重力と叙情

長期滞在者

叙情、というのは多少因習的な色乗りのしてしまった言葉で、誤解されがちなんですが、僕は心動くもの、の総称としてざっくりと使っています。ざっくりしすぎですね。
今まで中村浩之さんとの二人展(『叙情寫眞』2009 )と自分の個展(『重力と叙情』2010 )のタイトルにしました。
別に「叙情」でなくてもいいんですが、他にしっくりくる言葉がないので、便宜的に仮りそめに使っているだけです。白状するならば、むしろ誤解されやすいように、あざとく使っていると言えなくもない。
びっくりも叙情なら切なさも快感も残酷さも空虚感も優越感もよこしまな心も美的な衝撃もくすくす笑いもそこはかとない不安も根拠の無い幸福感も恐怖もわけのわからなさも退屈も欲情もボロ儲けの罠も(←これは嘘)、すべて結果的に叙情。ただし、結果的に、なのであって、結果の分類からものを考えたら、そんなものは叙情でもなんでもないのだと思っています。たとえば幸福感は結果として叙情ですが、幸福感という言葉からスタートして作られたものはそれは叙情ではない。未分化な、わけのわからない叙情の勃興に反応してシャッターボタンを押す。この手順はないがしろにしてはいけないと思います。

ところで今さらですが、写真というのは、ちょっと「ずるい」メディアだと思うのです。
自分で作ったわけではない、出来合いの写真機とレンズを使って、ボタン押せば何がしかが写る。何にせよ制作の時間や苦労と、その制作物の「価値」が比例するものではありませんが、それにしても、です。
弁の立つ者ならば、適当に写して適当に並べた写真たちに牽強付会的にそれらしい能書きをくっつければアートだと言い張れたりします(そんなのいくら論に破綻がなくても、くそ面白くないですよね)。
写真はズルい。他分野の制作者に引け目を感じる必要などないのかもしれないけれど、この後ろ暗い感じは、ちゃんと背負っていた方がいいのかもしれないと思います。
僕はいつも「ズルをしてでも得たいもの」のために写真をやってるんだと意識してます。

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『重力と叙情』2010.3 gallery maggot/より)

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[お知らせ]

現在大阪港・海岸通ギャラリーCASOで『写真、2014』展が開催中です。
60人が1人1点、Bゼロサイズ(103×146cm)のサイズを展示してます。
アパートメント住人から僕、藤田莉江、RACHI SHINYA、かみはらえみ、岩男明文、森山良太の6名が参加しています。

http://photo60.net/

『写真、2014』
会場 : 海岸通ギャラリー・CASO
会期 : 2014年9月16日(火)〜9月21日(日)

問いはシンプルに「写真とは何か」。
在るのはただ「B0サイズ、1人1点」というだけのルール。
60人が考える60通りの答え。

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夏のCASO「写真。」展も今年で3回目。

正解のない問いを、それでも問い続けるために、今年はタイトルを断言の「写真。」から続いていく「写真、」へ改めました。

模索の途上の60枚が、今年もCASOの大壁面に並びます。

【出展者】
浅田トモシゲ 足立健司 阿部繭子 石黒興作 伊藤公一 因幡美穂 井上智象 岩男明文 岩瀬竜太 植田真里 大木一範 大島利浩 岡嘉太郎 奥山哲郎 音田佳菜子 華氏 加藤國子 カマウチヒデキ かみはらえみ かるしー 北畠健三 國米恒吉 小林恭子 小檜山貴裕 小松里絵 齋藤晋 斉藤ムツミ ササキ隆志 澤田州生 清水英毅 伸之助 鈴木博雄 須田比奈子 大納言 Taka  髙谷佳子 竹中みなみ 椿久美 豊田秀一  中野久美 成田貴亨 成田直子 野中ひとみ ピノ PUU 藤田莉江 フチタカツコ 腐肉狼 松田和弘 宮田和子 村上由希映 村川哲也 森山良太 めめ やまもとべにお 山本学 山本瑞穂 yoko* 米田英司 RACHI SHINYA(60名)

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お近くの方、お時間ある方、ぜひお運びください。
(いつも僕の連載は毎月20日更新ですが、今回はこの宣伝のために勝手に3日早めました。すみません)