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2F/当番ノート

タバコがやめられるかもしれない話

当番ノート 第12期

アドバルーンというバンドで、インドネシアまでライブをしに行くっていうので、
その日は朝5時に起きる羽目になった。
まったく良い迷惑だ。
前日の仕事が遅かったせいで、二時間しか寝ていない。
酷い低血圧なので、寝起きがとにかく悪い。
三十分で仕度するために、無理矢理身体を起こし、冷蔵庫のミネラルウォーターをガブ飲みする。
俺は東京人でも無いのにミネラルウォーターを飲む様な輩が大嫌いなのだが、
彼女と同棲を開始してからいつの間にか水道水は飲まなくなってしまった。
まったく腹立たしい。自殺したくなる。
とりあえずもう一度布団に潜り、これからの段取りを考える。
まず、布団に戻ったことが間違いだった。自殺したい。
今日ばっかりは遅刻できないので、とりあえず起きてシャワーを浴びようと考える。
そこで、はたと気付く。
シャワーを浴びなければ今から10分寝られるではないか。
シャワーなんてどうでも良い。
俺は基本的に不潔だ。それで全く問題は無い。
隣で眠る彼女には、俺が不潔で耐えられないなんて言われた事が無い。
だから大丈夫だ。
いや待てよ、もしかしたら遠慮して言えないのでは無いだろうか。
やさしい彼女はいつも喉の調子が悪いからと言ってデカいマスクを鼻まで覆って寝るのだが、
もしかしたら俺が臭いからなのではないだろうか。
そうなると非常に申し訳ない。
やはりシャワーを浴びることにしよう。
と、思ったのは夢の中で、俺はぐっすり眠っていた。
電話が鳴って起きる。
バンドメンバーからの着信。
もうみんな集合しているとのこと。自殺したくなる。
急いで着替え、エレキギターを持って駅へダッシュ。
静岡駅の集合場所のベンチでバンドメンバーに土下座する。
「とりあえず行くぞこの糞ボケ野郎」と言って立ち上がりかけたリーダーに、
「すみません、どうしても5分だけ時間をください‼」と俺は懇願する。
「ふざけんなこのハゲ‼」と、メンバーに罵倒されながら、
そこで俺はようやくタバコに火をつけるのであった。

もう良い加減そろそろ本当にタバコをやめたいです。

ノダ フルタ

ノダ フルタ

ライヴハウス騒弦店長です。アドバルーンというバンドに参加しています。

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