当番ノート 第21期
中島晴矢の展示「ペネローペの境界」を観た。 http://tavgallery.com/nakajima/ 展示について、気になったことを書いてみる。 展示の始めに「walk this way」という静かな映像作品があった。それは緻密な構築性を持っている。冷たい薄雲の空の下、荒廃した大地の中で生い茂る緑の植物と、整然と積み重なる巨大な黒のフレコンバック。そこを、静かに歩く赤い衣服を纏った白い肌の女…
the power sink
今回も絵を載せる。見て頂けると嬉しいです。 ではよろしくお願いします! 発煙筒をたく男 どうだい。だ円がたくさんあるだろう。どう思う? 僕はとてもすばらしいと思うよ。でもさみしいよね。 ここの所、体の感覚が無い 変なハンカチみたいな網みたいなのを振っている人たち 僕は胸と股のあたりに黒いでっぱりがついている 液体の…
当番ノート 第21期
七夕ですねー。 今日も書きます。 ちょっと急ぎめに、、 さっきまでパーリー建築のミヤハラくんにあっていました。 パーリー建築というのは、住む場所と食べ物を確保してもらい、無料で建築を作り続ける若者たちで、 いろいろな意味で最近、心からいちばん面白いと感じる方です。 彼と、墨田区にある実家のようなおそば屋さんで話していたことを書こうと思います。 このそば屋はカレー100円食べ放題、しかも総菜は無料で…
長期滞在者
いとうせいこうの『想像ラジオ』を読んだ。 4年前、震災の一ヶ月後に被災地を訪れた時のことを生々しく思い返しながら。 今から思えば、津波の映像を見続けたせいで自分もいくらかショック状態のまま、なぜそこに行かなければならないのか、そこで自分に何ができるのかも不確かなまま、ただあの映像で見せつけられた途方もない惨事が本当にあったことなのかどうか自分の目で確かめなければ気が済まない、というか、何か途方もな…
当番ノート 第21期
ピンポーン、ピンポーン、 はーい!あ、こんにちはーどうぞどうぞ上がってください! お待たせしてすみません!いまちょうどお客さんが来られてて バタバタバタバタバタ 「せみちゃーん!!いちごー!!」 いだだだだだ足踏んでる足踏んでる ・・・え?せみちゃん?ふふっ私のことです。 ケーキを切り分けながらゆっくりお話しますね。 ささ、どうぞあがってください! 今夜のお夜菓子 ★ ショートケーキ コポコポコポ…
当番ノート 第21期
倉庫とパッケージ、5。 ポケットには東京タワー、の話。 忘れないように努めていることは、 やがては忘れてしまう事であり、 思い出さないようにしていることは、 何かの拍子に必ず思い出してしまう事である。 この二つの事柄は、 或いは別々の倉庫に同じ名前で保管されているか、同じ倉庫に別々のパッケージで保管されている。 つまり、 記憶というものは僕たちの意思や考えだけでは完全には管理できないもので、その類…
Native Language
当番ノート 第21期
ルーマニアのクリスマスは豚の解体から始まる。朝目覚めると村中の犬が吠え立てており、至るところから豚の叫び声が聞こえる。暫くすると5,6人の村の男衆が足早にやって来て、家の者に一言も告げず真っ直ぐに豚小屋に向かい、紐で縛った豚を引き摺り出す。豚は白い湯気を立てながら耳を劈く叫び声を上げ、必死に抵抗するも虚しく地面に倒される。首にナイフを突き立てられ、ものの数秒で死んでいく。遠くで聞こえる叫び声は断…
はてなを浮かべる
こんなはてなが浮かぶだなんて 一度たりとも思わなかった こんなはてなは当たりまえだと きっと世界は言うでしょうが 当たりまえのはてなというのは いったいどれだけ偉大なのかな 難しいことを考えず まっさら頭のまんなかで 問いかけたくなるその言葉だけ 浮かべばそれは「あたりまえ」で 「あたりまえ」ほどくだらなくて くだらないほどに切り捨てられて 切り捨てられてもかけがえなくて あたりまえに耐え…
長期滞在者
そうだむらの そんちょうさんが ソーダのんで しんだそうだ 「そうだ村の村長さん」詩:阪田寛夫 より どんよりとした空。ぽつぽつと雨が降り出した。開いたビニール傘にあたってははじける雨粒に、きりっと冷えたソーダ水を飲みたくなる。 子どもってなんであんなにソーダ水が好きなんだろう。コップに注がれるときのしゅわっという音。ぷちぷちとはじける泡は口に入れると踊りだす。甘いけどさわやか、カラフルな水はより…
当番ノート 第21期
▼横須賀中央 ふたりで暮らすようになってしばらく経つが、めったに一緒に酒を飲まない。Nもそこまで大酒飲みではない。にこにこ穏やかになるたちで、好ましいたぐいの酔っぱらいだった。ところが最近、Nは酔って電車を乗り過ごす。夏のはじめに、金沢八景から新逗子まで旅をしてからというもの、Nは海沿いの町が気に入って、京急線で遠くに行くことがふえた。連絡の取れない時は、酔ってどこか遠くの駅でねむりこけているらし…
日本のヤバい女の子
【7月のヤバい女の子】 ⚫︎天稚彦物語(七夕) 宇宙規模の遠距離恋愛をしている女の子は、光の速さでラブ・レターを出すだろうか? その文字は星で書かれているだろうか。 七夕のイメージ・ソースとなった女性はたくさんいますね。 中国の織女。西王母。日本書紀などに見られる巫女の棚機津女、古事記の下照姫。下照姫は「輝くばかりに美しい」という名です。 それらが綯い交ぜになって、室町時代にお伽草子の「天稚彦(あ…