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2F/当番ノート

鳩の話

当番ノート 第7期

皆さん、お元気ですか?
木曜日のしゃもとです。

今回は忘れられない鳩の話。

しばらく前、私は仕事で日本にいた。
朝早く立川駅から南武線で横浜の方へ通う毎日で、軽くお化粧して外見「お仕事頑張るアラフォー」を装うことを楽しんでいた。
早朝の立川駅は混んでいる。
ペデストリアンデッキ(歩行者回廊)は駅に向かうシャキっとした活きの良い感じの人々が絶えず行き交っている。

多分は私はどちらかというとその日の活きは並程度で、混み混み電車に乗ることを考えただけで「オエ」っとしてしまう気分であったと思う。
そんな気分ですすっと「もうすぐ駅です」というところで、その鳩を発見した。

鳩は止まっていた。
ただ止まっていたのではなく、その「くちばし」が、ペデストリアンデッキのタイルとタイルの間に挟まって抜けなくなっていたのだ。
この写真ではロバだけれど、

このような状態でしばらく身動きできずに停止していた。
私はもちろん立ち止まってその鳩をじじじじじと見つめた。
じじじじじと見つめている間も、その鳩は動けないでいた。

じじじじじと私が見つめている間、たくさんの人がぶつかりもせずに私の横をすり抜けて駅へ向かっていた。
それはよく映画やミュージックビデオで見たことのあるような図であった。

どうしたものかのぅ、とあれこれ救出方法を考えていたところ、突如くちばしはタイルから抜けて「ぱたぱた」と飛んでいってしまった。
旅立ちはとても速く、どの方向へ行ったかもわからなかった。

どうしてなのか、私はその鳩を見たことが忘れられない。
それはきっと、何となく今の自分に似ているからかもしれない。
じたばたしても始まらない。
きっといつかそこから抜け出せる。
その日は突如やってくる。

しゃもと たか

しゃもと たか

ベルギーに小さい男と大きい男と在住中。
バリバリ踊ってきたけれど、今はお家ダンサー。
のんびり行こうよ。
私のふる里は地球と思えば、日本が近くなる。
パーマと眼鏡が好き。

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