当番ノート 第23期
空の青さをみつめていると、ふと思い出すことがある。そこには11歳の僕がいる。彼はマーチという車の後部座席にいる。その車の車体は黄金虫のような金色のメッキで塗装されている。彼は母親の運転するその車の後部座席に横たわっている。彼の眼はなにを見ているのか。あるいは、なにも見ていないのか。車の後部座席の四角い窓越しに青い空を見るともなく見ているのが彼の目だ。二つの虚ろな眼球がある。空は怖ろしいほどに青く晴…
Slow times
中身がしっかりしている。ということ。 自分の足で立っている。ということ。 もしかしたら飛び方を知らないのかもしれない。 他の鳥と違いすぎて、ここにいるのかもしれない。 みんなと同じように羽ばたけば簡単に飛べるってわけじゃない。 象の頭はやわらかい。
当番ノート 第23期
美についてなんて、たいそうなこと気鋭の美術家たちあつまる このアパートメントで、釈迦に説法な無知さかもしれない。 でもまあ、 わたしは、ここ最近考えてきたことがこのことを中心としていて まわりの人たちに「いちばん美しいもの」ってなんだと思うか、と聞いて回っていた。 ことば ガンダム 数学 オイラーの公式 動物、生物(かわいさとメカニカルな生物としての意味) 目的に対して最短の手法であること 四季 …
当番ノート 第23期
千葉駅から少し離れたところにあるサンマルクカフェ。店内に人はほとんどいない。ゆったりしたジャズが耳を澄ませばはっきりと聴き取れる音量でかかっているのはどこのサンマルクも同じで、店内の装飾、椅子と机の規格もおそらく同じだろう。マクドナルドやUNIQLOが全国どこも同じように、チェーン店というのは全国どこでも似たようなものだ。店内に入ってしまえばそこが沖縄であろうと北海道であろうと新宿であろうと関係…
当番ノート 第23期
「自信がない」 これはもう、よく聞く言葉であり、僕自身もよくそう思う。 自信がある人は何が違うのだろうと。 基本的にうじうじした性格の僕だから、自信に満ち溢れて行動する人を見ると本当にすごいなぁと思う。 今日もまた、お家の中で「自信」について話題に上がった。 人一倍「自信がない」病で、そのくせ自信を持っちゃうとすぐ調子にのって失敗してしまう。 僕はそんな感じ。名付けて「うじうじ自信欠乏症」 そんな…
長期滞在者
先月から再開した朝ヨガのせいか、ここのところ体調も心調も頗る良好だ。 心の調子の方は、ほぼ3年ほど前にうつ病を発症して以来の好調で、なんだか気持ち悪いくらいだ。 ブリュッセルもこの一週間くらいは快晴が続いていて、吹く風は冷たいながらも清々しいので、 そのせいもあるのだろうけど、身も心も環境も清々しいのだから、こういう滅多にないことは、 つまり有難いことだから、気持ち悪いとか言わずにありがたく頂いて…
当番ノート 第23期
When, Where, Who. The Period, The Place, The Person. あの時期 あの場所 あの人。 それぞれの場所に、あの人、がいる。 それは、空間と時間によって少しずつ変化する。 今、自分の中にある、 その時、その場所で、その人に会って受けた影響。 頭の中に散らばった記憶のかけらを、こちらのアパートメントにお邪魔している すこしの間、眺めながら埃を拭き取ってみ…
当番ノート 第23期
それぞれのみずがきれいだというはなし このみずがきたないというはなし ひこうていのなかと みずのなかをゆきき
はてなを浮かべる
なにかに記されることは容易ではない? 他人の手垢によってかたちづくられている? 悪意を無知で包んでいる? 自分の手のひらを脳天にこすりつけること忘れてるんじゃないかな? 隣人の素晴らしさを脅威に感じている? 誰にでも死角があることを忘れがち?(とりわけ自分の?) …
Native Language
映像のための、というか映像を想起させるような音を作っていたら、いつの間にやらCDに出来るほど溜まったので作りました。 https://satorukita.bandcamp.com/releases 最初のひと月は€5(日本から購入される場合、自動的に円換算されます。)で販売しています。 NATIVE LANGUAGE 物心ついたころから石やら木やら水やらそういう自然物が興味の中心で、割とぼん…
当番ノート 第23期
僕は散歩が好きで、昔から暇さえあればあてもなくふらふらと道を歩き回っている。あてもなく散歩をしていると見知らぬ道を見つける。理由もなくその道を歩いてみることにする。見たことのない景色に出逢う。見たことのない家や人々の生活が目に映る。見たことのない植物や昆虫に出逢うこともある。空はいつも違う顔をしている。同じ種類の草や木や虫でも、それぞれに違う顔をしている。そんな当たり前のことを眺めるのが好きだ。 …