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2F/当番ノート

できごときごと(3)かめこやさんのこと

当番ノート 第53期

亀屋商店(かめこや)の店先

八日町商店街にある亀屋商店さんは陶器などを扱ううつわ屋さんです。元々船乗りだった店主さんが結婚後、奥様の家業であったうつわ屋さんを継いでいます。食器などを販売する店舗部分の入り口は上の写真の奥の部分にあるのですが、手前側が打ち合わせスペースの入り口となっていて、その独特さにみなさん驚かれるだろうと思います。

昼間から缶ビールを飲む船乗りの大友さんと店主の渡邊栄さん(かめこやさん)

ちなみにこのテーブルの脇に店舗部分への通用口も設置されていて、かめこやさんは店舗にお客さんが来られるとすぐにお店に出ていって対応しています。が、お店にうつわを買いに来るお客さんよりも、この打ち合わせスペースでインスタントコーヒーを1杯飲みながらかめこやさんと語らいに来るお客さんが圧倒的に多いのです。

最近、打ち合わせスペースに「喫茶コーナー」の看板を取り付けました。
八日町商店街のホームページでもお店のことを紹介しています

私も仕事に疲れてくるとふらっと事務所から出歩いて、かめこやさんの打ち合わせテーブルでコーヒーを飲んだりしています。たまにマグロをブロック(刺身にする前の冷凍ブロックでとても大きい)でいただいたりもします!さすが元・船乗り! テレビでは録画した番組を2倍速で再生していることが多く、その上でラジオも流したりしています。なんというか、情報処理能力が高いのだなと思わされます。空間の魅力ももちろんありますが、何よりもかめこやさんの人柄に惹かれてこのスペースに人が集っているのだなと感じられます。

たぬきの置き物と山野草(ニッコウキスゲ)

山登りが趣味のかめこやさんは山に生息する高山植物にも詳しく、店先にはたくさんの山野草がコレクションされています。道ゆく人と山野草について会話しているのもよくみかける風景。

なんとなく、普段から出来事はつくるもの。生み出すもの。という感覚で手を動かしたり頭を使ったりしていることが多いですが、かめこやさんに来るとそれがふっとリセットされるように思います。日々の営みによって生まれている風景。「目的」とか「結果」とか「ズレ」とかはここにおいてはなんのこっちゃ、なのです。季節ごとに店先の植物は変わり、テーブル下の灯油ストープには火がつくようになりました。

よしかわこうじ

よしかわこうじ

1985年東京生まれ。スタジオまめちょうだいという建築ユニットをやっています。今は岩手県に住んでいてお隣の宮城県気仙沼市でまちづくり・建築の仕事をしています!

Reviewed by
ばりこ

モノより、ヒトに会いに行くために存在していてほしいお店ってありますよね。
"出来事"は時代のズレにより生じた「何か」かと思っていたのですが
こうやって人間の感情によってどんな枠にも当てはまらないことの方が、もしかしたら多いのかもしれません。

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