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3F/長期滞在者&more

まばらなしるしをおいもとめてはまだらなしるべをのこしていく

長期滞在者

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まばらなしるしをおいもとめてはまだらなしるべをのこしていく

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記憶や経験に寄りかかって自分が感じたことを重んじるあまりに
目の前に見えていることまで軽んじてしまわないように

日常を紡いで 解いて 繋げて 

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連なる点が縁を結び 深く掘り下げる時がきた
世界からはいま 少し遠くなって せまいところにいるのかもしれない 
けれど 散在している私の跡が少しずつ地図になっていくようなことを感じている
開いていくための新しい礎

居場所というのは場所のことではなかった
だから根を張ったりしなくていいんだ

ときどき
おいかけたり
たちどまったり
ふらりとびだしては
きょろきょろ
ふりかえって
ならんだりすればいい

いっしょに

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°°°

今月で私のコラムは一旦お休みを頂くことになります。
今まで読んでくださったアパートメントの読者のみなさま、本当にありがとうございました。

そして、来月からは当番ノート同期のカマウチヒデキさんとの企画が始まります。
管理人の鈴木悠平さんが考えたタイトルでもって、カマウチさんが二百字小説を、私が絵を描きます。事前にすり合わせなどはなく、2人がそれぞれてんでばらばらに作り上げたものをひとつの作品としてアップしていくという趣向、どのような化学変化が起こるのか私自身もこれからとても楽しみです。

一回目は1月28日からです。どうぞよろしくお願いします。

古林
希望

古林 希望

古林 希望

絵描き

私が作品を制作するあたって 
もっとも意識しているのは「重なり」の作業です。

鉛筆で点を打ったモノクロの世界、意識と無意識の間で滲み 撥ね 広がっていく色彩の世界、破いて捲った和紙の穴が膨らみ交差する世界、上辺を金色の連なりが交差し 漂う それぞれテクスチャの違う世界が表からも裏からも幾重にも重なり、層となり、ひとつの作品を形作っています。

私たちはみんな同じひとつの人間という「もの」であるにすぎず、表面から見えるものはさほどの違いはありません。
「個」の存在に導くのは 私たちひとりひとりが経験してきた数え切れない「こと」を「あいだ」がつなぎ 内包し 重なりあうことで「個」の存在が導かれるのだと思います。

私の作品は一本の木のようなものです。
ただし木の幹の太さや 生い茂る緑 そこに集う鳥たちを見てほしいのではありません。その木の年輪を、木の内側の重なりを感じて欲しいのです。

Reviewed by
朝弘 佳央理

本を読んでとてもいいと思った言葉や、大切だと思った感触を、どうしても覚えておけないのが残念だ。
そういう話をしたら友人が、読書なんてりすみたいにしたらいいんじゃない、と言ってくれた。
りすはどんぐりを余計に拾っては、あとで食べましょうと埋めておくが結局そのことを忘れてしまう。
けれど忘れられたからどんぐりは芽を出し、森になるのかもしれない。

子どもの時には世界のひとつひとつが全部「何故」なのだけれど
そのひとつひとつをいちいち全部解決してゆかなくても足りる
さっき起こったことは整合性を持って次に繋がらなくてもいい、
きのう埋めた石が目印のしたになくても、
撒いた白いパンが鳥についばまれてしまっても、
かならずしもその家に帰らなくてもいいのだ

境目に漂っていた今までよりも、ぐっとどこかに引き寄せられて其処を見ているように思う
足がかりはこのひとつだけではない、
からだもこのひとつだけではない、
たましいも、

もうそこは何もない、無の空間じゃなかった。

留まることで風の吹いてゆくその先を見ているような。

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