気持ちがいいので、よくマルをなでます。
疲れているときは特になでたくなります。
マルをなでると疲労が軽減されて気持ちがとても楽になるからです。
「しんどいなぁ」と言いながら、マルの背中をなでていると、言葉と一緒にしんどいのも消えていく。
そんな気がして、何度も何度もなでてしまいます。マルは静かになでられるままです。
河原の石みたいに、摩擦でマルも小さく丸くなっていくんじゃないかと思うほど、なでます。
私は、頭痛とか腹痛とかどこかが痛いとすぐにバファリンを飲むので、出掛けるときには
必ずバファリンを鞄に入れています。「痛くなっても大丈夫」とお守りのようになっているのです。
マルがもし小さく丸い石みたいになったら、お守りとして持ち歩くだろうなぁとなでながら思います。
返答を思い付かざれば飼ひ犬の胸のあたりの癖毛をなでる 濱松哲朗『塔2013年2月号』