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3F/長期滞在者&more

家日記 2019年3月

長期滞在者

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私はどうして家を開こうとしているのだろう。家を開くことで何を期待しているのだろう。予期せぬものとの出会い、この家がもっと愛されてほしいということ、新しい空気が入ることで健全さが保たれる場になること?どれも当たっているようで外れている。

そもそも。
愉快に過ごそうとすることに、理由を見出そうとするなんてナンセンスだということに気がついた。

時代が変わっても、楽しく過ごせますように。

3月1日(金)
絹江ちゃんから今週あまり家事ができていなくて申し訳ない・・・と謝罪の連絡。一応家は清潔なので今の所大丈夫そう。気になるのは可燃ごみを捨てるのを純君が忘れていることだろうか。純君は昨夜もまた自室の扉が半開きの状態で明かりもつけっぱなしにしたまま眠っていた様子。疲れているのだろう。

3月2日(土)
昴君のライブを見に渋谷へ。私は日付が変わる頃に帰宅。昴君は朝までバンド仲間とボーリングをしていたらしい。まるで大学生のように元気だ・・・。

3月3日(日)
めずらしく浅草をひとりで散歩し、お土産に雷おこしを買って帰る。夜はめずらしく男性陣が揃っておしゃべり。男性にも生理周期的なものがあるのだから、ルナルナとか使ってみたら?そういえばどうして天皇即位のときに恩赦があるのだろう?等話題は尽きない。近日中に閉店してしまう近所の焼き鳥屋に行こう、という話になった。

3月4日(月)
前日話していた焼き鳥屋に早速出陣。メンバーは昴君と純君と私。仕事の話、恋愛の話(純君は現在フリーなので、気になる方はご紹介します。明るくて働き者、アクティブな男の子)、結婚した絹江ちゃんとのたくさんの思い出や、昴君のライブの話など次から次へと話題が移り、帰宅したのは23時頃。月曜から飲むのも悪くない。

3月5日(火)
昴君が確定申告に追われている。同じく自営業の今井君も同じくだろうか。

3月6日(水)
仕事であまりにも疲れてしまい、近所のイタリアンで昴君に愚痴を聞いてもらった。お礼にワインをごちそうする。帰宅すると純君がこたつで伸びていた。寝落ちフラグだと思ったけれど、今日はきちんと回避。

3月7日(木)
ネットで購入したみかんが届いたのでみんなにおすそ分け。今井君が福岡から取り寄せたいちご大福も届いた。居間のこたつの上はちょっとした食料庫状態である。それ以外にもせんべいの詰め合わせや帝国ホテルのチョコレート、ポテトチップス、飴、ナッツ、黒糖等がおいてある。少しずつ食べていかねば。

3月8日(金)
帰宅後、どうやら純君が可燃ごみを捨て忘れていることに気づく。

3月9日(土)
夜、昴君と居間で食事をしていたら(新玉ねぎにバターをかけ、蒸し、トリュフソルトをかけると美味しい)、寝起きだという今井君が現れた。自由な生活リズムだと思う。彼は外で担々麺を食べると居間でみかんや大福を食べ、再び眠るために自室に戻っていった。新刊が14日に発売されるので、ほっとして気が緩んだのかもしれない。

3月10日(日)
家を開く日だった。私が最近知り合ったエッセイを書いている女性と、近所のシェアハウスに住んでいるかねてからの友人、以前この家に住んでいたまいちゃんとその恋人がやってきた。こうして色々な人が来てくれると嬉しい。実家のように落ち着く、と言ってもらえた。

3月11日(月)
月曜から飲む会。会社の同僚と元住人のさゆりちゃんの3人で飲んでいたら、純君と偶然遭遇。そのまま4人で飲んだ。帰宅すると今井君がテレビに出演していたので驚きながら観た。今井君はテレビや雑誌では硬い表情をしているけれど、本当はとても表情豊かなのだ。

3月12日(火)
純君が帰宅するなり「痒い」と言う。私も痒い。花粉のない国で過ごしたい。国と言えば、今日から今井君は中国まで旅行に行ってしまった。中国は花粉が飛んでいるのだろうか・・・。

3月13日(水)
過労気味で帰宅。深夜帰ってきた純君も、どこか足取りが重い。季節の変わり目でみんな疲れやすいのかもしれない。気分が滅入りそうだったので掃除をして気分転換する。

3月14日(木)
今井君がいないので、行きつけのカレー屋に昴君が代わりに行く・・・というのは半分冗談で、昴君もなかなか仕事が忙しいらしく夕食はテイクアウト。新玉ねぎとパセリでスープを作ったのでおすそ分けした。スープは水ベース、味つけは塩のみ!しかし美味しい。旬の野菜はすごい。

3月15日(金)
絹江ちゃんから家の鍵を夫の家に置いてきてしまったと連絡を受ける。しかし、全員外出中!私に至っては珍しくスマホ自体を家に置いて出てしまっていたので連絡にすら気づかなかった。絹江ちゃんは諦めて夫の家に帰ることにした模様。申し訳なかった・・・。
田舎の家にあるあるだと思うのだけれど、植木鉢の下に合鍵を隠してある・・・なんて裏道を作っても良いのかもしれない。無防備かな。

3月16日(土)
家に昴君と私以外誰もおらず、大変静かな夜。

3月17日(日)
今井君が中国から帰宅。その数十分後に今井君の友人が来訪。夜、こたつに入って色々と話をしていたらその人と今井君が中国の僻地まで旅に出ようとしている計画を知り、私も行きたくなってしまった。

3月18日(月)
めずらしく私から近所に住んでいる元住人のさゆりちゃんと今井君を夜ご飯に誘う。近所に新しい担々麺屋さんができたのだ。つい数日前まで四川省にいた今井君は「丁寧な味だな」と比較しながら食べていた。私としては、実は生まれて初めての汁なし担々麺のヘビーさにちょっとだけびっくり。

3月19日(火)
ワインを飲みながら調理していたら途中で眠ってしまい、遅い時間に夕食。なんてひどい生活だろう。しかしおかげで夜型の今井君と純君の3人で、今井君の恋愛についてじっくり話すことができた。彼らはこの話し合いを密かにゼミと呼んでいるらしい。私はゼミの乱入者となったわけである。

3月20日(水)
昴君のバンドを見てから帰宅。近所のシェアハウスに住んでいるさえちゃんが家に来ていた。今井君の本を買ったらしい。帰宅した純君も加わって居間は深夜まで賑やか。しかし私は連日飲酒したせいか具合が悪く(そこまで弱くはないのだけれど)、ベッドでぐったり横たわっていた。

3月21日(木)
祝日。夜、めずらしく居間で住人が集まって、AbemaTVでイチローの引退会見を見た。時代の流れをみんなで感じる。

3月22日(金)
夜、とても静か。純君と今井君はいるのだけれど、誰もいないみたいだ。

3月23日(土)
うっかり食器を台所に置いた状態で、電話会議が始まってしまった。この家の台所は、食器をきちんと片付けるところまでやること!というのがルール。そうしないとあっという間にカオスになる。虫も来る。電話が終わってからそそくさと片付ける。

3月24日(日)
今日はめずらしく皆で外食、メンバーは今井君、昴君、さゆりちゃん、私。本当は純君や、さゆりちゃんの夫であるともき君も来るはずだったのだけれど来れず残念・・・。近所のロシア料理で、ペリメニや羊肉のソテーなどを食べる。締めはピロシキ!どれも素晴らしく美味しかった。大勢で、しかも電車の時間を気にする必要のない近所の友人とわいわい食べるのは楽しい。

3月25日(月)
近所のパン屋さんが閉店するかもしれないという噂を聞きつけて、今井君とざわざわする。ここに引っ越してきてからパン屋は既に2軒閉店してしまっている。パン屋が街から消えたら・・・考えただけで怖い。

3月26日(火)
脱衣所のホワイトボードのイレーサー付きペンがなくなってしまった。この家は「この時間にお風呂に入りたい!」という場合はホワイトボードに名前と時間を書くシステムなのだ。急遽そのへんにあったウェットティッシュを誰かが置いてくれたけど、イレーサーは早く買わなければ・・・そこで私は、誰にも内緒でクマの形をしたイレーサーを購入したのであった。家に届くのが楽しみ。

3月27日(水)
イレーサーが家に届いたので設置したら、冒頭写真のような落書きが。そういえば落書きなんて、久しぶりに見た。自由な、誰が書いたのかわからない落書き。消すのがもったいないので写真におさめる。

3月28日(木)
引き続きクマのイレーサーに落書きがされていく。

3月29日(金)
驚くほど冷え込む日。桜は満開に近いのに・・・。帰宅してしばらくすると、純君が近くに住んでいるという友人を連れてきた。こたつのスイッチを入れてお酒を飲む二人の隣でのんびり話を聴く。

3月30日(土)
夜、住人が揃っていたのでクミンティーを作って飲んだ。クミンティーとはクミンをフライパンで軽く炒ってポットに熱湯と入れて飲むもの。今日はクローブもプラス。今井君は「中毒性のある味だ」と喜んで飲んでいた。良かった。

3月31日(日)
近所のパン屋が閉店してしまうということで、その店の洋梨のタルトを昴君と購入。みんなで食べる。こんなに美味しいタルトがもう食べられなくなるのか・・・としんみり。
夜、絹江ちゃんが帰ってきた。最近あまり会えないので寂しい。明日からは新年度だ。そして元号も発表される。

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浅井 真理子

浅井 真理子

もの書き。
エッセイを書いています。

Reviewed by
黒井 岬

自分の生活に(具体的に言えば自分の家に)人を招き入れていると、それが楽しければ楽しいほどに、自分の生活を愛せるようになるようだ。ユーモアを忘れない日々を願わくばずっと送りたいし、時々思い出すいろんな人にも、そうあってほしいなと思う。

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