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最近は描こうと思っていなかったものを描くのがとても楽しい。
例えばシャッターを切るとき、猫とか綺麗な空とか桜とか
自分の目に飛び込んでくるものたちではなくって、
いつからか、ただじっとそこに居て見つけてもらうのを待っているものに出会うまで
ひたすら薮をかき分けてみます。
絵を描く時、手癖で描けてしまうものもいくつかあるし
蓄積された技術が上手く行くことは気持ちがよいので
つい描いてしまいがちなのをぐっと堪えて。
ヨーロッパだったらフランスやイタリアよりも、ポルトガルやクロアチアが良く見てみると面白かったり
同じイタリアの中でも、トスカーナまで行くと畑が広がってて、のどかな中に黄昏の予感がする。
もちろん奥底のもの変なものを描けば面白いってわけじゃないんだけれど
妙に知ってしまうと知った気になってしまって、ちゃんと見なくなってしまう。
一回ピントを離してその隣にひっそりとしているものをよく見ると
知らないことを沢山教えてくれる老教授だったりローマの休日の前のヘップバーンだったり。
誰が自分の親友になるかはまだわからないけれど、
軽く会釈して絵を描かせてもらうのが今はとっても楽しいのです。
「はじめまして、とってもすてきですね!一枚よろしいですか?」