いていた。2011年の震災の後だって、ほぼ毎日仕事場に足を運んでいたのだ。zoomをはじめとするオンラインミーティングが急速に普及して、ギャラリーの仕事であってもいつの間にか店頭に出てやるべきものと自宅でやったほうが効率が良い仕事に切り分けるように…
当番ノート 第50期
どうゆうふうに悲しんだらいいのか、どうやって強くい続けたらいいのか。振る舞い方がわからない、その迷いに一旦区切りをつけたのは、思い返すと、半年の月命日だったのかもしれない。 — 半年の月命日は、奇しくも父と母の結婚記念日だった。 もういないのに祝うのはなんだか不思議な感じもしたが、悩んだ結果、プレゼントを贈ることにした。一人で結婚記念日を迎える、丸い背中が震える様子が目に浮かんだのだ。…
当番ノート 第50期
逗子の小さな神社に2500人が集まったのは、昨年の11月26日のこと。 抜けるような青空の下で、境内には珈琲の香りが漂い、陽だまりのような音楽が響いている。 これは、「逗子葉山 海街珈琲祭」の風景。 アンドサタデーが主催した、初めての大規模イベントである。 地元だけではなく東京や横浜からたくさんの人が集まり、普段人が多い訳ではない街に賑わいをつくった。逗子葉山の11の珈琲店は、どのお店も行列が途絶…
Mais ou Menos
Pちゃん Hi! 気付けば、もう5月も半ば。2020年も、ものすごいスピードで過ぎている気がします。暖かい日が多くなって、きっとすぐに夏も本番。 コロナの影響はまだまだ長引きそうだね。この先、自分たちはどんな社会を生きることになるんだろう…。これからの生き方、消費のしかた、人との関わり方、働き方、すべてが変わっていくのかな。怖いような不安なような。その一方で、フレキシブルに生き方を変えていけばいい…
当番ノート 第50期
5月13日、朝6:30頃に目が覚めた。フラッシュバックで寝れていない。愛犬がぼくの左脇あたりに前足を直線に伸ばして眠っていたのをみて朝の心は和らいだ。 朝陽が窓から射す中、お風呂の掃除をする。水蒸気に太陽の光が当たり、やっと目が冴えてきた。汚れを落とすこと。磨くこと。あるべき姿に治すこと。行動にできると、心身の整理と浄化に繋がる。 朝ごはんには納豆をよく食べる。卵も入れる派だ。ここ一年は鮭が欠かせ…
鍵を開けて 詩人が「しょぼい喫茶店」に立った日々のこと
「しょぼい喫茶店」での勤務は、基本ワン・オペレーションである。飲みものやケーキは店にあるものを提供するが、食事は自分で工面していいことになっていた。なので、メニューの考案から食材の買い出し、下ごしらえから盛りつけまで、すべて日替わりの店員たちが自力で行う。わたしも月替わりで夕食メニューを作っていた。 メニューを考えるにあたって、ルールをいくつか決めた。まず、多少量を少なめにするかわりに、アルバイト…
Do farmers in the dark
こんばんは。今回も文章を書きました。毎回何かの嫌がらせみたいな文章を載せていて申し訳ないと思っています。でもなんとなくそれをやめられないんだ。だからもし読んでくれる人がいたら、なんかのきっかけで人の心を持ち、文字がタイピングできるようになった魚類、サンマだと思うんだけども、そのサンマが、一生懸命がんばってパソコンに打ち込んだ文章だと思って読んで欲しい。それが本当なら奇跡だと思う。実際には薄汚れた歯…
当番ノート 第50期
私はこの文章を5月11日の午前1時に書いているのだが、この1時間前に50日間以上フランスで続いていた外出禁止令が一部解除になった。とりあえず単純に嬉しい。もともと引きこもり系の人間で、こもりつつ作品を作ることが好きなので家にいることは苦ではないと思っていたが、いやはや、予定がない日々が50日も続くと時間の感覚がおかしくなってくることがよくわかった。 宇宙飛行士が訓練で日常の繰り返しを繰り返し練習す…
スケッチブック
4月1日(水) 友達からメッセージ。「こんな状況になって、あなたの感性にも変化がありそう。最近何を感じてる?」個人的には、ここのところずっと止まりたかった。「世界が不安で繋がっている」と彼女は言った。「fearよりもcareで繋がりたいね」と、返事を書いた。書くのは簡単。でも誰かをちゃんとcareするのは難しい。 今日は雨。庭の花の写真を撮った。もう8年もこの日は命日。思い出させて辛くなるだけなら…
当番ノート 第50期
誰もいないよりは誰かがいたときのほうがおもしろい、たまにでいいけど。適度に安らげる孤独のほうがあったほうがいい。適度にね。 そういえば最近とてもいい演劇を見た。つめたい人、あたたかい虫の話。演劇が善いと思うのは「弱い」とされることも、肯定されるからだ。胸が苦しくなるくらい、愛おしい、弱さ。そのあとが破滅だったとしても、一瞬にとんでもないエネルギーを注ぐっていうのが、演劇。暴力も、狂気もある。 結局…
当番ノート 第50期
ヨルダンの街を歩いていると直ぐに分かることだが、道路沿いのいたるところにゴミ箱が置いてある。 銀色で、蓋が無く、口が空いたゴミ箱。おおよそ縦50 ㎝、横120 cm、高さ100 cm。脚が2つ。一カ所に3~6個がまとまって置かれている。 近隣の家庭やスーパーから出たゴミがこのゴミ箱に捨てられてくる。ヨルダンではゴミの分別回収はまだ普及していない。生ごみ、プラごみ、金属ごみ、すべてまとめて捨…
長期滞在者
仕事もせず、通信制の大学の課題以外には「やらなければならないこと」がない日々。一見穏やかな日々に見えるし、私も別にそこまでストレスがあるとは思わない。けれど初めてのことを私(というより私達)は体験しているわけで、正直なところ感染症にかかる以外にも何か異変が生じるんじゃないかと思っている。 少しずつ体には現れていると思う。筋力の低下、睡眠の質の低下。情報収集の仕方や、体の動かし方も変わってきているよ…