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2F/当番ノート

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当番ノート 第1期

1+1=2
自分は1978年9月10日に生まれた。
ライオンはネコ科の動物である。
3月の次は4月である。
オリンピックは4年に1回やってくる。
これは「知っていること」。

木から落ちたら痛かった。
恋をするとウキウキする。
去年の9月にもらった梨はおいしかった。
手にすくった雪の嗅いだら夕立の雨の匂いがした。
部屋は多少散らかっていたほうが居心地がいい。
これは「本当に知っていること」。

先日、ある本で読んでいたときに『「知っていること」と「本当に知っていること」は違う』という言葉が出てきたので少し考えてみた。

「知っていること」は「情報」と言い換えてもいいかもしれない。
情報は置き換えが可能なものだ。
1+1=3でした、オリンピックを5年に1回にします、生年月日の登記が間違えていました、という新たな事実が出てしまえば、個人の頭の中ですぐに新しいものに取り替えられてしまう。

「本当に知っていること」は個人的体験を通して得た知識ということになろうか。
木から落ちてもオレは痛くない、私は梨はキライだよ、と他人に言われても「痛かった」、「あの梨はおいしかった」と感じたことは否定しようがない。おいしくなかったとウソはつけるが「おいしかった」と思ってしまった事実は消し去ることができない。

ネットを通して得た情報は「知っていること」、ネットをしているときの充足感は「本当に知っていること」。
何をしていても、人間は必ずこの二つを得てしまっている。
そして、この二つは全く違うことだ。

「知っていること」と「本当に知っていること」がとっちらかってしまっているので、たまに掃除しないと自分が本当は何を知っているのかよく分からなくなるときがある。

些細なことかもしれないが、どうでもいいことではないなと思う。

中川 雅史

中川 雅史

1978年生。
茨城県土浦市出身。
現在、京都市在住。

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