当番ノート 第4期
ロボットになった夢をみた。 私は私型のロボットになって、あの人の家の家事をしていた。 ロボットの私はとても賢くて、 あの人をいとも簡単に喜ばせる。 あの人はロボットの私に、 いちいち ありがとうと言ってくれるわけじゃないけれど ロボットの私に向ける視線には信頼感があって、 ロボットの私に向ける視線には安心感があって、 ロボットの私はとても満足していた。 私は有頂天になって、 とにかくひたす…
当番ノート 第4期
太陽が昇ることもなく いつでも夜であるその森で、 その樹はいつもひとりぼっちでした その樹以外の周りの木々たちはすぐ近くに友達がいて おしゃべりができるから朝が来ずとも 雪が降り続けようともさびしいと思うことはありませんでした けれども、その樹にはそばに話かける仲間もおらず 暗い闇のなかでいつも闇の天井から降ってくる雪を 毎日ひとり見つめていました その樹のことを遠く遠くから見守っていた星たち…
当番ノート 第4期
今回アパートメントに投稿するにあたり初めて編集作業を学んだ。 踊って、カメラで撮影して、パソコンにアップして編集作業。 おかげさまでどれだけ編集作業がハードであるか、マニアックであるか、 テレビや映画のようなハイテクな世界を作り上げている人々に改めて尊敬の気持ち。 はまったら中々でれないおもしろさが魅力だ。 あっという間に時間が過ぎていく。難しい。 気づけば眠る事も惜しいくらい没頭。 私の仕事は表…
当番ノート 第4期
「あなたが愛するものは、あなたを泣かせもするのよ!」 渋沢は足の甲に止まった足長蜂を見つめながらケニーに言った。 「まあ、渋沢ちゃん。君は家出をしてきわけだ。卒業をすることもなしに。 でも考えてみなよ。君、卒業をホントにしてしまったら次の入学どうするの? 受け入れ先も決まってないのに自動的に卒業って、チドリー・スコットの映画じゃないんだから。」 ケニーは自分の足の裏の表部分を引っ張り、渋沢の頬をう…
当番ノート 第4期
相方。と、彼女は僕のことをいう。人様の前で私のことを紹介する時などは「相方の蒔山です」と、僕のことをいう。結婚や籍を入れる選択肢を互いに必要としていないのだから、旦那でもなし、夫でもなし、配偶の人でもあるまいし、しかしまた彼氏でもなければ、ダーリンでもない。僕がそもそもそんな柄ではない。そういったことで、きっと相方と、こういうことになったのだと思う。 「それでは、君と僕は、芸で…
当番ノート 第4期
今の仕事場である四谷三丁目のすぐ近くには神宮外苑があります。今ある美術大学での出講で毎日外苑に通っています。3年前から毎年8月の数日間朝から日没までの殆どをこの場所で過ごしているのですが、ぼくはこの場所が大変気に入っています。 理由は、外苑という場所が東京のど真ん中でありながら、お金を全く使わなくても普通に充実した一日を過ごす事が出来る場所だからです。 外苑の周辺には、タクシーで1メーターくらいの…
当番ノート 第4期
やっとWi-Fiつながった〜…。締め切りを一時間(?)遅れてしまった! いま山形県の酒田に来ています。 全回ここに来た時はロクに景色を見る事も出来なかったので、日程に余裕のある今回は土門拳先生に挨拶するべく 土門拳記念館に行くぞ、と意気込んでいたんだけど、よくよく考えたら前回来たのは禁酒中、今回は禁酒開けという事で、 ここに来てからずっと酒、酒、酒、酒ばっか飲んでいる! 昨日は自転車でぶらぶらして…
当番ノート 第4期
昨日さ、 ん? 先が細くなってる花瓶があってさ。 うん。 ちょうどなんだろ、悪い博士が緑色の液体混ぜてすごい細菌兵器みたいのを作る時に使うようなやつね。 んー。うん。 写メあるかな? ないか。どうしよ。 まあ、なんとなくわかるよ。 ほんと分かってる? 伝わってるかね? わかるって。上が細くて、下が丸く膨らんでるやつでしょ? そうそう、それにね水を入れていくのね。 うん。 そしたらさ……………
当番ノート 第4期
ここアパートメントの一週間に一度やってくる締切に 一週間の間に そんなに劇的な出来事なんてないわぁと 学生時代に授業中に回しあった手紙やら 過去の手帳たちが入ってる、見るのも恥ずかしいような開かずの箱の封印を解いた そこにすっかり忘れていたものがはいってた それは簡易家計簿のようなもの。 上京組であった私は大学時代、家賃と高熱費は親に送ってもらっていた 生活費と遊び代はバイト代で稼いで、という経…
当番ノート 第4期
今日はあまりにも暑い日曜日だったので海に行った。 子供の頃から海に縁がなかった。 両親がそんなに海に行かなかったせいだろう。 自宅から海までは電車か車。結構時間がかかるし、行くならば一大イベントだった。 あげくの果てに、中学校、高校と水泳の授業がなかったのでどうやって泳ぐのかも忘れていった。 日本では大きなプール施設があり、流れるプールだったりウォータースライダーといったような アトラクション感覚…
当番ノート 第4期
「ええっ!グルメ三昧ツアー??そんなのわざわざこの島でする必要ないじゃない。 東京のデパ地下ででもやってるんだし。どうしちゃったのケリーちゃん。最近疲れが溜まってるんじゃない? グルメ三昧ツアーにでも行ってきてリフレッシュしてきなさいよ。ええっ!グルメ三昧ツアー?? ちょっとケリー。それって島でやってみたら面白いじゃない!!やろうよ。」 ケリーは疲れていた。マッサージチェアに100円追加しようにも…
当番ノート 第4期
栗色の斑毛 猛禽ひとつ 木陰の水場の手摺に。微動だにせず おまえが 凝視しているのは 開かれた斜面に広がる 無数の花。 無言の 姿の 役割を果たすために。風の中から 現れ。欲して 鳴きもせず咽を嗄らし 気付かない 苛立ちもせず。 羅針を持たない放縦と 尾の方舵の器用は 羽搏きせずに飛ぶ狡黠を好んだ。 その唇は鉤の喙で おまえの寝所は班渓の滝を見下ろす岩の 縦割れに隆起した 崩れない上に…