初めて一眼レフのカメラにふれたのは高校1年生の頃
引っ越しをしてからずっとしまい込まれていた段ボールの中にあったそれは
付属の革のケースが砂のように劣化していて手に取るのも躊躇うほどだった。
むかし祖父が使っていたものらしいのだがそこまで極端に古いものでもなくカメラそのものはしっかりと動いた。
その精密機械が発する空気みたいなものが持ち歩くのは少し怖い感じがしたけれど
なんだかフィルムを巻き上げる時のキリキリと動く歯車の感触が親指に伝わるのがとても愛おしかった。
ファインダーを覗けば世界が黒枠で切り取られてまるで映画のように見え、そのままいろいろなものを見たり歩き回ったりもした。
レンズ越しにみる風景はとても特別だった。
使い込めば使い込むほどそんな感覚は薄れてしまうのだけれど
今でも初めてふれるカメラのファインダーは映画のように見える。
movie
edit:Yuma Mori
music:Genki Hatsumi