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2F/当番ノート

ミモザ / うんす・むせう

第7期(2013年2月-3月)

「ミモザ 」 
鉛筆・紙 / 850mm×1800mm

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恍惚の色は、身体の表面、ほんの薄い範囲を短いサイクルで輝いては消えてしまう。
何とかそのままを記憶に留めたい。
繰り返し求める以外に方法はないのかな。

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ひどく居心地の悪い夢を見た。
食べ散らかした刺々しいパン屑を手のひらに押し付けるような。
半分濡れた床に靴下を脱がずに爪先立っているような。

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ピアノ弾きが落とした手袋を拾った朝の帰り道、
とうに去った持ち主を指差し求めるように道端に横たわる手袋を見かけ、
朝の通勤客でざわつく電車の中でおにぎりをついばむ女性を見た帰り道、
帰路に向かうサラリーマンに囲まれて満員電車の中おにぎりをむさぼる女性に会う。

立て続けに色々な人々との出会いが数多くあるが、どれも深く入りこむには至らない。
どれも少し「こうなったらいい」と邪まに期待しすぎているのがいけない気がする。

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ここのところの私は、寒がっているナメクジに家をあげなきゃってバタバタと小さい殻を次々渡しては、
「あ~、みんな小さいのね」ってナメクジに塩をかけて、
「じゃあ、ちっちゃくなってよ」って言ってる感じだったのかも知れない。

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疑うこと と 信じること が出来ないことは違う
自分を 偽ること と 騙すこと も。
前者は 滑稽 で後者は 哀れ だ。
どちらもいたく悲しいことにはかわらないのだけれど。

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いつも境目をゆらゆらしていたい。
ふっと消えたりすうっと現れたりしていたい。


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うん す む せう
(雲集・霧消)

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古林
希望

古林 希望

古林 希望

絵描き

私が作品を制作するあたって 
もっとも意識しているのは「重なり」の作業です。

鉛筆で点を打ったモノクロの世界、意識と無意識の間で滲み 撥ね 広がっていく色彩の世界、破いて捲った和紙の穴が膨らみ交差する世界、上辺を金色の連なりが交差し 漂う それぞれテクスチャの違う世界が表からも裏からも幾重にも重なり、層となり、ひとつの作品を形作っています。

私たちはみんな同じひとつの人間という「もの」であるにすぎず、表面から見えるものはさほどの違いはありません。
「個」の存在に導くのは 私たちひとりひとりが経験してきた数え切れない「こと」を「あいだ」がつなぎ 内包し 重なりあうことで「個」の存在が導かれるのだと思います。

私の作品は一本の木のようなものです。
ただし木の幹の太さや 生い茂る緑 そこに集う鳥たちを見てほしいのではありません。その木の年輪を、木の内側の重なりを感じて欲しいのです。

Reviewed by
朝弘 佳央理

希望さんの発するものはいたく厳しい。その厳しさは何千年も生きる樹や何億回も寄せられる波のふところを前に返ってくる自らの儚さに似ている。対話のうちに霧の中の姿を見る。それは世界であり、自分だ。

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