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2F/当番ノート

地域と挨拶@私の生活圏

当番ノート 第34期

   地域との挨拶

 まず、私が子どもの頃、30年位前の話を。

 墨田区は地域と家庭の絡みが比較的、他より濃い土地柄だと思います(都会のわりに)。朝の通学路では出会う大人だいたいに挨拶を交わしながら、小学校へ通学していました。私だけでなく私の友人も同じように挨拶をしていたので、地域の空気全体が通学中の子ども達を見たら送り出す。こんな雰囲気が街に満ちていたんだと思います。子ども会も盛んで、プール旅行や町会会館でのお泊まり、PTAでのイベントも地域のお爺さん達との交流や放水車での泥鰌つかみなどいろいろ企画してくれていました。(とは言え、この地域は未だに子ども会のイベントがいろいろ行われています。)
 夕方商店街に買い物に行けば、顔見知りのお店の人達と挨拶をし合い、マンションや友達の家に行くときも、出会った他のマンション住民達に挨拶をしていました。そうすると、だいたい○○ちゃんのお友達?と言った気軽な確認作業もあったと思います。アナログ防犯カメラです。
 私達は当時マンションに住んでいましたが、このマンションは「マンション長屋」と住民で言うほど皆仲がよく交流しあっていました。住民の子ども達の年齢が近いこともあり、共働きの家庭だった我が家は両親が遅くなる時、たまに同じ階のお家で過ごさせて貰ったり、夕食を一緒に食べた記憶があります。ゴミ捨て場で出会えば井戸端会議程度の雑談もしますし、夏の暑い日は廊下の玄関を開けたままで部屋から廊下へと風を通して過ごしていました。玄関が開いているので、インターホンを押して迎え入れを待った記憶も余り有りません。

 時は戻って現在、私はまた同じマンションに戻って住んでいます。もちろん30年前を知らない新しい方も、私の幼少期を知っている古い方も住んでいます。でもゴミ捨て場での井戸端会議もまだ健在だし、昔から知っているおじさんに、おつまみととビールのぶつぶつ交換をお願いしに行く事もあります。新しく隣に引っ越して来た方とは深く話さずとも、挨拶が交わせるくらい仲良くは絶対なるし、駐輪場とかで会う親子に子育てイベントの情報を勝手に流したりしてしまします。幸い皆さん対話してくれる方が多いマンションなので、引っ越しが決まったりすると寂しくもなります。近くの実家(一軒家)も周りのお家の人達とは、だいたい挨拶ができる状態が普通なのです、逆に挨拶が返ってこない方が何だか不思議に思われる、マンション長屋と路地裏一軒家なのです。
 白金に住んでいた時も、同じアパートの人とは会えば挨拶してましたし、よく見かけるご近所さんにも挨拶し、時間があったらお爺ちゃんとお婆ちゃんと世間話もしていました。確かに、お爺ちゃんには「あんた珍しいよ、このアパートの人で挨拶するなんて、初めてだよ」と言われもしましたが。一人ポツンと住み始めた地域で、周りはお互い誰が住んでいるか判らない得体の知れない不安に襲われ過ごすなら。私は自ら挨拶をして取りあえず「隣はこんな人」と知って貰い、自分も隣を軽くチェックする形式を選んでいました。万が一有事の際には駆け込み保護して貰える、場所と関係をご近所さんに築いておいた方が、気楽で安心だと思っていました。なにより仲良くなると、近所からお菓子を貰えたりと嬉しい副産物があるので、俄然お得な生活になると思っています。
 
 上記の生活が私の人生では自然で普通なことなので、最近のマンション事情で「挨拶問題」がある事に個人的に衝撃をうけております。エレベーターで挨拶をしないようマンションで決めている所もあるそうで。。。本当に寂しいです。高層マンションの方達が住民を網羅することも大変でしょうし、物騒な世の中になってしまっている事も助けての事なのでしょうが、私は今も他人のマンションでもエレベーターでご一緒した人にはつい挨拶してしまします。もちろん他のタイミングで挨拶を交わせていれば良いんだと思うのですが「エレベーターでの挨拶はダメ!学校や他の挨拶は絶対しなさい!!」なんてややこしい事を、今のお子さんはしてるのかと思うと大変ダァ・・・と思っております。
 私の人生では「挨拶」がごく自然に行われていました。それは思い起こせば両親や祖父母が移動の際、出会う知り合いには常に挨拶を交わしていて、その人と私も挨拶を交わし。後日一人で会ったときも、緊張する私に大人から笑顔で挨拶してくれていたから、私も自然と返せるようになっていったんだと思います。もちろん生粋の商人なので、挨拶は絶対な面もありましたが。
外国で暮らし日本に帰り、最近思う事は
「人が出会ったとき、相手に自分を知って貰ったり、相手を知るために一番始めにすることが“挨拶”だから人間はやっぱり挨拶ができた方が楽しく過ごせる」
です。百花園で高校生の短期バイトを雇うとき、たまに挨拶ができない子がいます。そんな子には取り合えず、挨拶ができるようになるまで挨拶を続けます、それは自分から挨拶ができるようになっておいて、人生で困ることは無いと思うからです。多分元百花園バイトの子供達には鬱陶しい“ザ!!お節介おばさん”だったともいます(あ、箸の持ち方もなるべく直すように持って行っちゃいがちですが。。。)でも、これを止めるつもりは無いですし。友達の子供にもやっちゃいますし、マンションの子にもやっちゃってます。
本格的なクレームが付かない限り、止めないライフワークな気がします。

次回は私と飲み仲間のことを書こうと思います。地域もちゃんと絡めて。

*百花園イベント情報*
8月24日~27日は「虫聞の会」夜20時半まで開園いたします。
売店前ではテーブルを出し、生ビールや軽食販売を致します。江戸の頃から続く虫の音を聞く粋なイベントですお時間ありましたら是非ご来園下さい。
17時~放虫式
18時~行灯の点灯式 等無料イベントも参加していただけます。
https://www.tokyo-park.or.jp/event/2017/06/mukoujima-20170619.html

9月中旬からは「萩」が見頃を迎えます。萩のイベント詳細はこちら
http://teien.tokyo-park.or.jp/contents/info032.html

まどか

まどか

東東京にある、よく言う下町在住です。生まれも育ちも墨田区東向島。二十歳から実家を出て
大田区→スイス→白金
と移動して二八歳くらいから墨田に戻ってきました。今は家業のお土産物屋をしながら、墨田の飲み仲間とゆるゆるとでも濃密に地域の事やら、子育ての事やら(私は子無し)数ある土地で墨田区を選んでくれた人達が少しでも楽しく生活できれば良いかなぁ~と思いながら動いています。

Reviewed by
猫田 耳子

二年前、墨田区に越してきてまずはじめに感じたことは「人は家に住むのではなく、町に住むのだ」ということ。
否が応でも自分の世界を広げざるを得ない、小さく暮らしがちな最近のわたしたちにとって、そんな強制力がある意味いちばんの優しさなのかもしれない。

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