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2F/当番ノート

そして、装うこと。

当番ノート 第54期

黄色の増殖に最近気づいた。

去年の春は、レモンイエローのネイルばかりしていたし、秋にはターメリックのネイルを買った。どちらももうだいぶ減っている。そしてこの間、からし色のセーターも手に入れた。

レモン、ターメリック、からし。黄色は食べ物の名前で構成されているらしい、と思ってはたと気づいた。

名前がある。

当たり前だけど、意識していなかった。名前が違うのは、「黄色」という枠でくくられていても、それぞれ独立した色だからだ。レモンイエローの割れるような爽やかさにはきゅんとするし、やや黄緑を感じさせるターメリックは奥深いし、からし色はセーターだからそりゃ暖かいけど、ぽかぽかがくっつく。それぞれの色にそれぞれの個性があって、それぞれに好きなポイントがある。

まさに「装うこと」だなと思った。装うことは、砂漠で砂金を探すように、なにがどう好きなのかを漠然とした意識から掘り上げていく、その作業の積み重ねなんだなと、改めて思った。

上峰子

上峰子

心象と印象。
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Reviewed by
雁屋優

黄色、黄色って表現していたあのセーターは、からし色で、はたまた別のセーターは、レモンイエローだ。
そのことに、今ようやっと気づきつつある。
色は色じゃん、と単純に黄色やピンクと呼んでいただけの頃にはもう戻れない。

ああ、装うって、そういうことなんだ。
好きに向き合うってことなんだ。
何か、それって。
創作に似ていないかしら。
そう思ったら、私も少しは「装うこと」と和解できそうだ。
ひとまずは貰い物ばかりのクローゼットのなかから、着るものと着ないものを仕分けるところから。

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