Do farmers in the dark
表題:日没 すいません。今回もまた多忙により、まともなものが書けませんでした。自分は食べる、寝る、以外の事があると途端に多忙になってしまう。だから年中多忙です。みんなは食べる、寝る以外に色々やっているように見えるのに、自分はさっぱりダメです。 今回も書いている内容はというと主に自分の最近の事です。 自分、自分、自分、誰かと会った時に話す内容は主に自分の事です。最初は我慢していてもいつ…
長期滞在者
「自由な人間が、死ほどおろそかに考えるものはない。 自由人の叡智は死ではなく、生を考えるためにある。」 というのは、シュレディンガーが『生命とは何か』の 冒頭で引用した、スピノザが『エチカ』に綴った言葉。 で、彼自身はその前書きの中で次のように書く。 「われわれは、今までに知られてきたことの総和を結びあわせて 一つの全一的なものにするに足りる信頼できる素材が、 今ようやく獲得され始めたばかりである…
当番ノート 第44期
――就職活動はいかがでしたか? こんなもんかなってなりました。結果にはそれなりに満足してますけど、でも、最後まであんまりよくわかんないまま終わっちゃった感じはしますね。 ――それはどうして? んー、就活で求められるような考え方というか、考えの土台というか、そういうものと僕の考え方が全然合わなかったからかなー。 ――たとえば、自己分析とか。 そうですね。あと、将来のこととか。3年後、5年後、10年後…
当番ノート 第44期
いつからか、人の手による、ささやかだけど確かな工夫に関心を寄せています。 先週とある駅でも見かけました。 エスカレーターを降りた先に停められていた、清掃道具を入れるカート。 見かけた時は、「クリーンカート」の「ン」から点(ヽ)が抜けて「クリーノカート」になってしまっている可笑しさにひかれてカメラを向けました。しかし数日後にパソコンで写真を見返すと、見かけた時以上にぐっとひかれてしまいました。 清掃…
当番ノート 第44期
ひとりで知らない町に行くと走ってしまう。わたしは生まれてこのかた足が遅く、走っても無用に疲れるばかりなのだが、知らない町並みに晒されているとなんだか走りたくなる。 知らない町はすこし怖い。 繁華街や大きなショッピングモールならまだいい。おだやかな町で、建売の家や、ちいさなスーパーや、ランドセルを背負った子どもを見かけると、脳がゆれるような不安感におそわれる。 わたしは生活のことが怖いのだ。 知らな…
当番ノート 第44期
手紙「生きるさんと死ぬさんへ。」 生きるさん、死ぬさん、こんにちは。 わたしはここ数年、生きるさんと死ぬさんとどっちと一緒にいるか迷い続けていました。 何度か死ぬさんと一緒にいようと決めて、けど死ぬさんに会う前にやっぱり一緒にいられない、と思って、その繰り返し。 そう、生きるさんと一緒にいて、ずっと一緒にいて、ちょっと疲れちゃったんだよね。 生きるさんと離れたい、けど死ぬさんと一緒にいるのは怖い、…
当番ノート 第44期
――すごい量の写真ですね。 同じものを何枚も焼き増ししているから。 ――なぜ同じ写真を何枚も? 楽しかった思い出を、たくさんとっておくため。 ――これは、旅行の写真ですね。こっちは遊園地。 ――たくさんのところに行ったんですね。 7年間、一緒にいましたから。 ――天井も、壁も、本棚も、床も、写真。 ――どれも、すごく幸せそう。 幸せでしたよ。とても。でも、もういない…
当番ノート 第44期
東京・墨田区の自宅近くに、大事な珈琲屋さんがあります。 初めて訪れたのは2012年の7月。以来何かと足を運ぶようになり、その近所に住み出した翌年の春以降はさらに足しげく通いました。 2014年の春から2年間は、スタッフとしてはたらかせてもいただきました。 今もときどき、ココアを飲んでホッとしたり、マスターやなじみのお客さんとおしゃべりしてリフレッシュしたりしています。 席数30に満たない小さなこの…
長期滞在者
〈写真家・深瀬昌久が生前に愛用した Nikon F3〉 前回は「アーカイブとはなにか:前編」と題し、物故作家のアーカイブ活動について書きました。アーカイブとは「記録し、保存する」だけでなく「成果を世に伝え」ることによって「後世に引き継ぐ」仕事だというビジョンについて。そしてそのためにはどんな伝え方をすれば、より身近に感じてもらえるかを試行錯誤することに楽しみがあること。その結果できあがった初の回顧…
当番ノート 第44期
ときどき誤解されるが、わたしは自分が書く内容についてよく知っているから書くわけではない。まったくの逆で、わからないから、どうしようもなく書きはじめるのだ。 わたしは思考を拡散させがちで、ただ思いをめぐらせているだけだと内容があちこちへ氾濫し、かえってぼんやりしてきてしまう。書くことでそれに順序をつけ、足し引きし、輪郭をはっきりさせることができる。わたしにとって書くプロセスは、考えることそのものなの…
当番ノート 第44期
手紙「でこぼこさんへ。」 でこぼこさん、こんにちは。 社会にはたくさんのでこぼこさんがいるよね。 得意なこと苦手なこと、できることできないこと。 視力がいい人、よくない人。 男性を好きな人、女性を好きな人。 わたしは、どんなでこぼこさんも、 みんなでまるっと愛でられたら、と思うんよね。 でこぼこさんたちがいることによって、 人はいろいろと悩んでいたりする。許せなかったりする。 わたしもでこぼこさん…
長期滞在者
仕事帰りに、大学時代の友人のY君と久しぶりに再会し、ライブハウスへ行った。 直接面識はないが、Y君の大学時代の友人J君が出演するバンドのライブへ。 豊潤、色鮮やかに花開いた80年代末~90年代前半のオルタナティブの世界において、 とてつもない異彩を放ち、尋常じゃないテンションで突っ走り、そのくせ知性の欠片が見え隠れし、はたまた歌詞はブニュエルとダリによる古典映画アンダルシアの犬を題材としているとい…