陸の上でも呼吸したい

第46期

アパートメント0804

8月に入りずっと、肌がぺたぺたとしている。
空気は水を孕んでのろのろと重いし、
日差しは強く体の中も暑く
このまま蛙にでもなってしまうんじゃないかと思う。

水族館に行くのが好きだった。

薄暗く長いエスカレーターを降りていくと
空気が徐々にひんやりとしていくのがわかる。
同時に少し生っぽい、潮の匂いを舌に感じる。

家族旅行で行ったちゅらうみ水族館の大きなガラスの水槽や
佐賀のうみたまごの色とりどりのあかりとか
葛西臨海水族館にいった後に観覧車にのったこと
ブラジルに住んでいた時に彼と2人で行った
小さな水族館からみた大きな海とか

そんな記憶の海

水族館にいる生き物たちはどれもみな滑稽だ。
見開かれた目玉やぱくぱくと口を動かす様子を見ていると 気が抜ける。
どれもみな 滑稽で美しくかわいらしい。

一番好きなのは、ピラルクのような古代魚や
カエルやイモリのような水陸の間に暮らす生き物のゾーン。

それまでのカラフルで優雅な熱帯魚たちや
群れでキラキラと鱗を光らせて泳ぐ鰯たちとは
うってかわって 奇妙な姿で異彩を放つ。

両生類たちは一生のうちでエラ呼吸も肺呼吸も経験する。
古代魚たちは浮袋を肺代わりに、空気呼吸ができる。
なんと、空気中で飼育したらひれで歩き始めるやつもいる。

彼らは何を思って陸に上がろうとしたのだろうか。
水の中ではどこにでも自由にいくことができただろうに。
チャレンジ精神のある魚たちだったのか
それとも偶然陸に打ち上げられたのか
水の中に飽きたのか、のけものにされたのか。

わたしも、陸の上でも呼吸したいと思う。

ずっと、魚は魚、水の中でしか生きられない
無理して陸の上に生きる必要なんてないと
そう思っていた。

それがある日ふときまぐれに
陸に上がってみることにしたのだ

まだエラ呼吸だからうまく酸素が取り込めず
うまく言葉も発っすることができない。
すいすいと泳いでいたはずなのに
足がないからゆっくりしか進めない。

水の中ではなんの苦労もなく暮らしていたはずなのに
あの私は幻想だったのかとすら感じられる

どうにか脚を生やして
エラ呼吸から肺呼吸になるところ
私にできるだろうか

ずっと水の中でもよかったけれど
陸に上がってみることにした

進化ができるかはともかく
やってみたかったのだ

呼吸できなければ
もとの水の中にもどればいいのだから。

陸の上でも泳げる日がくるだろうか。

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はじめまして、福島光帆です。みほ、と読みます。

平日は会社員、週末はベリーダンサー、あとはシェアハウスを運営しています。
6年間の大学生活とブラジル留学を経て、会社員を始めました。

あまじゃくな性格で、無理と言われるとやってみたくなるのです。
そんな水から陸に生きる場所を移すような日々の中で、思うこと。
2か月間、どうぞよろしく。

今日も、空気のなかを泳ぐような天気です。