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2F/当番ノート

ものを書く時の顔

当番ノート 第2期

さらり~ぃまぁ~んぁあん、子供じゃなければふたつ以上の顔をもてるぅぅ~

1994年に放映された『僕の就職』という緒形直人さん主演ドラマの主題歌でこんな歌詞がありました。
当時、高校生だったボクに就職して会社員になる生活ってのは想像も出来なかったのに、なぜかこの忌野清志郎さんの歌う『サラリーマン』という哀愁に満ちた歌が心に響きまくりました。

ども、日替わりコラムの火曜日を担当させて貰うことになりました清史(きよふみ)です。
8回っていう限られたエッセイなので、なんかテーマを持って書いてみたいなぁと考えていた時に、忌野清志郎さんの歌を偶然口ずさんだので、ボクの「ふたつ以上の顔」について書いてみることにしました。

第1回目は『ものを書く時の顔』です。

大学の頃は、お芝居の脚本を書くほど文章が好きでした。
脚本を書いていると、他の種類の文章にも興味が沸き、
友達が通ってたマスコミ志望者向けの論文教室に顔を出すことになりました。
そこで「社説はいちご畑の散歩の話から初めて、本題の日米同盟の議論に入れ!」と教えられ、その教えに心底心酔したボクは、いちご畑な文章を書きまくりました。

それから数年後、ボクはアメリカに住むことになったので、
エッセイを書く機会に必殺の『いちご畑テクニック』を金髪の先生に披露すると
「なんだこれ?結論から書いて結論で締めろ!」と怒られました。
アメフト見ながら、バケツ一杯のチキンを食いまくって育った方には、
まどろっこしい文章はお気に召さなかったようです。
現在は『結論から結論、時々いちご畑』がボクの流儀です。

そんなボクはとても芸術家という人たちに憧れてます。
音楽を奏でたり、踊ったり、絵を描いたりする人たちの近くにいるだけで
幸せだなぁって思うんですが、
個人的には業務文章以外を書くことが少なくなりました。
めっきり筆不精です。
さらに出不精になっては困るので、
先日、友達が主催した『ロックvs紙芝居』という宇宙初のイベントへ行きました。
ライブハウスで行われたイベントに興奮しまくったボクは、
ラストの悶絶するくらい素晴らしいパンクバンドの若い人が、
世の中への怒りをぶちまけているのを見ていた時に、
ふと「ああ、ボクには文章で表現したいことが無くなったんだ」
と気付きました。

ボクは37歳なのでパンクバンドの彼の言う「世の中」側になっちゃってて、
ある意味、彼の怒りはボクに向けられている訳です。
昔みたいに一緒に「そうだ、大人は判っちゃくれない、
盗んだバイクで走りだそう!」とは思えませんでした。
社会的な肩書も持ち、いまや世の中の権化みたいなものになっちゃったボクは、
美しい緑あふれる情景のお話を書くよりも、
外に出て一粒でも種を地面に植えることに充実感を覚えるようになり、
書くという行為以外で何かを訴えたくなっていたことを知りました。

そういう中で『いとでんわ』でコラムを書くという機会をもらいました。
これから、8週間、もう一度、自分の「ものを書く顔」をじっくり鏡で見てみようと思います。
ボクにとっては、とても素敵な8週間になりそうです。

今週のことば:
「人それぞれ、境遇と才能にふさわしい顔がある。その顔をやめて他の顔にすれば必ず失敗する。自分にとって自然な顔を心得て、それを置き忘れず、できるだけ良い顔にしようと努めなければならない

ラ・ロシュフコー (フランスの文学者)

今日のリンク:
サラリーマン(忌野清志郎)
https://www.youtube.com/watch?v=9_zYwsWhbdg&feature=related

ロックvs紙芝居
https://www.facebook.com/ROCKvsKAMISHIBAI

清史

清史

現在は社長と呼ばれる職業の2年生。
バスケと音楽と格闘技と読書とデジタルなオモチャ好き。

メキシコへスーツケースとギターを持って旅するような旅人になるのが夢だったが、現在は人生の半分を国内外の移動に使っているような出張だらけの生活を送る。

広島、下総中山、多摩市、ボストン、デトロイト近辺、豊洲と住居の定まらない生活を経て、とりあえず広島に定住しながら2人の息子の子育てにも奮闘中。

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