今回ご一緒させていただいた出演アーティストについてもいくつか紹介しておきたいなと思います。まるで自分の心の中を覗いたとしか思えないくらい好みにストライク!なラインナップとなっており、これまでに来日することのなかったベテラン勢も多く参加する正直気楽にお客さんとして楽しみたいと思うような内容でした。
■FRANK BRETSCHNEIDER
Olaf Benderとともにドイツのエレクトロニック・ミュージック・レーベル〈raster-noton〉の共同設立者の一人。オーディオ・ヴィジュアルのパイオニア。ホテルが一緒だったので終演後にホテルのバーで呑みながら色々とお話しましたが、黎明期からのパイオニアとしてのオーラに圧倒されてあまり何を話したか覚えていない(笑)ビールのせいでしょうか??
■SCANNER (aka Robin Rimbaud)
UKの現代音楽家/マルチメディア・アーティスト。一昨年くらいから親交はあったものの、実は個人的に今回最も会いたかったアーティスト。ラジオ無線からの電波盗聴によるサウンドデータを用いた作品などが有名ですが、各国都市のサウンドスケープを用いた電子音楽作品http://www.discogs.com/Scanner-Tonne-Sound-Polaroids/release/158558がとても好きで昔良く聴き込んでいました。オリジナル・ワークのほかに『音』に新たな価値を生み出すような音響心理、建築音響の知識を用いた空間・公共スペースのためのサウンド・プロジェクトなども手がけており、自分にとっての心の師匠。現在、にわかに共同プロジェクトを進行しているのでいつか発表出来ればとても嬉しい。
ちなみにこのModulationsという映画でも色々と面白いこと語っています。UPLINKから日本語字幕付のDVDも発売されていますが、公式なのかどうかフル尺で公開されているようです(驚)アフリカ・バンバータからオヴァル、スクエアプッシャー、ブライアン・イーノなど20世紀のエレクトリックミュージックの流れを包括的に理解出来る名映画。おススメ!
■MURCOF
メキシコ出身のエレクトリック・ミュージック・プロデューサー。ヴィジュアル・アーティスト集団「AntiVJ」とのコラボレーションや本名名義による映画音楽作曲なども手がける。ヴァイオリンなどいくつかの楽器奏者と固定カメラによるリアルタイムの映像作品を組み合わせたライブ・パフォーマンスで実は今回最もグッときたというか面白いなと。それまでは全くノーマークだったので嬉しい驚きとなりました。ちなみに去年、クラシック音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」で来日していたようです。http://wired.jp/2014/04/26/murcof-for-tokyo/
■NICOLAS BERNIER
モントリオールを拠点に活動するサウンド・アーティスト。この作品はArs Electronica Golden Nica賞を受賞したときの作品で、今回もインスタレーション展示での参加でした。録音作品も非常に面白くてあえておススメするならば個人的にはこの一枚。The Dancing Deer EPhttps://itunes.apple.com/jp/album/the-dancing-deer-ep/id640130712
Abletonで日本語インタビューも読めるので映像と合わせて理解の深度が深められるのでは?https://www.ableton.com/ja/blog/nicolas-bernier-intimate-frequencies/
他にも数多くの作家が世界中から集まっていて、自分にとっても非常に有意義な渡欧の機会でありました。(食べ物も最高に美味しいし!)前回から引き続き前置き(自己紹介)が長くなってしまいましたが、とまあこんな感じで主にサウンド・アート、エクスペリメンタル/エレクトリック・ミュージックetcという結果的に現代美術からもいわゆる音楽シーンからも一定の距離感をもったことをやっています。その辺りちょっぴり興味をもたれた方は新旧アーティスト含めたひとつの流れを俯瞰する入門編となるような2枚組コンピレーションアルバムを一昨年くらいにプロデュースさせていただいたのでご参考までに。特に同封のブックレットが教科書になるかと。http://vernacular.whereabouts-records.com/
2回目にして相当ディープな内容になってきてしまいました(笑)。こういうのは自身の作品含め、欧米では批評という土台があって一定の評価の上で英BBCや伊RAIなどの公共放送でも取り上げられるのですが、なかなか日本ではテレビやラジオ、雑誌などでもなかなか紹介される機会も少ないのでせっかくの機会なので積極的に紹介してみようと思います。