長期滞在者
〈ミラノ・マルペンサ空港〉 垂直に跳ねる。なるべく直角に、真上に向かって。目の前の景色はどう変わるだろうか。 垂直行動によって鼓動が早まり、身体に高揚を生み出す。私は日頃、なにか困難と向き合った時、どこでも良いから、上に向かって10回ジャンプすることを心がけている。人は日常生活において垂直に向かって行動する機会が少ない。ケーブルカーの日本一急勾配を記録として持つ高尾山のケーブルカーは31度18分。…
メニハ ミエヌトモ
パルコで「におい展」が開催されていたので行ってきた。 良いにおい、臭いにおいが展示してあって実際に嗅げるというこの催し物、何と大目玉は「シュールストレミング」が嗅げるという、私にとっては願ったり叶ったりの催し物であった。 シュールストレミングとは主にスウェーデンで消費・生産されるニシンの缶詰で、「世界一臭い食べ物」とされている発酵食品だ。 日本で臭い食べ物といったら「くさや」が挙げられるが、シュー…
長期滞在者
以前お世話になって早2年。 今月から、毎月24日に記事が公開されることになりました。 月に1回ということで、あれなんで。 前回よりほんの少し多めに書こうと思ってます。 24日というと、私が住んでいる西調布駅では、いくつかの飲食店で割引となる。 多分、西日暮里でも西永福でも西九条でもどこでも、西と付く駅の周辺ではありきたりなはず。 といっても、大抵の場合は気付いたら24日は過ぎているし…
当番ノート 第42期
からだがミシミシと悲鳴をあげている。。。 私の膝は前十字靭帯と半月板を損傷している。新体操選手時代に背骨も二つ左にずれてしまった。なので、ちょっと一生懸命踊り出すと膝と腰を支える筋肉群が唸り声をあげはじめる。。。そう、いまだってほら。。。 ダンサーはアーティストだが、それと同じくらいアスリートだと思う。もちろん、身体を鍛えていなくても、高齢でも、踊れる踊りはある。ダンサーは何歳まで続けられるの?と…
当番ノート 第42期
・・・ こんばんは。当番ノート42期のヨシモトモモエです。 毎週火曜は私のお部屋で、のんびりしていきませんか。 27歳・実家暮らし。 会社勤めを楽しくしながら、家業を手伝い、踊りなどもしています。「踊れる・食卓」では日々のくだらなくて、けどすこしくだるなぁ、と感じたことをゆるっと書いていきます。 ・・・ 第八回:漬物というルーティーン こうやって毎週アパートメントに、私が自由気ままに書いた文章を載…
ギャラリー・カラバコ
もう雨が降り続いて3週間になる。 窓の外の、トタンが鳴る音に耳が慣れて、すっかり聞こえなくなってしまった。 いつも以上に、鍵が手に冷たく、骨に響く。 〈前回までの展示〉 『縫い目』 『つむじ』 『鏡』 『耳鳴り』 『植物園』 『刺繍』 『ノコギリ』 — 「発酵」 絵: 古林希望 文: カマウチヒデキ ーーーー 共通のタイトルだけを手がかりに2人の作家が絵と小説を別々に制作し、掛け合わせていく企画「…
当番ノート 第42期
この連載を始めた時、新しい部屋と8月に戻って来た母国を何とかして心地よい場所にしなければならないと書いたが、気づいたら早いものでもう一月の中旬になり、何もしてない。カーテンもカーペットも購入していない。ちょっと変わったのは、ぱっさりと切った髪の毛だけだが、それだけで気分が変わる訳ではない。 冬のフィンランドの日常について、誰か他の人が書いたら、私より百倍面白い話になると思う。アウトドアが好きな人で…
長期滞在者
歩いているときには、細い小道を見るとそちらのほうに曲がりたくなるし、分かれ道ではまだ通ったことのないほうを選びたくなる。そうしたささやかな願望を満たしてやるためには、時間や体力に余裕がなければならない。急いでいたり気にかかることがあったりすれば、最短距離で早めに目的地まで着きたくなるものだし、だいいちそんなときには交通機関を使うから、ゆったり歩くこともまずない。 そんなわけで、ゆったり歩く時間を強…
長期滞在者
かなり寒くなってきたので服装とか厄介なのだけれど、あいかわらず夜行自転車を続けている。 防寒しすぎると汗の逃げ場がないし、風を通しすぎると風邪をひく。難しい。 しかし冬は空気がしんと澄んでいるし、夜の光がよく見える。 暖かい時期には靄ってしまっていた仄暗い遠景が、目を凝らせばすーっと暗部が持ち上がって景色に結像していく。 明暗は逆だけれど、現像液に沈んだ印画紙からじんわり景色が立ち上がってくるよう…
長期滞在者
展覧会の余興のような位置付けではあるけれど、年に何度か演奏家の方が投げ銭ライブをやってくれることがあります。小さなスペースで15人とか30人のお客様を前にしての演奏は、お客様にとってみれば、大きなホールでの演奏よりも体全体でその魅力を受け止めることになり、喜びも大きいわけですが、それゆえに演奏家も一切手を抜くことができない、心地よい緊張感がここにはあります。ささやかな空間でありながら、演奏家の方々…
当番ノート 第42期
砂、流れる雲、動く太陽、小さな花、地平線。遠くを飛ぶ飛行機の音、鳥の羽の音、動物の鳴き声。 どうして砂漠にいくと、普段みえないものが見えたり、聞こえたりするんだろう。 先日、友人が日本からイスラエルまで遊びに来てくれた。お気に入りの場所に連れて行ってほしいと言われて思いついたのは、数年前に一度だけ訪れたことのある砂漠の中の小屋だった。電話もネットも繋がらない砂の世界…という砂漠への恐怖心を克服す…
Mais ou Menos
まちゃんへ 新年になりました。 ここ数日本当に寒くて、朝はなかなかベッドから出られなくなってしまっている。 でも、今日はいつもより、少し早く起きて、ゴミを出して、それからも二度寝せずに起きていられたこと、すごく嬉しかった。 毎年まちゃんも、自分も寒さが苦手で、だから冬は苦手で冬季うつ気味で苦労してる。この時期は、早く春にならないかとばかり思っている。しんどかったり、つらかったりするのは、冬のせいだ…