当番ノート 第2期
昔、仕事を辞めてぶらぶらしていた時のこと。 わりと、ぎゅうぎゅうで働いていたものだから、時間があることに慣れていなかったし、ぽかんとできたその日々に焦ったりしていた。 時間は売りたいほどあった。 でも、まあなんとかなるだろうと開き直り、やりたかったことを今のうちにやろう(暇だし)!と決めてメモに書き起こし片っ端から手をつけた。 ちょうどその時DVDかなにかで観ていた映画「死ぬまでにしたい10のこと…
当番ノート 第2期
煙が来てからというもの、眠りの精は悲鳴を上げて逃げ去り、彼らが身にまとっていた闇色のドレスは煙に喰いちぎられ無残な姿をさらしている谷底の部屋へようこそ。煙の朝駆け夜討ちで私は慢性的な寝不足です。 黒猫といえば魔女。黒猫を飼うことになって、それでは私も魔女に成りすましましょうと一人ひそかな盛り上がりを見せていたのですが、ひきとった猫は黒猫と呼ぶには何かがおかしい。以前からこの猫の容姿はみすぼらし…
当番ノート 第2期
ひとの名前に興味がある。その字を聞いたり由来を聞いたり。 名前を聞いてその名前を背負ってきた人生に想いを巡らすのが好きなのだ。 先日、友人に面白い話を聞いた。彼がある日コンビニに行ったところ、レジの店員の名札に釘付けになったという話。その名札には「神」と記されていたそうな。この時代、神様も就職難でバイトしていても可笑しくはない。友人はお賽銭の渡し過ぎで「神」様からお釣りを受け取ったのかも知れぬ。は…
当番ノート 第2期
北欧のおんなのこtinaちゃんのお部屋。 北欧ログハウスの一室を そういうイメージで雑貨部屋に仕立てる。 tinaちゃんはもちろん「お洒落な北欧少女」なのである。 だけど、お部屋の片隅をよ~く見ると イスラームの王様のお人形や日本の昭和モノなんかが こっそり置いてあったりする。 ・・つまり、tinaちゃん、雑貨おたくなのだ(笑 ここにやってくるいろんなひとたちと モノをめぐって展開する話がおもしろ…
当番ノート 第2期
さらり~ぃまぁ~んぁあん、子供じゃなければふたつ以上の顔をもてるぅぅ~ 1994年に放映された『僕の就職』という緒形直人さん主演ドラマの主題歌でこんな歌詞がありました。 当時、高校生だったボクに就職して会社員になる生活ってのは想像も出来なかったのに、なぜかこの忌野清志郎さんの歌う『サラリーマン』という哀愁に満ちた歌が心に響きまくりました。 ども、日替わりコラムの火曜日を担当させて貰うことになりまし…
当番ノート 第2期
ただ肌寒かった日々がいつの間にかもうすっかり冬で年末。朝晩どころか丸一日寒い日々です。 しかしながら、田んぼの真ん中に暮らしていると季節の流れがくっきりと目に見え、それはとても美しく凄烈です。 山の木々はもくもくと重なりブロッコリーのようだし、葉や花や実はさまざまに色をなし、なんだか壮大なサラダのようです。 私の住んでいる場所では、昔から「小事飯(こじはん)」といって、ちょっとしたおにぎりや、あま…
当番ノート 第2期
この原稿を書いているのを二段積みのダンボール箱の上から眺めている黒猫もどきが今日から始まるコラムの主人公の煙(ケムリ)です。煙は私の母が飼っていたのですが手放さざるを得なくなったため二ヶ月前に私の住む東京都谷底へやってきました。私の居ぬ間に行われた母と妹による密談で既に私が引き取ることに決定しており「谷底はペット禁止だから」と言っても聞く耳を持たず「ふきが連れて行かなかったら保健所に……」と半ば脅…
当番ノート 第2期
どうも、はじめましてイルボンです。 詩的な瞬間とか断片を採取することに興味がある人間です。 ひらたく言えば詩人です。大阪で小さなギャラリーを運営しています。 短い間ですが、どうぞお手柔らかにお願いします。 *** twitterを再開してから一年くらい経ったか。ギャラリーの運営を始めてから、twitterが色々と宣伝効果があるらしいということで、アカウント(会員ID)だけ作ってほったらかしになって…
当番ノート 第2期
おじいちゃんは写真屋だった。 塩浜という町のその通りには呉服屋さんと魚屋さんと履物屋さんと駄菓子屋さんと 電気屋さんとパン屋さんとたばこやさんと小間物屋さん・・ いまにして思えばそれなりににぎわいがあった。 その中に一軒、2階に写真スタヂオのあるちょっとハイカラな建物。 お店のショーケースに鎮座した、レンズが2個ついてる縦長の箱のようなカメラを おじいちゃんは売りもせずおきゃくさんに自慢してた。 …