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2F/当番ノート

卍第五章 北限の海女シーズン到来卍

当番ノート 第33期

卍第五章 北限の海女シーズン到来卍

読者の皆様、大変お待たせいたしました・・・。

ようやく[海女]のお話に入っていきたいと思います。

そして実生活でも7月1日からシーズンに入りました!(イエーイ!)

2017 ama

まずそもそも「海女さん」ってなにかといいますと・・・海に潜り、貝類や海藻などの漁をする女性のことを指します。日本と韓国の2か国のみ存在する職業です。

現在日本には、約2000人ほどいるといわれております。

「海女」という名前だからか、女性しかやらない生業に勘違いされやすいのですが、そんなことはなく、男性も行う地域もあり、全国的にみれば男性のほうが圧倒的に多いのです。

(男の場合、海士と表記することが多いです。全国に5000人程いるそうです。)

その中でも私が携わっているのは、「観光海女」というジャンルになり、「主に素潜りするところを見せてお客さんからお金をいただく」というシステムです。

(対する言葉は商業海女といい、採った漁獲物の売り上げで生計を立てます。基本的に海女はこちらを指します。)

潜って見せるだけではなく、採ってきたウニをお客さんに売ったり、写真撮影に応じたりと色々接客のお仕事もあります。

PRのお仕事も兼ねるので、テレビや新聞の取材も対応します。

それから、海女は年がら年中潜れるわけではありません。

岩手県に限らず、どの地域も大体シーズンが決まっています。目的は採り過ぎないよう、資源確保のためです。

岩手県久慈市小袖海岸で活躍する「北限の海女」の場合、観光用の素潜り漁は7月1日から9月30日まで。紺色の絣半纏と白い短パンを履いて行います。

地元出身の漁業権を持つ先輩海女さん達は海女漁も行いますが、それは7月から8月にかけての2,3回程度です。漁の時はウエットスーツを着るそうです。

男海士さんはいません。採るものはウニです。

明治初頭からの100年以上の歴史があります。

日本と韓国から見ても最北の地で海女漁を行っていることから「北限の海女」と名乗っています。

2016年7月2日。

この日が私の海女デビューの日でした。

いつもだったらすぐ眠れるのに、緊張で午前2時まで眠れませんでした。

最初の素潜り実演が始まるまで、控室で先輩海女さん達に沢山言葉をかけてもらいましたが、緊張で私はいっぱいいっぱいでした。心臓が身体から飛び出そうでした。

潜れるかな・・・大丈夫かな・・・そのことだけが頭をグルグル回っていました。

10時20分、最初の素潜り実演の時間になり、いよいよスタートです。

最初は種市高校での練習もむなしく・・・ほとんど潜れませんでした。

頭を下にして、潜っていこうとしても、海の浮力が強すぎて全然潜っていけないのです。

高校で練習した時は潜れたのに・・・。あんなにいっぱい練習したのに・・・・。ショックでいっぱいでした。ガーン。

プールとは違い、海。

波があります。ガンガン波に当たり、立ち泳ぎがまだまだへたくそだった私はかなり大変でした。いっぱい波を飲んだり、流されたり・・・。

そして当たり前ですが、練習とは全然違う環境に最初はかなり苦戦しました。

まず何より寒い!流石、東北の海です(涙)

この日の水温は14度(普通の温水プールが30度くらい。)

海から上がると、震えが止まりませんでした。

シャワーを浴びて、体をあっためて、実演開始の時間になったら、また極寒の海の中に潜っていく・・・その繰り返しです。

土日祝日は実演の時間が決まっており、3回ほど行います。

(予約が入れば、他にも潜ります。)

1回の実演は大体20分くらい。

あまちゃん放映後のピーク時は、先輩海女さん達は7回ほど潜っていたこともあったそうです。(凄すぎる・・・!)

そして海女歴20年以上の先輩海女さん達は本当に凄いです!

小柄な身体でグイグイ深いところも潜っていきます。それではまるで人魚のようです。

それに寒さにも強いし、(私なんて海から上がると震えが止まらないのに・・・チーン)

海から上がって、ひょうひょうと笑顔で観光客の方々とお話ししているのを見ると、経験の差をまじまじと感じます。

2011年に東日本大震災で被災した後の話もよく聞きます。

仕事場であった海女センターは津波で流され、絣半纏、観光客の方々から貰った思い出の手紙や写真、海女についての資料、色んなのものを失ったそうです。

2011年7月から潜るかどうかも凄く悩み、でも100年続いた北限の海女の歴史をここで終わらせるわけにはいかないと潜ることを決意したそうです。

実際の海は真っ黒でヘドロだらけでウニは1つもいなかったそうです。

自分達の故郷が、ずっとずっと潜っていた海がそうなってしまうだなんて、とても深い悲しみだと思います。

先輩海女さんの全部の気持ちはもちろんよそ者である私は分かってあげられないけれど、その気持ちに寄り添うこと、思いやること、そしてこれからも一緒に頑張ることは出来るから、先輩海女さんたちと一緒に頑張っていきたいと強く思っています。

海女はずっとずっと続けていきたいと思っている大好きな職業だから。

と今、この文章をパソコンでポチポチ打っているのですが、昨日3回ほど潜ってきました。

一言言っていいでしょうか・・・。

疲れたーーーーー!!!(笑)

潜るって本当体力使います。

ああ、今は海じゃなくて布団に潜りたい・・・!!!笑

でも潜るのは本当に楽しいからやめられませんね!!!

2017年の夏も一生懸命潜るぞー!岩手県久慈市の小袖海岸でお待ちしております!

2017hina

☆北限の海女の素潜り漁実演☆

土日祝日→10時20分、11時20分、14時20分

平日は要予約です。

前田 比奈

前田 比奈

北限の海女に憧れて、地元千葉県から岩手県久慈市に移住してきました。海女さん2年生/岩手県久慈市地域おこし協力隊/アイドルグループWHiTEBEACH元メンバー/海女と海とおしゃれとブログが大好きです。

Reviewed by
喜屋武 悠生

今年も海女漁の季節が始まった。

記念すべき海女ちゃんデビューからはや1年。北の海の寒さにも、荒波にも負けることなく、ひなちゃんは今日も潜る、潜る。

1年前ちょっと前まで泳げなかったなんて嘘のよう。まるで水を得た人魚のように、満面の笑みを湛えながら、今年の夏も僕らが来るのを待っている。

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