長期滞在者
カンボジアで日本人の若者2人が、金のためにタクシー運転手を殺めたというニュースを耳にした。 放棄しているようであんま使いたくないけど、あり得ないという言葉しか浮かばない。 今月のアパートメントでは、カンボジアにいる親友について書こうと決め、はてどんな内容にしよかなと妄想している時にこんなニュースが入ってきた。 そんな事件が起こる前、先週金曜に、私の勤務先の農業施設の視察に訪れた、以前から何回か会っ…
当番ノート 第43期
他人は私のことを理解していない、という実感は、人と人はわかりあえないかもしれない、という予感とセットである。 この人は私のすべてを理解していない、知り尽くしているわけではない、というのは、 一方では相手の察しとか配慮とかいうものに乗っかるのを控えるという意味で謙虚かもしれないけれど、 他方で「まだまだ私はこんなもんじゃないぜ」という傲慢な自意識(というか矮小な自己防衛)の現れでもある…
長期滞在者
〈下図版:資料はアーカイブの要。これらは全て深瀬昌久関連。左上のファイル群は200冊強の雑誌スクラップブック〉 2014年に深瀬昌久アーカイブス(以下、MFA)を起ち上げて、今年で5年目となりました。5か年というのはひとつの節目ですから、起ち上げ当初に私が掲げた目標と、それを実現するためのビジョンを改めて振り返るには丁度良いタイミングでもあります。そこで今回より数回に分けて、物故作家のアーカイブと…
当番ノート 第43期
どうもどうも、 そにっくなーす a.k.a. ひのはらみめいです。 食わず嫌いはないですが負けず嫌いで有名です。 先日、モグテレビさんのポエトリースラッシュというインターネット番組で3人で戦うスラムに出てぼろ負けしてしまいました。 ポエトリースラム(持ってきた自作の詩をルールに則って各自朗読し聴衆に点数をつけてもらい勝敗を決める試合のこと)にて負けるたびになんでこんな嫌な思いや辛い思いしてまで詩の…
ギャラリー・カラバコ
今日ですべての額縁が埋まる。 うめる、という言葉はなにか空洞のようなものを、そうでないもので満たすことだ。 この鍵を持っているのが私だけだとしたら、「ギャラリー・カラバコ」の観客はわたしだけであり、 ふたつの作品がここにあるのも、この絵とこの文のあいだでどういうことだろうなあと考える私がいるからなのだろうか。 わたしは空っぽのこの部屋に入って、今まで考えたこともないようなことを考えてる。 それって…
当番ノート 第43期
ヨーロッパには、各国にいくつものオペラ座が存在する。そしてオペラ座にはコレペティトゥールという職業がある。これは、歌手やバレエダンサーに対して、ピアノを弾きながら音楽稽古をつけるコーチングの役割を果たす。ただ、ピアノが弾けるだけではなく、語学も堪能でなければ務まらない。 一昨年のハンガリーで行われた国際指揮コンクールの終わった後、ありがたいことに、このコレペティトゥールの仕事の話をいくつかいただい…
当番ノート 第43期
最近、友人の批評家である黒嵜想が、GAINAX京都代表の武田康廣さんと「万博、GAINAX、アーギュメンツ」というイベントを開催した。このイベントは、私が企画し黒嵜が編集したアーギュメンツという三号雑誌の総括イベントなのだが、そこで交わされた議論の中心が「同人から法人へ」であったと聞いた。少し私事になるが、これは私という個人が渋都市株式会社(旧:渋家株式会社)に法人成りしたことを受けての部分もあっ…
長期滞在者
「さようなら」が言えない。 言葉には現実を引き寄せる力があるから。 「さようなら」を言ってしまえば、それでおしまいな気がして。 「さようなら」を言ってしまえば、二度と会えなくなる気がして。 私は「さようなら」を言うのが、とても怖い。 「最後の言葉」をずっと考えていた。 B3リーグ、東京海上日動ビッグブルーのホームゲームでのMCをもう10年以上務めてきた。 今シーズンで東京海上日動ビッグブルーがB3…
長期滞在者
先日、ある展覧会場の受付で、展示を観終わったと思われるお客様が、職員の方に向かって、目当ての作品が展示していなくて面白くなかった、というような感想を残して会場を後にするところを見かけました。 その後に会場に入った僕は、時間さえ許せばもう少し長くゆっくりとこの会場に居たかったと思わせる素晴らしい展覧会でした。足を運んだ展示で去りがたいと感じさせるものは、一年の中でそんなにはありません。 その展覧会は…
長期滞在者
小さな頃は音楽というものが大嫌いだった。この嫌悪感のみなもとは、小学校の音楽の時間に習ったリコーダーとピアニカにさかのぼる。楽譜の読み方もよくわからないし、指を動かして望むメロディを作りだしていくこともできない。それなのに授業はどんどん先に進んでいき、わたしはますます落ちこぼれていく。吹き口についた歯型の傷のザラザラした感触や、どうしても取れない生臭い唾液が人工的なプラスチックにまざった匂い。うす…
当番ノート 第43期
あなたは私のことを面白いとか好きとか言ってくれますが、あなたの中の私は私全体のうちのほんの一部なんです、いうなれば私A。私の中には私A以外に実は私Bもいて、あなたは私Bのことあんまり好きじゃないかもなあ、それ以外に私Cというのもいるんですけど、私Cに関してはそうだな、むしろあなたが血管が切れそうになりながら憤慨するような所業も結構平気でできちゃうと思います。あなたがそれを目撃して憤慨したとしてもた…
Mais ou Menos
———- Pちゃん 今日もお疲れ様です。もう3月も半ばやね。春は苦手なシーズンです。病気になる前は、少しずつ温度が高くなるこの季節が大好きだったけど、今はすごく辛い時期です。 春は鬱の傾向が強くなるの。毎日のように、寄せては返す波のような身分の乱れと戦っては、まけて波にのまれてしまっています。Pは辛抱強く私を見守ってくれていると思います。 2月後半から3月頭にか…