香港から2時間でハノイに着く。そこから足を延ばし、高速バスで移動をしてハイフォン近くの村で過ごして来ました。
当初はゆっくり過ごす予定だったけれど、降り立ってこの国の喧噪に混ざったら色々行ってみなくちゃ!と欲求が。沢山歩いています。
毎晩、星空がどこまでも綺麗に広がるヴェトナム沖合の小さな村。
マングローブの木に囲まれた絶えず流れる大きな川を前に、パンチャカルマを受ける。
パンチャカルマを体験するのは、これが三度目。自分のリトリート、研修というと格好良いけれど、デトックスになって気持ちが良くて好きなのです。
パンチャカルマとは、ドーシャという風、火、水の性質が体の中に増えすぎてしまうとバランスが崩れて病気の素になるという理論から、生活の中で蓄積した過剰なドーシャを排出するデトックス的な療法。
最中は、ありあまる時間の中で、肉体にこびり付いた固定パターンが浮き上がって顕在化していく。不思議だな、と思いながらも、勿論心と身体はつながっているから、排出に付随して心の奥底からも処理し切れていなかったことや陥りがちな思考の癖、潜在意識の奥の部屋に隠してたことなんかが関連性もなく、連続的にかなりしつこく表面に浮かび上がってくる。
この国の雰囲気がそうさせるのか、アイディアが浮かぶ、後悔が浮かぶ、人の顔が浮かぶ。
執念や野心や不安や懺悔やら。
そして、この場所に連れて来てくれた香港のチャイ屋で出会った彼女とも別れて一人です。
ここからまた南に足を延ばして過ごす予定。
ファングーラオの通りは駅からまっすぐ延びる。
各国から集まったバックパッカーや怪しい仕事をしている人が宿泊する安宿が路地に立ち並び、深夜まで活気がある。
貴重品を肌身離さず身に着けるためのマネーベルトや皮で出来たサンダル、色鮮やかなワンピース、暖かそうな厚い靴下、あると便利なウール100%の大判毛布。
冷涼なヒマラヤへ、または常夏のゴアやケララへ。ここから旅を始めるために必要な装備が。英語が達者な、ときに強引な客引きによって売られている。
私の宿は、蛍光灯ではなく間接照明であるのが嬉しい。部屋も清潔で新しく、バスルームには可愛いタイルまで貼ってある。途中で買ったセージとゼラニウムのエッセンシャルオイルを焚くと、すぐに部屋は親しみのある甘い清潔な香で満たされた。
街を歩いていて振り返ると、大きな象が二匹ドシンドシンと速いスピードでこちらに向かって行進してくる。ヴェトナムはかつて象の楽園だった。顔には化粧を施され、4、5メートルはある高い背中には座席が括り付けられ、御者が座って方向を指示している。人間も人力車も脇に下がり、この巨大な生き物に道を空ける。なんだか日本にいる家族や友人の優しい笑顔を思い出して恋しくなった。
批判と感嘆が入り混じる思いで街の模様を眺めながら思いを馳せていた時、天空の高みから波が打ち寄せるような幻想的な光が射し込んできた。
何かを思ってもそれは時間的にも距離的にも今は遠い場所にある。
だからどうしようもできないなぁと思って、持ってきた蜜蝋のろうそくに火を灯し、座ってみる。
明日は絵の仕上げをしよう。
in Hanoi.
Naomi.