当番ノート 第46期
数年前に子どもにせがまれ、海に行くことになった。 記憶している限り、水着なんて小学校以来着ていない。なぜなら、自己認識としてのわたしは、容姿も中身も松本零士先生の漫画『男おいどん』の「大山昇太(おいどん)」なのだ。かわいらしい水着を着て良いのは、ヒロインだけ。悩んだ末にいつかのアニメ『それいけ!アンパンマン』で、ジャムおじさんが着ていたようなラッシュガードを買ったのだった。 子どもたちと全力で遊び…
当番ノート 第46期
小さなころ、いや、 ひょっとしたら高校になるころまで 仕事といえば家族や 親戚のおじさんおばさんたちのものしか 認識していなかった。 幼稚園のせんせい バスのうんてんしゅさん お習字のせんせい おもちゃ屋のおねえさん 工事のかいしゃのひと 大学に入ってからは 自営業の知り合いが多く 踊り手、歌い手 鍼灸師、整体師、 フードコーディネーター カメラマン、 そんな仕事もあるのだなと認識するようになった…
長期滞在者
展覧会のための作品の選出や構成を検討して作家さんに提案するのは、ぼくの仕事の一部です。 作家さんにも色々なタイプがいて、完全に自分の手から離して、全部お任せしたいと考える人もいますし、最初から最後まで全部自分が関わりたいと思う人もいます。ぼくのスタンスとしては、最後は自力で頑張って欲しいと考えています。完全お任せと言われても、最後は作家さんに決めてもらえるようにいくつかの選択肢を残して提案するのが…
当番ノート 第46期
家賃3万円、ワンルームのアパートに暮らしていた。週4〜5日街頭でチラシ配布のバイトをしながら生活費を稼ぎ、大学院に通い、演劇コンクールに応募して、作品を立ち上げる。貯金はなく、もやし炒めとサバ缶、コンビニで買えるひじきや切り干し大根をローテションしながら、奨学金返済に怯えていた。 それでも、世に突きつけたい問いを演劇作品として立ち上げながら、コンテンポラリーダンスに向き合っている彼女と理想の稽古場…
Mais ou Menos
まちゃんへ 最近の体調はどうですか? 暑くなって汗をいっぱいかいていて、それが大変そうに見えます。 今日、ついにポルトガル行きのチケット手に入った。 ブラジルに行くか、どこに行くかいろいろ迷った末のポルトガル。 今2人が1番行きたいところだったんだと思います。 ただ、行くのがもう少し先なので、体調管理や準備を整えていこう。 昨日はまちゃんが会社の人と会うのにすごく緊張していて、それでその緊張感がこ…
Do farmers in the dark
表題:とてもリラックス出来そうにないベッドだけど、すご〜く気持ちいいんだ いつも申し訳無いと言いながら文章を載せているのですが、実のところ今月も気づいたら時間が経っており、またも最近の日記のような事を書きます。娘と公園に行くという事を書きつつ自分の事を書くという、今までに何度もアパートメントに散々書いた内容で、今までと違うのはせめて見た目だけでもちょっと違うようにしようと思いなぜか幾…
当番ノート 第46期
わたしは大ぶりのキラキラ輝くピアスが好きだ。自分を格上げしてくれる気がする。格上げって何なんだとも思うけれど、確実に気分は上がる。 でも、たまに大ぶりなアクセサリーが急にダサく見え、華奢なアクセサリーが似合う上品な人に憧れたりもする。気取りすぎない、さりげなさに。 毎日毎日つけていたピアスが、急にしっくり来なくなった気がして使わなくなる。こう書き記してみると、それはなんだか悲しいことのように思える…
当番ノート 第46期
2回目の投稿です。「トルコで出会った女性たち」シリーズ第2弾です。トルコで出会った印象的な女性たちとそれにまつわる私の記憶を書いています。前回の投稿「ハティジェ」の冒頭にてこのシリーズの説明を詳しく書いておりますので、一体何について書かれているのか混乱された方はどうぞそちらをご確認ください。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…
当番ノート 第46期
1軒目の酔いがいくらか覚めてきた頃、わたしは友人ふたりと新宿のどこか(覚えていない)にあるスナックのカウンター席に座っていた。 わたしたちの他に、お客さんは5組程度だった。人生で数回目のスナックだけど、見知らぬお客さん同士が狭い空間のなかでカラオケをしたり、女の子がお酒を注いたりする光景というのは、なんというか、異世界だ。 自分がいる場所よりも、1メートルくらい上の方から見下ろしている気分になって…
当番ノート 第46期
大学時代の友人たちに会った。 しばらくお昼休みはどうしてる 残業はどのくらいだとか 髪切ろうか迷っててだれそれとどうなったとか 学生の時とは少し違うようで 大体同じような近況報告をした後ふときかれる。 「みほ。本当に仕事しているの?」と。 会ってからさっきまで 散々その話をしていたじゃないか!と苦笑してしまう。 でもそれだけ友人たちには私がまともに「会社勤め」をしていることが信じられないらしい。 …
それをエンジェルと呼んだ、彼女たち。
最後に物語に没頭したのはいつだっただろう。私は自分のつま先を、その先に触れている外の世界をちゃんと感じられているだろうか。 ここのところ、物語と身体というふたつの言葉がぐるぐると私の中を巡っている。そのどちらもを長い間放っておいている気がしてならなくて。 私たちはSNSのアイコン越しに見るその人たちが残す現在地や呟きや写真、動画を永遠に過去と思えない。ねじれた現在を生きている。その人が過去に感じた…
長期滞在者
今月は出張で長く家を空けていたので短め。 帰ってからは、お腹が痛いのと過労気味でほとんど寝たきりになってしまった。しばらく家にいる時間が長くなりそう。 それにしても今月は辛いニュースが多かったなと思う。自分は何ができるんだろうなと思ったりもするのだけれど、 今はまず体調を立て直さなければ・・・。 7月21日(日) 約3週間ぶりに帰宅!帰ってすぐに今井くんと遭遇。居間から漂うカレーの匂いがもはや懐か…